俺、黒俺と遭遇！

「お前……俺、なのか……？」
静かに首を縦に振る黒俺。
便宜上、奴のことは黒俺と呼ぶな？
黒俺は、静かに俺を観察して
何かを言いたげだった。
「お前……言葉はわかるよな？
喋れるのか？」
喋れない、とジェスチャーする黒俺。
俺からの質問に
「YES」か「NO」でしか
答えられないのか……。
＊＊＊
ここまで書いて、タッチペンが止まった。
画像には人影が二体、
明日演じてくれる声優はひとり。
一人二役と言う方法もあった、
それが最も無難なやり方だろう。
しかし、僕は黒俺と呼ぶ彼の声帯を
敢えて奪った。
どんなに狂人であったとしても
言語でそれを表すことは叶わない。
＊＊＊
明日もらう台本は、初の男子高校生役。
私に回って来たのだから
変声期も向かえていない？
歌のレコーディングが減って
アフレコの機会が増えた。
こんな時代だもん、CDをプレスしたって
握手券入れないと売れないか……。
握手をしたくないって意味じゃない！
純粋に音楽として見てもらうには
もっともっと、光る技術を
伴わないとな。
蝉の声は聴こえなくなった。
初秋の折、新機軸のビタミンエンジェルスに
どんな展開が待って居るだろう？

ビタミンエンジェルス
teamA
容姿：彩原六花
資質：吉井桃香
歌唱：川津由芽
演技：白藤咲夜

ビタミンエンジェルス
teamB
容姿：似鳥真花
資質：敏田友梨香
歌唱：黒鳥まりあ
演技：華村桜子