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【ベンチャー100社の資料公開】30代CxOを目指す「本気のキャリア論」

日頃、Goodfind Careerでキャリアの相談をいただいて多いのは「ベンチャー企業でCXOや役員になりたい」というものだ。

たしかに、そうだろう。せっかく一発勝負するなら会社の当事者として関わりたいし、なんてったってカッコよさそうだ(笑)

ベンチャーの役員やCXOが「どのような経歴なのか」については、企業プロフィールを見れば一目瞭然だ。
が、その一方で、実際にそのようなキャリアを歩むためには、どのように考え、選択すればよいのか。その質問に対する汎用性のある答えが、世の中に存在しているとは言い難い。

そこで今回、FastGrowさんで「30代CxOを目指す『本気のキャリア論』―CxOリアル転職エピソードから学ぶ、狂気とカオスの中で勝ち抜くコツとは?」
という仰々しいタイトルのイベントを企画させていただいたのだが、当日参加できなかった方のためにも、せっかく準備したのだし、noteに置いておこうと考えた次第だ。

汎用性のある解答を提示するために

本イベントに際して、一つの参考資料として、東洋経済から発表されている「すごいベンチャー100」を取り上げた。

これまでGoodfindCareerでサポートしてきた役員・CXOの方々の事例に絞ってお話することも考えたが、より汎用性の高いアウトプットになればと思ったし、時価総額や直近の上場企業にフォーカスをあて、サンプルを抽出しようとも考えたが、より業界に偏りがなく、フェーズとしても一定の網羅性がある母集団として「すごいベンチャー100」を取り上げた。

実際に経営者や役員の経歴を研究するのに使用したエクセルファイルも公開しようと思う。これを眺めているだけでも純粋に面白いし、ベンチャー役員のCXO、という漠然としたイメージも解像度があがってくる。

※もし資料に誤り等ございましたら、「career-ask@slogan.jp」までご連絡いただけますと幸いです。

なぜ、CXOキャリアを一般化しづらいのか

CFOやCTOなど、専門能力がわかりやすいキャリアについては、そのキャリアパスや、ケイパビリティを定義しやすい。
一方で、ビジネスサイドのキャリアとなると、そのケイパビリティの一般化が困難になる。それはなぜか?

プロノバ・岡島悦子さんのnoteにもあるように、経営ボードメンバーに求められるケイパビリティは5つある。

➀歩く理念体現者(CEO)
同社が実現したい世界観、同社の創出付加価値実現方法を、発信し続ける人。未来仮説、顧客の痛み、業界の歪み等がありありと見えていて常人が無理と思うことこそにチャンスがあると信じる人

②事業戦略開発者(CSO?)
ビジョンを実現するため、同社の強み(技術力、営業力、顧客基盤、ブランド等)を駆使した経営戦略を構築し、ビジネスモデルを構築する人。中期経営計画、予算策定者。

③組織戦略開発者(COO?)
事業戦略を実現するために必要な組織能力を規定し、最適な7Sを設計し、不足分の組織開発する人。事業戦略の実装環境を整備し、各部署のKPIを決定し、支援、モニタリングし、P/L責任を持つ人

④経営資源調達者(ヒト)(CHRO?)
組織戦略実装に必要な人材を内部外部調達する人

⑤経営資源調達者(カネ)(CFO?)
事業戦略、組織戦略実装に必要な資金を調達する人。主に資本市場と対話し、株主、株主候補の期待感・納得感を醸成する人。上記をモニタリングして、ステイクホルダーに説明責任を果たす人

引用:『【経営チーム能力】ベンチャー企業にこそ優秀なCOOが必要?

ビジネスサイドの役員・CXOのケイパビリティを定義しづらいのは、CEO/起業家の強み・ケイパビリティが揺れるからだ。
学生起業家もいれば、還暦ベンチャーの大御所もいる。それほどに起業家の保有する能力には幅がある。

「ボードメンバーに必要なケイパビリティ」ー「起業家のケイパビリティ」=「他の経営メンバーに求められるケイパビリティ」

なので、企業のNo2になるようなCOOなど、ビジネス側の役員に求めれる能力にもバラツキがでる。これが、一般化しづらい理由だ。

CXOへの登用パターンは5通り

とはいえ、一般化できません!個別解です!といったら、大ブーイングなので、可能な限りの一般化を試みてみる。

まず、CXOや役員になるための、登用パターンは5通りある。
※ここでいうCXO・役員とは、取締役、執行役員、CXOというタイトルのある方、一部VPoXという肩書も拾える限りで分析の対象として拾った。
なお社外取締役は、分析の対象から外している。

①共同創業
起業家、経営者と一緒に共同創業するケース。1人目の社員として入社するケースもこれに含んだ。

②業界経験者
特定の業界に強いパイプや、業界経験を持つ人物を登用するケース。
例えば、SaaSプロダクトを、大手の金融機関に導入していきたい。ただ、新規でテレアポして顧客獲得するのも難しいので、金融業界のキーパーソンをボードメンバーに迎え入れる、といったパターン。

