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俺はこの店が好きだ。長野県飯田市   七里屋茶房

俺はこの店が好きだ。

長野県飯田市吾妻町交差点角近藤材木店ビル、意外に目立たない建物だが、その一階に七里屋茶房はある。俺は前の前の店主から40年弱の常連だ。最初樹里と呼ばれたころ、そのブルマンブレンドでコーヒーに目覚めた俺だが、七里屋茶房と大胆にイメージチェンジしたとき少しだけ足が遠のいていた。だが、ある敬愛する人物からお茶のお誘いを受けたとき、数回目に我慢できずにこの店を選んだんだ。そうして、喫茶店を測るときいつもそうするように、「コーヒーを」と頼んだとき、俺は軽く驚愕した。飯田の他の店で味わったことのないイタリアンかと思うヨーロピアンブレンド。かおり高くコクと腰のある味わい。俺はまずこの味を愛した。そうして次々と店主おすすめのストレートコーヒーを味わうことになる。

いま俺はイェルサルバドルにはまっている。ブレンドよりは100円高いんだがそれはむしろ安い。冷暗所に大切に保管された丁寧に煎った豆をmg単位まで精密に計り、手挽きよりむしろうまいスライスする電動ミルで挽く。袋から出しただけで香る芳香が確かなものに変わる。挽きたてを即座にフィルターに移し、温めたドリッパーに乗せる。点々とお湯を垂らし蒸らす。和やかな会話の合間一瞬店主の目が鋭く変貌する。豆の膨らみ具合を見ているんだ。時間など計りはしない。店主の感性が冴えわたる瞬間だ。そうして慎重なドリップのあと、カップに注ぎ終え、客の手元にコーヒーカップを置くまで店主の集中力は続く。豆を出してからのハイテンション。俺はこれが好きだ。そうしてまず俺はアロマを嗅ぐ。三口ばかりすする。深煎りなのに独特の酸味、この味に関しては俺のボキャブラリーは及ばない。いつも店主にピッタシとかうまいとかしか言えないのだから。だんだんに温度が下がって行く味の変化はドラマティックだ。

ドッグ、ティー、チャイ、パスタ、ランチetc.etc.ここは何を食っても飲んでもうまい。だから俺の居場所に決めたんだ。

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