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第11回 帰国直前

2007年3月、帰国を間近に控えていた。息子がプリスクールで過ごす最後の日、夫と2人で挨拶がてら見学させてもらった。この日はちょうどSt. Patrick’s Dayをお祝いする日だった。(アイルランドにキリスト教を広めた聖パトリックの命日)子供達は緑色の服を着ることになっているので、息子様に緑色のシャツを買っておいた。

先生方から寄せ書きとアルバムをプレゼントされた。アルバムには息子の成長記録の写真が何枚も貼ってあり、寄せ書きのあたたかいメッセージには涙が出そうになった。先日メッセージを読み返してみた。すると面白いことに息子の長所として誉めてくれている点が、のちに小学から高校までの担任との面談で、誉めてもらえたこととほぼ同じなのだ。三つ子の魂百までというのは概ね正しいのかもしれないと感じた。

自由時間に子供達はブロックでお城?らしきものを作っていた。ものづくりが好きな息子はリーダーのようになっていて、他の子に「これ使う?」と聞かれ「それはいらない、あれを取って」などと指示を出していた。

息子はデイケアに通い始めた頃、先生から「おとなしくてあまりしゃべらない」と言われていた。そりゃそうだ。英語どころか日本語もあまりうまくしゃべれなかったのだから。今やすっかり英語が上達し、生き生きと遊んでいる姿に私は感動を覚えた。

帰国の日、空港まで友人達が見送りに来てくれた。彼らとは一緒に観光に行ったり、ミュージカル鑑賞やカナダでの野球の試合を楽しんだ。夏はよく庭でバーベキューもした。異国で暮らす日本人同士、何かの時にはお互い助け合ってきた。

学生時代に短期留学した時とは比較にならない程色々な経験が出来たと思う。アメリカの見習うべき所を知り、そして改めて日本のいい所にも気付かされた。アメリカで暮らした日々は、私達家族にとって生涯忘れることのないとても貴重な体験になったのだった。


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