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モジャ日記-事故から今年で10年目-

モジャ!
ギフトフードプロジェクトバングラデシュ担当の古川しゅーとです。

今回のモジャ日記では、ちょうど10年前にバングラデシュで起きた事故について。そして今後、私たちができるアクションについてお話をします。


それでは参ります。

■ラナプラザの悲劇■

衣料品輸出国として、世界第2位のバングラデシュ。(①)ありとあらゆる社会課題がある中で、バングラデシュにおけるファッション業界の課題は日本のボクたちでも耳にする機会が一度はあるはずです。

遡ることちょうど10年前のこと。

2013年4月24日に起きた事故の一つに【ダッカ近郊ビル崩落事故-ラナプラザの悲劇-】と言うものがあります。

首都ダッカ郊外のサバール地区にて、8階建ての商業ビル「ラナ・プラザ」が崩落した事故のことで、バングラデシュで最悪の工場崩落事故の1つとされています。(死者1,127人、行方不明者約500人、負傷者2,500人以上)

また「ファッション史上最悪」な事故とも言われており、ラナプラザには、私たちも知るようなファッションブランドの縫製工場が入っており、この事故で犠牲になった人の多くはその工場で働いていた若い女性たちです。

事故の原因は権力者による違法増築と言われており、事故の前日に建物に入ったひび割れが発見されたようですが、建物の所有者は安全のための警告を無視し、働かせた結果。。。と言うものだったんですね。

事件後、ブランド側は「そんな状況にあるとは知らなかった」と責任を否定したようですが、その後、業界におけるサプライチェーンの透明化が叫ばれることとなりました。

モノの流れ


誰がどう考えてもこのような事故は2度と引き起こしてはならないです。

そしてそのためには、小手先の解決策ではなく"なぜ起きてしまったのか?"という視点を持って取り組む必要があるように思います。

"穴を埋めるのではなく、蛇口を閉める"

10年前に起きた崩落事故の根本的な原因を探れば探るほど、複雑に絡まり合った糸のように、問題を引き起こす要因が絡まり合い、一筋縄で解決できないことがわかります。

政治(腐敗認識数180か国中146位(②))・教育(識字率74.66%(③))・環境(世界気候リスク指数2021:7位(④))その他医療・技術力・経済など。

考えるだけでも頭がいっぱいになります。

複雑に絡まり合う課題だからこそ、各分野で専門性を持った人たちが解決の糸口を見出す必要があるように思うんですね。

ラナプラザ崩壊事故に興味がある方はぜひ【the true cost】をご覧ください。すごくわかりやすくファッション業界の課題を捉えてくれています。

■専門性がなくても"当事者"■

ですが専門家だけが行動すればいいのか?と言われるとそうではありません。専門性が無くても、まさに目の前で課題に直面する人は、当事者です。

自分ゴトなんですね。

沈黙していては、その苦しみは無かったことになることをよく知っています。黙っていては一向に変化の兆しも見えない。負の遺産を次世代に引き継がないためにも、この国の人たちは1人の国民として”真っ当に生きる権利”を叫び続けています。

ボードの文字【ファッションのために死にたくない】

こうした大きな課題を目の前にした時に、大した専門性も無い上に遠く離れたところに暮らす私たちに「いったい何ができるんだろう」と思ってしまいがちです。そして、何かを出来たとしてもそれが本当に正しいのか分かりません。

少なからず必要なことは、何かを言うだけでも、想いを馳せるだけでもなく"1人の人として、課題を自分ゴトとして捉えて行動を起こす"であることのように思います。

ダッカの学校に通う子どもたち

■私たちも”当事者”の1人■

今でもバングラデシュの貧困やファッションの課題を調べると現在進行形の課題がわんさか出てきます。

その多くに、実は”私たちが普段、手に取る衣類(モノ)”が関わっているんですね。(今持っている服のタグを見ていただくと”made in bangladesh”と記載されているかもしれません)

It is estimated that the industry employs around 4 million people and contributes around 80% of the country’s total exports.

