その日の空は青かった

ウワッ!見つかっタァ!

どうも。空オケことスカイロフトオーケストラの企画・運営を担当していたあいらと申します。

去る10月2日に演奏会は無事終"焉"し、大盛況で終えることができました。関わってくださった皆さま、開場に足を運んでくださった皆さま、応援してくださった皆さま、誠にありがとうございました。

(終焉から1週間が経った今もなお、#空オケで感想を呟いてくれる方が居らっしゃったり、Webアンケートを送ってくださる方が居らっしゃる…これは本当に凄まじいことです)

せっかくこのような一大企画を動かしたのだから、同じくオーケストラ企画を夢みている人へ向けて何かためになる物を残したらいいのでは?と思ったのですがそんなスキルはありませんでした。私が運営としてやったことと、その感想を書き散らかしたり、裏話を書いただけの文章になってしまいました。割と誰向けの文章かわからないです…書きたいように書いた。ガハハ!
そんなものですが、よろしければお付き合いくださると嬉しいです。


・発端は、何気ない雑談からだった


宮本デンさん(@den_c02)のインタビュー記事代表のりゅう(@ryuchan_GGWL)の記事を読んだ方ならもうご存じかもしれない。私たち空オケ運営は「何者でもない作編曲家」と「何者でもないバイオリン弾き」で、オーケストラはもとより「大勢の人を集めてなにか一つのプロジェクトを進行させる」なんていう経験も微塵もない人間たちです。でした。
それでも、初めてのオーケストラ企画を「大成功」と言って差し支えない形で終えられたのは、企画に関わってくれたすべての人とご来場いただいたお客様たちのおかげ…

ほんの何気ない雑談から企画が持ち上がり、あれよあれよと進んでいってしまった空オケ。(企画オケっていうのはそんなものなのかもしれない。次の企画は打ち上げの酒の席で決まるなんて話もよく聞く)運営業務の全貌をきちんと把握していなかったからこそ、勢いだけで企画を走らせることができたともいえる。

「自分でアマオケ立ち上げればいいじゃん」

そんなふうに提案したのは私だけど、自分の手でオケを立ち上げるのは私自身の夢でもあった。チャンスだ!と思った。こんなにも大きな企画を動かすのは初めてだったけど、絶対に上手くやれるという根拠のない自信があった。

題材は『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』大人気シリーズ作品で、何よりもマスターソードりゅうさんの編曲という最強の武器があったから。

未経験でも、無名の人間でも、企画を完遂できたという実績は、同じく自らの手でオケ企画をおこしたいと考えている人にとってある種の希望となるかもしれない。ですが、軽率に「じゃあ私もやってみよう!」とするのはやめたほうがいいです。本当に…色々綱渡りしつつも、結果的になんとかなった!してもらえた!みたいなことが多すぎました(大反省ジャンピング土下座)
企画を立ち上げる時はまず有識者に相談しましょうね。絶対、協力してくれる人がいるはずです。なんなら私も力を貸します。(ミジンコ並みの戦闘力ですが)(邪魔)


・たくさんの仲間を求めた


先述の通り、我々空オケ運営はもともと、誰からも存在を知られていないモブキャラでした。まずは顔と名を売らねば!ということで、「ゼルダの伝説スカイウォードソードの楽曲を楽しく演奏するオフ会」を開催しました。(通称「スカウォ演奏オフ」)どうやらオケ編成での演奏オフ会というものが珍しかったらしく(吹奏楽が多いらしい)、ありがたいことに多くの「ゲーム音楽の演奏を愛する人たち」に興味を持っていただけました。
いわゆるお試し版の会ということもあり、約50名ほど(空オケの半分!笑)の小さめの編成で演奏を楽しみました。

そして、オフ会だけでなく、演奏会も開きたいと思っていることもっともっと大編成での演奏をしたいと思っていることをみんなに伝え、オフ会は無事終了したのでした。
(余談ですが、この演奏会に向けた話をしているあいだ、フロルさん(2ndVnトップ)はマスク越しにでもわかるほどに破顔していた…それを見て私は幸せな気持ちになったりした)

