【小説】「天国のこえ」5章・うつ病(1)
「あのおー…今日って空気薄くないですか」
ほぼ他人のパソコンのタイピング音しか聞こえないようなオフィスで、おずおずと私は真向かいの同僚に尋ねた。
「え?」
同僚のマナは目を丸くし、私の方を向いた。
「息苦しくないですか…?」
そっとオフィスに響かないように私はささやき声をあげた。
「いや…あ?そんなことないけどねえ?どうしたの、木村ちゃん」
「えっと…」
私が言い淀むと、マナは私の隣に座るお局様ことトモコに目線を向けた。
「トモコさん、空気薄いですかあ?」