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介護と仕事のバランス:介護離職の現状と介護職との意外な接点とは

親の介護を理由に転職した人で、転職先でも正社員として働いているのは男性で3人に1人、女性は5人に1人にとどまり、その場合の平均年収は約半分に減少しています。そして、転職の最大のきっかけは「自分以外に親を介護する人がいないから…」
家族の介護を理由に会社を辞める、いわゆる介護離職をする人が年間約10万人います。労働力人口の減少が問題になっている中で、この10万人はあまりにも大きい損失です。しかし、この介護離職はこれからもますます増えていくことでしょう。

「介護離職」が介護業界に発しているメッセージが2つあると、私は考えています。
1つは、介護という仕事の社会的使命です。
日本の隆盛を支えてきた高齢者の尊厳や晩年、終末期を支えるといった使命、それに加えて、その家族の離職を防ぐセーフティネットなのだという使命。
コンビニエンスストアは、あれだけの店舗数で相当数の人材を確保しているわけですが、パート・アルバイトの人に一番最初に伝えることが、まさに社会的使命なのだそうです。近隣住民への安全防犯効果であったり、災害時のライフライン確保であったり、どれだけ社会の役に立っているかを、初期研修でしっかり意識してもらうそうです。
介護事業所も、しっかりとその社会的使命をスタッフに伝えるべきだと思うのです。人の役に立っているということを、常日頃から実感できれば、モチベーションアップにつながります。

もう1つは、ワーク・ライフ・ケアバランスという視点です。
今後は、仕事と生活(充実した家族関係や子育て)の調和、これにケア(介護)が加わってきます。よりよい人生を生きていく上で、誰にとっても、この3つの要素は無視できない大切なものです。
介護の仕事に携わるということは、この「ワーク」と「ケア」が重なるわけですから、いい人生を歩んでいくために、非常に有利な状況にあるといえるのです。
介護の現場で培った知識や経験、そして人脈は、自分の家族に介護が必要となった時、どれだけ役に立つか計り知れません。既に介護のコツを身につけているのですから、自分でできることは自分がやり、そして、必要なサービスを選んで、効果的な支援を求めることができるなど、会社を辞めなければならない程、追い込まれることは、ほとんど無いのではないかと思うのです。介護の仕事に真剣に向き合うほど、ケアバランスがうまくとれるようになるのです。

このような視点を、介護スタッフの皆さん、一人ひとりにしっかりと伝え、これからの人材獲得につなげていくことが、介護業界全体にとって非常に大切になってくるのではないかと考えています。


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