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わたしを離さない帯が見たい

帯愛があるので絶対に捨てない。
もちろん着物ではなく、本の話。
電子書籍に何が足りないかと聞かれたら、迷わず「帯!」と答える。
あそこに書かれたズバッと短い文言が好きで、平積みをぶらぶら見ているときは、ほぼ帯しか見ていない。
腕をつかまれるような力強い帯に出会うと、それだけで買いたくなってしまう。
だから、帯の文言は短いほうが断然いい。
立ったままでもバンと、目に飛び込んで来なければいけない。

それなのに、この頃の帯はどうもゴチャゴチャとし過ぎている。
あれこれ書き過ぎているので、全体的に字が小さいのだ。
手に取らないと見えない帯に、いったい何の役割があるのか。
帯の役割はひとえに、書店の通路をぶらぶら歩いているそこのあなたを、ガシッと引き留めることにあるだろう。
眼鏡を取り出さないと見えない字など、あまりに配慮がなさ過ぎる。
それだけで、中高年お断りと書いてあるに等しい。

環境考古学への招待(岩波新書)

これまで買った中で断トツはこれ。
ここまで言われたらもう買うしかない。
中身も非常に面白くて、もっと若いときにこの学問分野を知っていたらと、地団駄を踏むほどだった。


心にひびく短詩の世界(講談社現代新書)

こちらは短詩を解説した本。
タイトルとたった一行、もしくは二行という本当に短い詩を、「言葉の宇宙」と言い切っている。
古い本だけれど、いつも傍らに置いている。
自分が書く文章に嫌気がさすと、「言葉の宇宙」を紐解く。
そのたびに、書き過ぎてはいけないのだと身に染みる。

帯で選んだ本にまず間違いはない。
だから、短い文言で射貫くように、わたしをとらえて離さない帯が見たい。

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