スーツケースに心をこめて⑥

私の父は、作り話が上手である。
わたしは、素直に正直にと育てられたが、大人になって嘘をつくようになったので、教育って何かしらと思うのである。

親が「こうなって欲しい」と思うのと反対方向に子供は育つのではないか。
私は過去に事情があり子供を失ったため、子育てに無縁でやがて５０歳になる。

５０歳まで生きられるならば、自分の人生意味があったと思って良いんじゃないか、、半世紀近くも生きた人は、一つの図書館みたいにそこに有るのだ。これが１００歳になったら、福岡のツインドームみたいになるのかなあ。私は１００歳に是非なりたい。

若い人がうらやましいけれど、お肌がつるつるだとか、どの子も可愛いだとか、そういうことであって、見た目で徳をする以外に何か良いことがあるのかしら。あ、若い女の子を否定してはいないので。あしからず。

でも、若いという事はそれだけで苦しいことを私は知っている。いろんな人が居るのだろうけど、自分も若かったので、様々な苦しみを味わい、そして今も知恵を出しては苦難を乗り越える、いい感じの中年になったと思う。

私に憧れる人は、いないと思うけれど、私が私に憧れる、そんな中年でいて、次の目標である「壮年」まで生きて行こう。

つづく
（この物語はフィクションです）