エージェントは顧客の夢を見るか?
あ…ありのまま起こったことを話すぜ!
「おれは従業員20万人規模のメーカーでしがないエンジニアをやっていたと思ったら、いつのまにか社員5人の会社でエージェントをやっていた」
な…何をいっているのかわからねーと思うがおれも何がどうなってこうなったのかわからなかった…
さて
これを読んでいる皆様においては突然何を言っているのか本当に分からないと思うが安心してほしい。実は僕もなぜこんなことを言い始めたのかよく分かっていない。
徒然なるままに筆を取ってはみたものの、ジョジョ第5部のポルナレフよろしく恐ろしいものの片鱗(きっとnoteのアカウント管理をしている隣の同僚のプレッシャーとかそんなやつだ)を味わっている。
今日はGoodfindCareerというスタートアップ特化のエージェントとして初めての(なんなら28年間の人生における初めての)Webへの記事投稿ということで、最近考えていることをただ吐き出してみる、そんなエントリーだ。
まずは自己紹介から。
簡単なプロフィールはこんな感じだ。
写真は近い将来もう少し盛れたものに差し替えたいと切に希望する。。。
近々の仕事の話をすると、転職エージェントの業務と合わせて最近はこんなイベントを主催+登壇させてもらったり色々と(勝手に)仕事を楽しませてもらっている。
学生時代は毎日気の合う仲間とバスケットボールに打ち込み、時に夜なべして画像処理の研究実験に追われるような、ありふれた生活を送っていた。
ちなみに今でもエレベーター・スクリーンの美しさ(角度とタイミングが大事だ)とフーリエ変換を学んだ時の感動(学問の中身はもう覚えていない)は語れるし、それをつまみにきっと美味しいハイボールは飲めるだろう。
そんなどこにでもいる大学院生が、大手企業/人気企業を目指す”よくある”就活を終えて大手メーカーに勤め、1年そこらで退職したのが人生が好転し始めたきっかけだった。
そう、1年で辞めたことは全く後悔していないどころか、当時の自分を全力で褒めたいくらいには英断だったと思っている。
自分が戦いたい土俵はHRだと信じ、Rのつく八重洲の人材大手企業での経営企画職を経て当時5人だったGoodfindCareerに飛び込んで今に至る。
振り返ってみると
・20代で3社経験。まさに流浪の民
・作る(エンジニア)+管理する(経営企画)+売る(営業・その他)
の異なる立場の経験
・日系大手メーカー → メガベンチャー → 数名規模ベンチャー
となかなか稀な(市場価値が高いとは言ってない)経験の掛け合わせを積んできたなと思っている。
そんなこんなで自分なりに、悩みながら挫けながらも想いを持ってエージェントという仕事をしている訳であるから、今感じているこのモヤモヤとした感情は吐き出してみたい。
閑話休題
僕はエージェントという仕事がとても好きだ。
いつの間にやら今の自分の仕事がとても崇高で大切なもののように思えていて、毎日やけに忙しなく(時にこれを読んでいるかもしれない誰かにご迷惑をおかけしつつ)充実したエージェント生活を送らせてもらっている。
*ちなみに特段断りがない限り、この記事における“エージェント”とは一般に転職/人材エージェント、キャリア/リクルーティングアドバイザーと呼ばれるような存在を指す。
一般的なエージェントは、同世代で活躍しているビジネスマンと比較して決して多額の報酬をもらっている訳でもなければ、世界を股にかけてビジネスを企画立案したり、死に瀕する人間の命を救ったり、そんな”いわゆる”社会的にステータスの高い仕事ではない、と思う。
ただそんな一般的なエージェントの1人として働いている自分ではあるが、毎日が充実していると心から思っているし、本当にこの仕事はヴァリュアブルな、とても重要な意味のある仕事だと思って走り切ってきた。
しかしこの仕事を始めて2年が経ち、ようやく落ち着いて周りを見渡せるようになると、エージェントという存在を見る視線というのは非常にヴァラエティー豊かなことに気づいた。
ときにCandidate(転職やキャリアのご相談に来ていただける方だ)からは
・自分では見つけられなかった魅力的な会社を知ることができた
・今後歩みたいキャリアや思考が整理されて今やるべきことがわかった
・キャリアのことを考えたらXXさんが最初に思い浮かんだから相談に来た
・第三者的存在として各社を比較したときのメリットが詳細に理解できた
