88歳の祖父の願い

私の母方の祖父は
今88歳である

認知症が少し進んでいて
時々家族の事親戚の事を
忘れてしまうことがある
年齢把握はきっともうしていない
5、6年前で止まってしまっている

祖父は福島県に住んでいる
私は生まれた時から
神奈川県に住んでいる
遠いので会うことはあまりないが
昔から身体が弱い私を
特に祖父は気にかけてくれた

可哀相に可哀相にと
無理はするなよ
何かあったら爺ちゃんに言えと
会った回数が少ない事で
あまり祖父に慣れていない私は
気持ち的な距離もあり
気軽には頼れない
でもそう言ってもらえると嬉しかった

認知症が進んで
母の事も時々忘れるそう
電話で祖母がそう言っていた
たくさんの事を忘れては
思い出してを繰り返している

そんな中で私の事は
よく思い出すそうで
常に身体を心配してくれている
そして会いたいと
言ってくれているそうだ

88歳の祖父の願い
今会わなければ
もしかするともう
会えなくなるかもしれない

父方の祖父は
会いたいと言われていたが
会える事なく
癌で亡くなってしまった

会えないのには理由がある
まず私の身体が
遠出出来ない状態である事
体力も本当にないので
未だにバスや電車には乗れないし
父に頼み車で向かったとしても
半日くらいかかってしまう
それでたどり着けたとしても
向こうで寝込むことになるだろう

そしてもう1つは
泊まる為の環境である
祖父母の家は空調完備が整っていない
基本具合の悪い私は
暑すぎる部屋や寒すぎる部屋では
体調が悪化して眠ることが出来ない
祖父母の家はエアコンが一台しかなく
それは祖父母の部屋に設置してあり
他の部屋は
冬場は極寒夏場は猛暑である
健康な人でも夜を越すのは
しんどそうな環境だ

それと他にはアレルギーだ
私は色んなものにアレルギーを起こす
勿論祖父母の家の布団は使えないので
行くならアレルギー対応してある
布団一式持っていくしかない
それだけではなく
祖父母の家は自然豊か
虫もたくさんいるし
緑もたくさんだ
私は虫にも草にもアレルギーがある
という理由で
向こうで体調を悪化させる原因が
多すぎるのだ

しかしもう高齢の祖父は
こちらへ出てくることは出来ないので
私が行けないと会えないのである

電話が来る度に言われる
「会いに来て欲しい」と
顔を見せることを
そんなに望んでもらえるなら
叶えてあげたい

なのにそれを
可能に出来ないことが悲しい

母からは
「早く元気になりな」と
言われるけれど
人生半分以上体調不良をやってきて
今すぐ治せるかと言えば
持病は増えるばかりだ

また祖父の願いを
叶えられないのかな
自分に出来ることはなんだろう

来年は来年はと思いながらも
また1年また1年が過ぎていく

どこでもドアがあったらいいのにね
こんなに遠く離れているのに
会った回数なんてそんな多くないのに
気にかけてもらえることが
とても嬉しいんだ
感謝を伝えたいんだ
その為にどうか、間に合いますように

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