さらに、求めたのは奏者仲間だけではありません。見切り発車の私たちでしたが、さすがに演奏会の運営を2人だけで回すのは無謀だということはわかっていたので、運営仲間も探すことにした。
(ちなみに編曲仲間を探すみたいなことは一度も考えたことがなかったのかというとそうでもなくて、「一人でやるって相当やばいことだよ、わかってる?」と何度か確認したのですが、「おれはひとりでやるんだ」と言って聞かないのでじゃあやってみれば…と投げてしまいました。いろんな意味で取返しが付かないことをしてしまったんだなと思います)

演奏会に「奏者としてだけ」参加するのと、「運営としても」参加するのでは、当然、圧倒的に後者のほうがリスクがでかい。万が一、感覚の合わない人間が運営内にいた場合、一つのプロジェクトを半年間もの間いっしょに進めるなんて、地獄でしかないでしょう。

それでも…

そのリスクを背負ってでも、どこの誰ともわからん者がやろうとしている企画に、「ゼルダの音楽がやりたいから」という想い一つで賛同してくれた。これには本当に感謝しかない。

かくしてもぐさん(合唱ソプラノ)は私たちの1人目の仲間になった。


・このことははじめに決意した


そして私は思った…まずは奏者が最大限に楽しめる企画でなくては
ブレてはいけない。空オケのせいで作品にケチがつくことがあってはならない。この企画でいやな目にあったせいで、スカウォをプレイするたびにその苦い思い出が呼び起こされる…そんなことがあっては絶対にいけない。そう決意した。

もちろん「楽しいだけ」の演奏会にするつもりは毛頭なかったが、根底には「楽しい」が無いとダメだと思った。企画自体が、演奏自体が楽しければ、自然と皆のモチベーションがあがり、オケ全体にいい効果をもたらすと思った。

幸いなことに、運営として手を挙げてくれたもぐさんはゴリゴリのゼルダオタクだった。「リンクが剣をを引き抜くときの曲、シリーズで8曲あります!どのシリーズのものかタイトルを答えてね☆」というクソみたいなクイズで、もぐさんは8問中7問正解した。団内でぶっちぎりの優勝だった。
(これは奏者同士の交流目的の、レクリエーションとして企画したクイズでした。残りの1問はマジでひっかけ問題だった)

こんな最強の人材が運営にいるのは本当に心強いことだった。お客様ゴリゴリのゼルダオタクには、どうすれば楽しんでもらえるのか。サンプルデータが身近にあるということだからです。

もぐさんが歓喜のあまり膝から崩れ落ちて絶叫する姿を思い浮かべながら準備していたことだってあった。それぐらい、彼女のゼルダ愛は私たちにとって指標になった…

もぐさんがいなければ合唱隊は全然別の団体になっていたことだろう。「スカイロフトクワイア」が、あんなにゼルダ愛にあふれた団体になったのは、熱い歌声をお届けできたのは、間違いなくもぐさんのおかげです。「ありがとう」


・運営あいらは何をやった?


