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読書感想文『倭国 古代国家への道(古市晃・著 』

『倭国 古代国家への道』を読んで、日本の古代史に新たな視点が開かれた感が強く残った。著者が指摘するように、日本の天皇も結局は争いに打ち勝ち、勢力を保った豪族だったことは興味深い。特に、今の天皇家の先祖である継体天皇に焦点を当てることで、歴史の中での天皇の位置づけがより明確になった。

継体天皇がそれまでの天皇を名乗った一族とは別の一族であったという事実は、日本の古代史が多様な要素や出自を持つ中で発展していったことを示している。これは、国家形成のプロセスが単一の起源や一元的な支配者によって進んでいたわけではなく、複数の豪族や一族が関与し、争い合いながらも統一された政権を築いていったことを示唆している。

さらに、国の始まりを知ることで今の私たちの事も考えることができるというのは深い洞察である。歴史は現在の社会や文化の礎であり、過去の出来事が現在にどのように影響を与えているかを理解することは重要だ。本書を通じて、日本の国家形成の複雑さや多様性に触れることで、現代の社会や制度がどのような経緯を経て形成されてきたのかに思索が及ぶ。

著者の緻密な研究に基づいた描写は、古代の歴史を生き生きとさせ、読者に深い洞察をもたらしている。一般読者にも理解しやすく解説されているため、歴史にあまり詳しくない人でも楽しんで読むことができるだろう。『倭国 古代国家への道』は、歴史への興味を新たに刺激し、国家形成の複雑性を理解する一助となる素晴らしい書籍である。


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