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凡人は必死でそんなフリをする
守秘義務があるのであまり具体的に語ることはできないのですが、先日行ったオーディションでのお話。
そのオーディションはお題がその場で出され、恋愛に奥手な娘と母親が恋バナをする、というものでした。もちろん私はお母さん役で、台詞は全てアドリブです。
まー、これが全然できなくて。
アドリブ好きな方なのですが、恋バナになると何も出てこないことが分かりました。
母として娘に、結婚を、薦める。
どうにか母親が娘に言いそうな「あんたもそろそろ〜」「いい人いないの〜?」「孫が見たいわ〜」などの台詞を脳内のスカスカな引き出しから捻りだしましたが、上手に結婚生活を続けられなかったバツイチの私にはそれらの言葉が自分に刺さる(汗)
穴掘って埋まりたい、と猛反省しながらその日は帰ってきました。
先に心が変化して、言葉が出てくるような天才タイプの俳優さんもいらっしゃるのでしょうが、私は決められた台詞やシチュエーションから、ああこの役の心はこんな感じかな、と辿っていく凡人タイプです。
一度決まっちゃえばアドリブも楽しいんですけどね〜。嫁いびりする御姑さん役とか超楽しかったもんな〜。
もちろんオーディションは落ちました。
どんな役が来てもこなせるようになりたいとは思うけれども、またそう思ってきたのですが、正直苦手なものは苦手です。
役者の心の中には「本気でそう思っている自分」と「それを客観的に見ている自分」がいつもいるのだと思います。
大竹しのぶさんも舞台「ヘレン・ケラー」でサリバン先生を演じたとき、毎日繰り返される本番の中で、ヘレンに対して「あなた昨日もウォーターって言えたじゃない」と思う事があると語っておられました。かの森繁久彌さんも、舞台上でお客様を泣かせながら共演女優さんのおっぱいやお尻を触っていらしたと聞きます。
アリはアリの行列を観察したりしないし、
その技術を競って競走したり表彰したりしない。
ましてや演技したり、それを喜んで観たりもしない。
ホモサピエンスは風変わりな嗜好を持っていると思います。
今日はここまで!
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