③職能、専門能力
既存の役員に足りない専門性を補填するために登用するケース。

④M&A
企業を買収し、その買収先の経営者・役員が買収元の企業の役員に登用されるケース。

⑤社内昇進
わかりやすく、社内での実績が評価され、CXO・役員に登用されるケース。

もちろん、はっきりと、タイプ5!と割り切れないケースもあるが、入社年度や、役員就任時の時期、経営者の経歴などから、上記を分類した。

「すごいベンチャー100」に掲載されている企業には289名のCXO・役員が存在するが、そこからCEO・代表取締役を除いた182名の登用パターンは、下記の通りだ。

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①共同創業:44.4%
②業界経験者:7.9%
③職能、専門能力:39.3%
④M&A:1.1%
⑤社内昇進:7.3%

さらに、そこからビジネスサイドのCXO・役員の登用パターンに絞ってみると下記のとおりになる。

画像2

①共同創業:51.1%
②業界経験者:7.6%
③職能、専門能力:29.3%
④M&A:2.2%
⑤社内昇進:9.8%

まあ、当たり前なのだが、「共同創業」する→CXOになる、という割合が高い。ただ、締めくくりが「よし、じゃあ起業しよう!」では、あまりにも乱暴な結論である。

気になるのは、「③職能、専門能力:29.3%」「⑤社内昇進:9.8%」だ。
「②業界経験者:7.6%」については、そもそも業界のキーパーソンなので、出来上がったキャリアだ。「④M&A:2.2%」にしたって、買収される前にも経営者だったので、あまり参考にならない。

なので、起業や共同創業でもしない限りは、
「どうやって職能、専門能力を獲得するか?」
「どうすれば社内で役員まで昇進できるのか?」
が多くのベンチャーパーソンの関心事になる。
(実際に共同創業者の選び方をテーマにインタビューも実施したので、それについても書く機会があれば)

「どうやって職能、専門能力を獲得するか?」「どうすれば社内で役員まで昇進できるのか?」

経歴はネット上にある。
しかし、どうキャリアを考えて、転職先を選んだのか。入社してから、どのように社内での信頼を獲得したのか。
そんな実際の物語は、オンライン上には落ちていない。あるのは脚色されたコンテンツだけだ(笑)

なので、本イベントの開催にあたって、あらためて「どうやって職能、専門能力を獲得したのか」
「どうすれば社内で評価され、役員まで昇進していったのか?」を実際にインタビューして回った。

セールスや、マーケティングなど職能のバックグラウンドや、出身業界も考慮しながら複数人にインタビューをした結果、そして僅かばかりの私の経験もあわせて、共通して見えてきたことはあった。

プラベートな情報もあるので、具体的なことはここに書くことは難しいが、それは多少なりとも下記のような経験や、環境があったということだ。

①経営者・起業家との相性の良さ
②経営トップと自分とのあいだに誰がいるのか
③イシューとの出会い
④バリューチェーン全体への職能の拡張
⑤ラーニングモンスター
⑥コミットメントの瞬間

①前提としての経営者・起業家との相性

職能と経験を獲得するためには、当たり前だが出来ないことに手を出さなければならない。そして、それはストレスが高いことだ。
では、なぜそれでも頑張るのか、頑張れるのか。その大きな理由の一つが起業家、経営トップとの相性の良さだ。この人と一緒なら頑張りたい、その動機は馬鹿にできない。

経歴が優れているから、優秀そうだから。それも大事かもしれないが、人間性を無視してはならない。本当に会社の経営がヤバくなったとき、その人と一緒に乗り越えたいと思えるか。
美人と結婚するんじゃなくて、好きな人と結婚した方がいいと、むかし上司に言われたことがある。

②経営トップと自分とのあいだに誰がいるのか

いくら頑張ったって、自分とおなじ専門性を持っているメンバー、役員がいるなら、あなたがCXO・役員にあがれる可能性は低い。
なので、あなたの出自や、コアな職能がボードメンバー(もしくは上位階層にいる既存社員)と被っていないかは確認したほうがよい。

ロールモデルとして、見て学ぶには良い環境かもしれないが、その会社で追い抜く(もしくはスイッチする)には、そこそこの労力と運が必要になってくる。

③イシューとの出会い

キャラが被っていないとはいえ、入社すぐに役員登用されるケースは稀だ。
なので、三千人将になるのに「函谷関の戦い」が必要だったように、頭角を表す戦場が必要だ。
それは経営や事業にとっては重要だが、まだ未着手なイシューとの出会いだ。企業としては大事なのだが、まだ誰も気づいていない、専任がいない、そんな課題と出会うことだ。

売上をあげる、そんなことは誰だってわかっている。問題はその構造だ。集客が問題なのか、チャーンレートが問題なのか。
いま目の前にあるビジネスを開花させるイシューは、まだ議論のテーブルに上がっていないかもしれない。さあ、イシューに目覚めよう。

④バリューチェーン全体への職能の拡張

特定のイシューへの取り組みをきっかけにバリューチェーン全体に土地勘を広げていくことが大切だ。CXO・役員を目指すというわけなので、少なくともセールスやマーケティングなどの機能単位で全体感がなくてはならない。