約:バングラデシュでは400万人が縫製関係に携わっており、輸出の80%を占めるのは衣類です。

そして、日本が輸入する衣類のうち4.9%はバングラデシュから輸入しています。(⑧)

安価な服や目新しい物を買うことに問題はありません。ただ際限のない欲求に従って私たち消費者が求め続けたことが一つの要因で、ラナ・プラザ崩落事故が起きてしまうなど、現地では人の命よりもお金の方が重くなってしまいました。

"私たちの生活と現地で起きる課題は密接につながっているんですね。"

つながりに気付くと、無関心ではいられるけど、無関係ではない。ということが分かり、少しずつ自分ゴト(当事者意識)になっていくように思います。

消費者として命を大切にする選択が、まさに"当事者"である私たちにできる行動ではないでしょうか。(人や地球に優しく作られた服を買う、古着を買う、今あるものを大切にするなど)

■微力だけど無力じゃない■

大きな課題にアクションを起こそうとする時に、「自分だけじゃ。無理だ」と言ってすぐに諦めてしまう方がいるのですが、マザー・テレサがこんな言葉を残してくれています。

偉大なことなんてできませんよ。
大きな愛を込めて、小さなことをやるんです

マザー・テレサ

与えた数ではなく、どれだけの偉業を成し遂げたのかでもなく。
小さくてもどれだけそこに愛情を込めたか。
が大切だと言うことです。

微力だけど、無力ではないと信じて。一人一人が優しさ(愛情)を示し、その優しさが循環していくことによって、今よりも豊かな社会が生まれていくと言いたかったのではないでしょうか。


こちらの2枚の写真を見てほしいです。

4、5年ほど前の写真です。

右:ショジップくん

今年の1月です。

今年の1月

写真映りは微妙ですが。笑

彼はショジップ君(20歳)と言います。

今では新しく建った学校のリーダー的存在です。ものすごく優秀な子でして、こうして今も元気でいられるのは、一人一人が小さなことを大きな愛を持って与え続けたことに他なりません。

■手段は無限にある■

問題は複雑に絡まり合っているからこそ、手段は無限にあります。

私たちが行うギフトフードでは、次世代を生きていく子どもたちに、私たちが奪いすぎた分を返していくという気持ちで、サポートしてくださる皆さんと大きな愛を持って小さく与えていきたいと考えています。

誰もがご飯を食べられる社会とは
生きる尊厳が守られるということ。

誰もが教育を受けられる社会とは
より良い人生とより良い未来が生まれるということ。


数ある手段の中で、私たちと共に行動してくださる皆さん。
いつも子どもたちを支えてくださり有難うございます。

以上。モジャ日記4月号の締めとさせていただきます。

小さな小さな発信ではありますが、行動を変えていきたい誰かのお役になれればと思い、熱量を込めて書いてみました。

今回もかなり長くなりましたが読んでいただき有難うございます。

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【学校建設&運営に関して】現在建築中の学校は3階部分までの建設が完了し(4階途中)、約75人の子どもたちが新しい学校で学んでおります。また一時的に、コロナ禍で職を失った親を持つ子供たちが避難する施設としても活用しております。


↓この記事を書いたのは↓


【出典】
①:https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2022/c9fcf0c8a1530484.html
②:https://www.transparency.org/en/cpi/2021
③:https://www.thedailystar.net/youth/education/news/bangladeshs-literacy-rate-now-7466-3080701
④:https://www.undp.org/bangladesh/publications/climate-vulnerability-index-draft#:~:text=Bangladesh%20is%20vulnerable%20to%20both,Global%20Climate%20Risk%20Index%202021.
⑤https://openjicareport.jica.go.jp/pdf/12369393.pdf
https://blog.gitnux.com/bangladesh-garment-industry-statistics/#:~:text=In%20conclusion%2C%20the%20Bangladesh%20garment,of%20the%20country's%20total%20exports.
https://goodmakertales.com/50-bangladesh-textile-industry-statistics/
https://www.fibre2fashion.com/news/apparel-news/bangladesh-s-rmg-exports-to-japan-at-1bn-but-still-small-supplier-282176-newsdetails.htm

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