・入社できないと思っていた企業に、選考対策をしてもらって入社できた
・自分の市場価値がクリアになった
といった今見ても胸が熱くなるような
ー 実際過去のメールを漁ってみて感動が溢れすぎて仕事中にメールボックスを2時間漁ったことは誰にも内緒だが ー
お言葉を頂くこともある。
ただその一方で
・そもそもエージェントを介する価値がわからない
・企業とやり取りが伝言ゲームになって迷惑/遅い
・エージェントに対するフィーが発生して採用基準が上がっている
→だからエージェントを挟みたくない
といった「エージェント不要論」だって当たり前に耳にする。
Client側(エージェントを使って採用活動をしている会社)も同様だ。
・ダイレクトリクルーティングじゃ出会えないような人を繋いでもらった
・ずっと自社で採用できなかったポジションの採用ができた
・エージェントからのアドバイスで内定承諾率が上がった
・自社のどんな訴求が刺さるのか、どんな人がFitするのか、採用の市場感覚を知っているエージェントに話を聞いて参考になった
というポジティヴな声を頂く一方で
・Candidateとやり取りが伝言ゲームになる
・自社でスカウトできるしリファラルもできるし、Wantedlyでも人はくるからエージェントはもはや不要。
・むしろコミュニケーションコストが上がって採用活動全体に悪影響
といった「不要どころかエージェント迷惑論」も小耳にはさんだりするのだ。勿論、そういった側面は少なからずあるのだろうけども、やっぱり自分が好きな仕事は好きだと叫びたい。
バスケットマンは誰だって君が好きだと叫びたいのだ。
というわけで前段が長くはなったが
要はエージェント不要論や、エージェントサービスを駆逐するHRTechなど業界をとりまく市場の変化があるなかで
・本当にエージェントという存在が不要なのかどうか
・エージェントが介在する価値って何だろうか
ということを立ち止まって考えたい、そう思った訳だ。
「エージェントは必要なのか?」
なんだかやたらと大きな命題であるために、ちょっとエージェント歴2年のペーペーofぺーぺーが回答するには荷が勝っている印象があるが、、、
今回は、あくまで僕個人の視点(引いては僕が関わるGoodfindCareerというサービス思想)ではあるが、困ったときに頼るべきドラッカー師匠が投げかける5つの問いに答えていきながら上記命題について思考していく趣旨で進めたい。そう、本質に立ち返るときはいつもドラッカーが助けてくれる。
ドラッカーを引用しているのは最近本を読んだだけというのは内緒だ。
第一の問い われわれの使命は何か
簡単だ。
意志ある人の道を照らすこと、その意志を実現する手助けをすることで、社会がより良い状態になることだ。
もっと具体的に言えば
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Candidateが自身のキャリアに関わる不安や課題感を解決し、より前進しているという感覚を持って日々を生きてもらうこと。そしてそれは長い人生の中で終わることのないプロセスだ。
だからこそ僕らは“Lifetime Career Advisor”という存在を目指している。
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Clientは須らくより良い社会を作ろうとしている。社会価値のない事業に利益は生まれないし、法人が存続している限り利益は生んでいるはずだから。そうだとするならば、Clientの事業成長に貢献することは社会を良くすることそのものだ。だからこそ僕らエージェントは“Clientの事業成長”こそが使命だと考える。
第二の問い われわれの顧客は誰か
これも簡単な問いだ。
CandidateとClientだ
より具体的に言えば、僕らはCandidateとClientを次のように定義している。
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Candidateとは自らの意思を以て変革と創造の担い手にならんとする挑戦者たちだ。限りある人生をより充実をしたものとするために、自らの意志による選択を決意した人たちだ。その粋な意思決定を、僕らは一人の人間として支援する。
