見出し画像

「レアル・マドリード 新しい銀河の光、ジュード・ベリンガムと白い栄光に忍び寄る黒い影」

新しい銀河の光、ジュード・ベリンガムと白い栄光に忍び寄る黒い影

 既に始まっているラ・リーガ 23-24シーズン、エスパニョーラの白い巨人「レアル・マドリード」で新しい星が観測された。

第3節セルタ戦 ホセルのフリックから劇的決勝点を決めるベリンガム

序列を下げざるをえないスター 続出する怪我人 栄光とその継続の難しさ

 正直今季のマドリーの命運は、ベリンガム1人にかかっているといっても過言ではない。ロナウドが去ってから得点源であったベンゼマはアル・イテハド、スーパーサブのアセンシオはPSGへ。中盤のモドリッチ、クロースは共に30代後半(クロースは33歳)とCLを制覇してきたかつての英雄たちは銀河の中心から徐々に離れていく。それに加えてスペシャルな守備とブラジル人らしく身体全体で得点に関与するミリトン、新加入トルコのメッシ「ギュレル」、バロンドール級のGKクルトワ、守備を支えてきたセバージョス、メンディ、極め付けは今期3節で怪我を負ったヴィニシウス。継続的に戦っていくには、黒い要素があまりにも多すぎる。
それだけではない。ロドリゴは21-22CL以降今ひとつ結果が残せていないし、バルベルデはポテンシャル上バロンドールに手が届く選手だが、足元の上手さを発揮するよりも闘将としての役割でレアルでも代表でも献身的なプレーが目立つ。リュディガーは、皮肉にも我らが日本戦以降ミドルもヘディングもなりを潜めてしまった。カマヴィンガ、チュアメニのクオリティはトップレベルだが、クロースモドリッチと同じ活躍をするにはまだ時間がかかる。栄光のCL3連覇そしてベルナベウの奇跡と優勝と結果は残せているものの、そろそろ新しいストーリーを始める準備が必要なのかもしれない。

新しい希望 ベリンガム

影が濃くなる時、光もまた強くなる。イングランドバーミンガムからドイツドルトムントを経て遂にブランコに袖を通す若き新星ジュード・ベリンガム。リーグ戦3戦4G1Aと既に故アザール(生きてます)の記録を超える活躍だ。その活躍ぶりからさぞかしファンタスティックなプレーをしているのだと思われるかもしれないが、全くの逆。アンチェロッティの起用方法は、20歳の若手に文字通りチームを背負わせている。一試合に2度ほどあったベンゼマが降りてきてリズムを作る動きをシステム的に取り入れ、ベリンガムはボールに対して90分間常にアプローチする。KP、DFのロングキックは言ずもがなヴォランチにボールが入る時には、本来トップ下の選手やウイングが寄る動きを全て1人でこなす。ウイングに入った時にはカバーか裏を見たり、コンビネーションを試みる。ヴァイタルエリアに入ればレヴァンドフスキとなり、ゴール前ではハーランドにもなる。つまりベリンガムはあらゆるストライカーの動きを求められていて、さらにこなしているのだ。この動きがこなせる選手がいるのなら、指揮官は戦術など考える必要はない。ここまで言うとメッシ並みの働きだが、ベリンガムはメッシのような選手ではないし、現在メッシに並ぶ選手は存在しない。それでもベリンガムの働きは今シーズンの5大リーグの中で一番と言えるだろうし、このスタイルが代表でもできるのなら新しいフォワードの誕生とも言える。まるでNBAのポイントガードだ。見ていて笑ってしまうくらい、ベリンガムは常に画面の中にいて、アクションを起こしている。アンチェロッティは彼に頼るしかないのだ。まだ20歳の、若く生意気な新星に。

得点を決めてクロースを指で呼ぶベリンガム、クロースは快く受け入れ熱い抱擁を交わす


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?