インサイドセールスからセールス全体へ、セールスからセールスファネル全体へ「何に取り組むべきか」をビジネスの全体像のなかから、ボトルネックを発見して除去できるようにならなければならない。そのプロセスのなかで、事業・組織への当事者意識が広がり、結果として職能が拡張していく。

⑤ラーニングモンスター

良質な課題に出会っても解決できなければ意味がない。イシューを見つけたなら、解くしかない。バリューチェーン全体に働きかけるためにも、担当領域の外にフィードバックするためには、最低限の共通言語がなくてはならない。

そこで大事なのは学習だ。誰しもが驚くべきようなインプット、学習期間を過ごしている。
「海外の書籍まで読み尽くした」「SEOを勉強するために、自分でメディアをつくった」
そのテーマは様々だが、アウトパフォームするには、兎にも角にも一線を画した学習の化け物になるしかない。
さっさと腹をくくり、ページをめくろう。手を動かそう。すぐに問題は解けないかもしれない、ただ学ばなければ一生解けない。

⑥コミットメントの瞬間

誰しもが、卓越した成果を上げるとき、そこには覚悟を宿している。
ただ問題は「どうすれば覚悟が定まるか」だ。
多くのケースでは、覚悟は与えられたり、逃げ場がなくなってマインドがセットされたり、そうやって受動的に育まれることも多い。
なにか分かりやすい転機があった、きっかけとなるエピソードがあった、そういった美談は少ないのかもしれない。

それは誰かの離職かもしれない。事業のピボットや、資金調達のタイミングかもしれない。
会社が大きく変化していくタイミングで、自分に逃げ道をつくらないことだ。
そうするためには、言葉に出して、経営者に届けてみるといい。大事なのは、心に決めることじゃない、環境を変えることだ。
トップに対して啖呵を切れば、もうやるしかなくなる。俄に踊るしかない。
そうすると朝起きる時間も変われば、日々の過ごし方も変わってくる。仕事のゴールが強制的に変わったからだ。
覚悟が定まらなければ、言霊にするといい、環境はセットされる。

おわりに「人材輩出企業とはなにか」

こうやって多くのCXOや役員の経歴を調べていくと、「人材輩出企業」とはなにか?ということを考えてみたくなる。
注目すべきは、時代ごとに起業輩出企業の顔ぶれが変わっていくということだ。

90年代:リクルート、インテリジェンス、アンダーセンコンサルティング
00年代:楽天、サイバーエージェント、サイバード
10年代:グリー、ディー・エヌ・エー
20年代:SaaSマフィア??

どこかが廃れていくというのが言いたいのではなく、急成長する新産業から、新しいリーダーたちが生まれているということだ。
少しずつ、SaaS界隈出身の起業家たちが活動をはじめている。機会があれば、そういったnoteも書いてみたい。

とはいえ、変わらないカルチャーのようなものはある。
フランスに住めば、よい絵が書けるように。アメリカにいけば、高く飛べると思えるように(?)起業家や経営人材を育てる会社の空気のようなものは存在する。

今回リストを眺めていた驚いたのは、ABEJA出身のCOOの多さだ。
100の中の2名だが、母集団の少なさから考えると、驚異的な確率なんじゃないだろうか。きっと、よい経営メンバーのもとには、よい経営人材が育つ環境がある。

またガイアックス、エス・エム・エスのマフィアたちも依然として骨太い。
今年、上場したアデュッシュ、大型調達を実施したフォトシンスをはじめ、今回のリストにもガイアックス出身者が名を連ねる。

エス・エム・エスは、マフィアのマフィアまで登場している。エス・エム・エス出身者が創業したホワイトプラス出身の役員。なんと孫の代まで血を継いでいる。
そんな系譜もいつしか研究してみたい。

さてさて、どんどん長くなてきたので、そろそろまとめに入ろう。
・ボードメンバーのケイパビリティは5つ
・ビジネスサイドのCXO・役員のケイパビリティは起業家に依存する
・「共同創業」でないなら、「尖った専門能力を磨いて」「社内昇進」を目指す
・6つ環境や方向性を意識してキャリアを歩むこと

キャリアはどこまでいっても「個別解」かもしれない。
ただ、少なからず共通する方向性や道筋はあるように思える。それはベンチャーというカテゴリーでも同様だ。

ベンチャーのCXOを目指すみなさまへ、これが僅かばかりでもお役に立てば幸いだ。

追記:FastGrowさんでまた来月にイベント登壇します。SaaSにまつわるキャリアについて、お話する予定です。よろしければ是非とも。

Goodfind Careerでは転職を前提としないキャリア面談を承っています。CXOのキャリアについてご興味のある方は、お気軽にご相談ください。文面では公開できないようなケースについても、お話できると思います。


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「GoodfindCareer」を運営するスローガンアドバイザリーのnoteです。ベンチャーやスタートアップでのキャリアをテーマに発信していきます。 https://career.goodfind.jp/

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