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Clientとは新産業を開花させる存在だ。豊かなものがより豊かになる支援がしたいわけじゃない。そんなことは他の誰かがやるだろう。僕らは経済合理性に左右されず、まだ見ぬ未来を引き寄せるスタートアップの最初にして最大の支援者となる。(ちなみに最後の一節は某VCが掲げるフレーズを借りている。とてつもなく素敵なフレーズだ)
第三の問い 顧客の価値は何か
これが難しい。。。一定の推測を含めて話すことを許してほしい。
まずはCandidateだ。
これまでのユーザーヒアリングやNPS調査からすると
・思考の解像度をあげたい。何がしたいかがわからない、から脱却したい
・市場価値を上げ、将来“詰んだ”状態にならないようにしたい
・転職そのものの不安感、選考の進め方や準備などのアドバイス
・Webには出回らないような情報を教えてほしい
・キャリアのプロとして自身では発想もしなかった方向性のキャリア提案
・選考対策や企業からのフィードバックを通じて“確度の高い”活動したい
・調整や交渉事などまるっとアウトソースして効率よく転職したい
といったことは求めているだろう。
Clientはどうだろうか。
・採用像に合致した“良い人”を紹介してほしい
・そもそもの採用像が市場感に合致しているのかアドバイスが欲しい
・自社とは異なる目線でCandidateを自社に口説いてほしい
・自社内だけの視点ではわからない魅力を外部の視点から再発見してほしい
といったことはあるかもしれない。
第四の問い われわれの成果は何か
これもなかなか難しい、、、
もちろん、売上と言ってしまえばそれまでではあるがドラッカー師匠は
「使命に忠実であれ」と仰っていた。
・Candidateがどれだけキャリアにおける不安や課題感を解決でき、喜んでくれたか?
・Clientの事業成長にどれだけ貢献できたか?
なかなか測定することは難しそうだが、このあたりを定量でも定性でも計測することが、エージェントの成果と言えるのだろう。
第五の問い われわれの計画は何か
ちょっと事業計画書くのはヘヴィーすぎるので勘弁願いたい。
閑話休題
さて師匠の質問になんとか答えられた?ところで本題に舞い戻ろう。
「エージェントは必要なのか?」
という問いである。
・・・必要だよ!!!!!!
いや必要じゃん!めっちゃ良くないですか?
改めて考えてみると、とても意義あることをやっていると感じたんです。
おそらくマス向けの、大量のCandidateを大量のClientに捌く(人を捌くという言い方、失礼ですがあえて使わせて欲しい)というエージェントサービスはおそらくTechに駆逐されていく。
ヒアリング(”面談”という言葉はあえて使いません)した内容をDBに登録し、検索し、出てきた求人票を渡すだけのサービス。
大量に入社し、大量に退職するような人材のトラフィックの中で、オペレーションの精緻さと高速さで利益を生んでいくようなモデルのエージェントサービスはダイレクトリクルーティングの媒体やAIスカウトの精度向上、リファラルの活性化によって駆逐されていくのだろうと。
これからは真に力のあるエージェントだけが生き残ればいいと思う。
自分がそうなっているとは口が裂けても言えない(お仕事でご迷惑をおかけしている方々ごめんなさい)が、人の人生を、会社の成長を背負っているのだ。そんな世界で構わない。
エージェントサービスは必要だが、そのニーズは確実に低減していく。
生き残っていくのは
・自分の意思がまだ見えない
・意思はあるけれでも実現の仕方がわからない
・どこにも情報のない、正解の無い未知の世界に挑戦するからこそ、壁打ちができる存在を欲している
そんなCandidateの期待に応え、成果を出せる存在だ。
生き残っていくのは
・誰を採用したらいいのか、そもそも採用をするべきなのかわからない
・採用したくても、なぜ採用できないのかわからない
・AIも予測できない、事業も組織も未知の領域に足を踏み入れる挑戦者
そんなClientの期待に応え、成果をだせる存在だ。
そんなことを日々思いながら、エージェントも日々走り回っている。
今日も今日とて僕たちGoodfindCareerは青山のオフィスの端っこで、
100人100色の人生に向き合いながら顧客の夢の実現に奔走している。
そうして今日も、僕たちエージェントは顧客の夢を見る。