基本的に私がやってたことはめちゃくちゃ地味です。表に出ない部分をひたすらやってた。

何をやったか?
多分みんなそんな興味ないと思うのであえて見づらくしました。

1.たくさん資料を作った。空オケという企画の元に集った奏者の中には、スカイウォードソードという作品を知らない人もいた。そういう人にはまず、作品の魅力を知ってもらう必要があった。りゅうさんは編曲にどんな想いを込めたのか。1節ごとにスライドにまとめて、全部説明した。「この音はゲームのこれを表現してて…」という部分も、文章なんかじゃ伝わらないので実際のゲーム動画をみんなに見せて説明した。演奏以外の演出も、やりたいこと全部資料に書いて展開した。団内の交流には「Slack」というアプリを用いたのですが、少々クセのあるアプリだったので、よく使う操作を<マニュアル>と称して共有した(これはもう完全にやる気を持て余した結果の産物)(いらんかった)演奏会が近くなってくると、決まった演出、役割、配置や時間割タイムスケジュールなどなどをまとめた。とにかく資料作りに時間を取られて、慣れてない人、苦手な人にとってはこれは地獄だろうなと思ったりした。2.いろんなルールをきめた。空オケの始動(練習開始)は2022年4月。コロナが今以上に猛威を振るっていて、活動停止のリスクと隣り合わせの中での活動でした。どんなに気を付けていても完全には感染を避けられない恐怖を少しでも軽減したくて、コロナ感染をできる限り避けるためのルール(というかマナー)と、万が一罹ってしまった場合のフローを明文化して全員に共有した。練習参加の際は全員、出欠表に記入をしてもらうようお願いした(管理がクソ大変だった)。当日急遽遅刻・早退・欠席する場合は、団員全員が見ることのできるオープンチャットでその旨を報告するようお願いした。ルールが多くて大変だったと思う。守ってくれてありがとう。あと忘れちゃいけないのが、「オケ活動を行う上でのルール」。個人情報を大事にしてねとか楽譜見せびらかしたりしないでねとか、そういうやつです。それらを「誓約書」としてまとめて、僕たち私たちはこれらを守ります!って奏者のみんなにやってもらったりした(疲れてIQが下がってきた)3.「究極のお願い」(婉曲表現)をした。様々な理由で空オケを去っていった奏者もいました。あまり円満じゃない…パターンもありました。こういった決断をしたり、宣告するのも運営の役目です。目をつぶって事なかれ…にするのも一つの手ではありますが、本当にそれでよいかは真剣に考えたほうがいいです。企画に真剣に取り組んでくれている奏者に失礼なので。トラブルが起こってからでは遅いので、事前に「これをやったらアウト」みたいなラインを決めておくといいと思いました。4.その他いろいろ、練習会場を見繕って団体登録をしたり予約とったり。いかんせん人数が多いので使える練習室が限られていて、めちゃくちゃ困った。抽選会には無限に落選し続けていた(これを無限奈落といいます)。いろいろの業者探したりエキストラの奏者を探したり、お客様対応をしたり(これは本番直前が一番大変だった)、あ、あと会計もやりました。予算組んで帳簿つけて…というやつ。組んだ予算と出費が大幅にずれて(なんでか?必要な備品の見落としが大量にあったからだよ☆)、「予算組んだの誰だよ!!!!!」とブチぎれたのは1度や2度じゃない。

地味じゃない業務もありました。(ほらみんなこっちのが興味あるでしょ?)

まずは「プログラム」に関すること。
そもそもオケ企画が始動して、よし、プログラムを作るぞ!となった段階では、スカウォのサントラはこの世に存在しなかった。(2021年11月23日めでたく発売!オリジナル版のスカウォと同じ日に発売されたの激エモですよね…!)
つまり音源もなければ曲名もわからなかった。だから、ストーリーの進行順に沿ってすべての曲を洗い出し、わかりやすいように仮タイトルを付けた。耳コピをするのに繰り返し何度も聞けるよう、動画のリンクも付けた。そして「このシーンはこんな曲」「この曲はこっちでも使われてる」みたいな情報と、演出などのアイデアを全部メモしてリスト化した。

これがそのリスト。物語を彩る楽曲たちをひとつずつ味わうような、この工程がとても楽しかった
編曲の進捗リスト。サントラ発売の知らせを聞いたときは、曲タイトルが判明する!!と喜んだ
多くの人が熱望してたミニゲーム曲たち。
ほら見て…最初はプログラムに入れる予定だったんだからね…!(泣

ゲーム音楽には欠かせないSE(=サウンドエフェクト)は曲のどこで使うのか?ストーリー上、同じ曲が2回流れる場面があるが、どちらで採用するのか?曲のつなぎどうする?ループは?編成は?
そういったことを練っていくのにこのリストが大いに役立った。プログラムの大まかな流れや「この曲はこういう雰囲気にしたいよね!」みたいな部分は、りゅう・あいらで反対意見が出たり対立することが一切無かったので、するすると決まっていった。りゅうさんの編曲には絶対の信頼を置いているので、プログラムの大筋が決まった後はすべてりゅうさんにお任せした。

…というのはちょっとだけ嘘で、私は2つだけりゅうさんの書いたプログラムに口出しをした。りゅうさんは「守護者たち」と「ファイルセレクト」をプログラムから外そうとしていた。理由はどちらも編曲上の問題で、オケで表現しにくい(ファイルセレクトに関してはそもそもハープ2台無いと演奏できない)とのことだった。でもこの2曲がないなんて!!!!となったので、「入れないとりゅうさんの楽しみにしてるプリンは私が食っちまうぜ…?」とかなんとか脅して入れてもらったのだった。多分…忘れたけど…
どちらも入れてよかった。特に守護者は無事みなさんのトラウマを抉ることができたようで、大満足です。
ちなみにマジで編曲は大変そうだったし、中低弦の皆さんはマジで演奏が大変そうだった(ごめんなさい)

それから「演出ギミック」に関すること。
せっかくゼルダの企画をやるんだから、音楽以外の部分でも楽しんでほしかった。「自分で演奏会を企画するなら」を常日頃から妄想していたせいもあって、このあたりのアイデアは泉のように湧き出てきた。(エヘンプイ)
…とドヤ顔をしていますが本当は、過去、他団体さんがやっていて、これはすごい…!と思ったアイデアを参考にしただけだったりする…

そのうちの一つは、お客様参加型の曲を作りたい!ということ。
やはり、こういった演出があるとぐっとお客様と奏者の心の距離が近くなって、世界観に引き込みやすいと思います。というか長丁場のコンサートだったから、お客様を退屈にさせないためという目的もあったのだけど…

これを思いついたのは、フィガロ王立管弦楽団さん(@figaro_orch)のコンサートで参加型の演出があり、それがとても楽しかったのを思い出したから。
こちらの演出は、FF6のオープニングムービーで流れる曲をみんなで一緒に歌いましょう!というもの。歌うといっても「ファ」「ミ」の2音だけなので、曲を知らない人でも気軽に参加できた。とてもシンプルな内容かつ、皆で楽しんで参加できる素敵な演出だったと、今でも心に残っています。
(フィガロさんの演奏会が開催されたのは、コロナがこの世に爆誕するよりずっと前です。みんなで声を出すタイプの演出は今は厳しいので、さみしいですね)

空オケでは第2部の開始前に「パナン歌います」という楽曲でお客様にも演奏に参加していただきました。演奏にあわせて両手を左右に振るというシンプルな内容でしたが、途中で急にリズムが変化するので案外難しく、奏者もうっかりすると間違えたり…w
もちろんこのリズムは原作通りなのですが、ゲームをプレイしていても忘れてた!という方が多かったようで、「新鮮な気持ちで楽しめた」と好評だった。特に「ゲームの中の登場人物になれたようで嬉しかった」という感想をたくさんいただけたのが本当に嬉しかった。やってよかった…!

ほかには、演奏以外でも世界観を作り上げたい!と考えた。
唐突ですが、私はファイナルファンタジー14というゲームが好きです。あれはまさしく「ファイナルファンタジーのテーマパーク」と言える、随所にファンを喜ばせる仕掛けがしてあって、「ああ…私は今ファイナルファンタジーの世界にいる…」という気持ちにさせられる素晴らしい作品です。

そんなふうに随所に仕掛けを施して、まるでテーマパークにいるように、コンサートに足を運んでくださった皆様が「私は今、スカイロフトにいる!」って思ってくださったら嬉しいな、と思って演出を考えていました。

特に思い入れが強いのが影ナレ。
これも他の団体さんのアイデアを参考にしたのですが、(現地に伺って実際に自分で目にしたわけではないのでボカして書いてます)ゲーム内のとあるキャラクターに実際に声をあてている声優さんご本人に影ナレをやっていただくというもの。どうやら奏者にも内緒(!)だったようで、終演のアナウンスの最後の最後でネタばらし、会場中絶叫の嵐…になったとかならなかったとか…! いやー粋な演出すぎる…
声優さんご本人が実際に会場にいてしゃべったわけではなく、収録した音源を流したとのことで、その情報を耳にしたときはそういうのもあるのか~!と衝撃でしたが、それが空オケのファイ風影ナレにつながった。本当に、本当にありがとうございました。(どこの団体の話かバレそう)

当初、「影ナレでこういうことがしたいんだけど…」と夫に相談を持ち掛けたら「それなら、収録した声に逆再生のようなエフェクトをかけたらそれっぽくなるね。ファイが剣から出てくるときと戻るときの音も欲しいよね。効果音作りが得意な友達にお願いしたら作ってくれるかも」と、5000兆点の返事が返ってきて、想定外すぎて逆に戸惑った覚えがあります。この人と結婚してよかったと思った瞬間の一つです。

ファイ影ナレの中の人(?)は、空オケの奏者に募集をかけました。誰かやってくれたら嬉しいな♥の気持ちで募集をかけたら、なんと10人近くから応募をいただいてしまい、誠に僭越ながら選考をさせていただいたりした;;
(みんな素敵なファイでした!!感謝!!!)

結果…ファイ影ナレを担当していただいたのは、舞台上では合唱ソプラノも担当していた夢野ウニさん(@FUKINO_K_)
読み上げてほしい原稿の大部分は運営で決めたのですが、どうにもにじみ出る「コレジャナイ」感…(たぶん、ワードチョイスとか細かい言い回しとかが惜しかったんだと思う)夢野さんに原稿を渡しつつ、「もう少し内容練りたいので、アイデアあったらください…!」と伝えたら、なんと夢野さんはゲーム内のファイのセリフをすべて書き出し、リスト化して送ってきた。このようなとんでもねぇ愛の塊をしれっと送ってくるもんだからぶったまげました。ふたを開けてみれば、夢野さんもゴリゴリのゼルダオタクだったのである。…オタクしゅごい…(褒めてる)
その資料をもとに原稿をどんどんとブラッシュアップしていき、最終的に会場で皆さまにお届けしたセリフたちができあがったのでした。「まるでファイがそこにいるようだった!」と好評で、嬉しかった…

さらに言うと夢野さんは、スカイウォードソードでファイの声を担当した嶋村侑さんのサンプルボイスを聞き込みまくって、声のトーンを研究してきたという…オ、オ、オタクしゅごい…!!(褒めてる)

夢野さんにお願いして本当に良かった…特にセリフの書き出しについてはまさしくこういうのが欲しかった!!という資料になっていて、ガチで助かりました。本物のファイかと思いました。いや本物のファイだった。夢野さんにも「ありがとう」


・ただただ、気配を消すことしかできなかった


プログラムや演出が決まれば、いよいよ舞台配置や演奏会の進行を決めなくてはいけない。進行…はなんとなくわかる。自分が演奏会に出た時やお客さんとして演奏会に行った時の動きをシミュレートして、どうにかこうにか組み立てた。(それでも足りない部分があってチェックいっぱい入った)

でも舞台配置は…?弦楽器は舞台上に椅子を置いて、譜面台設置してOK!でも管楽器や打楽器はそういうわけにいかない。舞台上にひな壇を組む。舞台の中におさまるのか?ひな壇の上に何人座れるのか?そもそも今奏者同士の間隔あけないと?曲ごとに配置換えがあるパートは?持ち替え楽器はどこに置く?音量バランスは?指揮者見える?導線は?などなど…考えなくてはいけないことが山積みだったが、そのうちの8割くらいが意識の外にあって、言われてから(え、どうすんだこれ…)ってなったりした(ヤバすぎ)。空オケでは初めから舞台迫り(舞台面フィールドのサイズを拡張できる追加コンテンツみたいなもんです)を使うと決めていたので、「舞台が狭くて全員乗らないっすよ!!」みたいな最悪の事態だけは免れたものの、1歩間違えば大惨事、みたいなこともあったんだなと気づき震えました。

そんなこんなで、この辺の知識がまるでなかった私たちは、Emmaさん(合唱ソプラノ)を頼ることにしました。Emmaさんはすごかった。訳が分からなすぎてスペースキャットになっているりゅう・あいらをしり目に、華麗に配置や進行を決めてゆきました。その中でも私たちのこだわりを尊重してくれて、無理・できないは言われなくて、代替案を出してくれて、もう…もう…なんとお礼を言ったらいいか…
会場との打ち合わせにも同行してもらったのですが、舞台配置に関することは私は一切口出しができず、ただただ気配を消しているのみでした。舞台のことも勉強しなきゃな、と思いつつもこういったことは経験がものをいうと思うので、付け焼刃じゃ太刀打ちできないってわけです…やはり餅は餅屋。今後も多大に頼らせていただく気マンマンですが、どうか見捨てないでください……Emmaさんにも特大の「ありがとう」

・それぞれの理想を追求するのが悪いこととは思えなかった

色々と書いたけど、ぶっちゃけてしまうと企画始まって初期の頃とかもう不安で死にそうだった。みんなが楽しんでるか全くわからなかったし、ちゃんと運営できてるか自信がなかったから(これについては今でもよくわからん)いかんせん楽譜のボリュームがエグかったので、みんな嫌になってしまったんじゃないかとか、練習場所遠いんだよ!とか、拘束時間長いんだよ!!って思われてやしないかとか…

もうなんか目を合わせたら怒られるかもしれんと思って、自信なさすぎて全然みんなと交流できない時期があった(陰キャ)

最初の自信はどこへ…という感じだが、とにかく、いざ企画が動きだすと胃が痛いことばかりだったのだ。とはいえ口に出すともうすべてが崩壊してしまいそうだったので、なんとなくりゅうさんとはポジティブな話題しか口にしないようにしていた気がします。

「こういうことがやりたい!」って提案したことのすべてに自信を持って、愛を持っていたことは事実…それでも気が弱ってしまうのは企画者にとってはよくあることですよね…?

あとはやっぱり、自分自身の演奏クオリティの話。私は奏者としての腕前は下の下の下くらいの人間です。そんな人間がオケやんな運営やんなってご意見もあったと思う。でもしょうがない、スカウォの音楽やるオケはこの世に存在しなかったから、作るしかなかった。

だから、あんまモチベ上がらんな~って人もいたと思う。それは本当にごめんなさい。こんな運営に付き合ってくれてありがとうございました。全体の演奏クオリティを上げるための工夫は他の人にお任せしきりだった。その点で言えば、私は誰よりもフロルさん(2ndVnトップ)に感謝をしています。あまりちゃんと伝えられていなくてごめんなさい。しかもこんなところに書いてしまって…

私よりもうまい人は他にもいるけど、正直サウンドの面で言えばその人を前に座らせたほうがいいと思うんだけど、でもこのオケにかける想いは誰よりも上だと思うから。と、私を隣の席に座らせてくれました。

彼は、最初から最後まで空オケに尽力してくれたうちの一人です。いつでも2ndVnのムードメーカーで、ダメダメな私に根気強くアドバイスしてくれて、努力家で、そして本番で最高にかっこいいソロをバッチリ決めた人。本当にたくさん悩ませてしまったし、胃の痛い思いをさせてしまったこと負担を増やしてしまったこともたくさんあったと思うのですが、最後は「空オケ、人生で一番いいオケでした」と言ってくれました。私はこの言葉が何よりもうれしかったです。ありがとう!!!!!!!

「作品への愛」だけでは成り立たないものはたくさんあれど、「作品への愛」でしか作れないものだってある…と私はこのオケを通じて実感しました。

正直、美談で終わらせてはいけない部分がたくさんあった。問題がなぁなぁになってしまった部分もあった。「あの時ああだった…」と燻ぶらせている人もいると思う。私はそれらすべてに蓋をしたくない。問題をすべて解消するなんてことはきっとできないのだろうけど、思考停止はしたくない。
「全部円満!ハッピーでした☆」で終わらないからこそ、人間が作り上げるモノに底知れない魅力があるのだと思います。(なんか壮大な話になっちゃった)

いずれまた、懲りずにオーケストラ企画を立ち上げたいと思っています。
どうか皆さん、これからも私たちに力を貸してください。