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2024石川・福井旅行記その1

 先日、石川県と福井県を旅行してきた。
 日程は3泊4日。一人旅で日をまたぐこと自体初めてのことだったのに、いきなり長すぎないかとは思ったが、思いのほかスムーズにいったし非常に楽しかった。旅の途中、もう1日延ばそうか悩んだぐらいだ。
 しかし反省点も多々ある。忘れないうちに、そして次への糧とするために、ツッコミしながら復習しておきたいと思う。

1日目:上野~金沢~片山津

 自宅の最寄り駅から上野駅に移動し、そこから北陸新幹線で金沢へ。
 金沢に着いてからは市内を走るバスを使って、ひがし茶屋街、金沢城公園、兼六園、21世紀美術館を回り、夕方ごろ加賀温泉駅に電車移動、そして片山津温泉の宿で1泊というスケジュール。

 ひがし茶屋街には午前9時ごろ着いた。商店街などはまだほとんど開店しておらず、たまに開いている店があったと思ったら観光客が集中して入りづらかったりした。まあ景色がよかったし静かな状態を歩けたので良しとする。

ひがし茶屋街。歩く人はまばら

 しかしここで寄り道。近くに泉鏡花記念館があったので行った。
 今は見る影もないが昔は一応文学青年だったので、大学でも日本文学を専攻していた。泉鏡花もそれ関連で読んだことがあるのだ。
 記念館の中はこじんまりとしていたが、内容は結構見ごたえがあった。展示だけでなく映像もあったりしたので興味深く見ていたら、そこで1時間ほど潰してしまった。
 いかん、予定が崩れる。しかし楽しいので途中で抜けられない。
 ついでに言うと、人のいない美術館や博物館が割と好きだ。静かで落ち着いて回れるし、そこにあるものを独り占めできる感覚がいい。とはいっても来館者数が少ないと営業が終わってしまう恐れもあるので、そこそこは人がいてほしい。完全に我がままだが。
 よくよく見てみると室生犀星記念館なんかも近くにあるじゃないか。今回は行けそうもないが、再訪した際は行ってみようと心に刻んだ。

泉鏡花記念館。ひがし茶屋街の一角にある

 またバスに乗って金沢城公園へ。
 バス停からどうやって入ったらいいかよく分からなくて迷った。無駄に歩いて石川門から入城。
 これがまあ、かなり広い。中心部だけをコンパクトに歩いても30分から40分はかかる。建物の中に入ったりしたら尚更だ。
 五十間長屋という横長の建物に入ってみた。武器や什器などの倉庫だったという。中はきれいで、城攻めされた際に上から石を落とす穴や、銃を撃つ場所などを見学した。
 面白かったのは、ひし形に建てられた角の場所だ。四角に建てれば楽なものを、わざわざ微妙に斜めに建てている。建築の際の工法なども中で紹介されていたが、とても古い時代のものとは思えないようなすさまじい技術だった。
 そして五十間長屋から出た際、兼六園は諦めることにした。
 もう足が疲れた。山道ならまあフラフラでも頑張って歩くが、観光に来ている平地で頑張って歩くのは意味が分からない。それに兼六園は以前も来たことがあるので今回はなしとした。

五十間長屋を石川門側から写したもの

 続いて21世紀美術館。こちらは金沢城の近くなので歩いて向かう。
 鼠多門から出て南へ。やっぱり金沢の中心部分なだけあって、この辺は垢抜けた感じがある。それに城があったと思ったらいきなり近代的アートの美術館があるというのも面白い。
 美術館の前ではきれいな桜が咲いていた。その下にある金属のアーティスティックなベンチで休む人多数。
 美術館は建物の周囲を囲むようにして大きなオブジェがあり、子供が遊んだり外国人が写真を撮ったり、思い思いに過ごしているさまが印象的だった。
 楽しそうだ。しかし私は一人旅なので若干肩身が狭い感じがする。まあ気にもされていないだろうが。
 美術館の中に入って説明を受ける。下からのぞける有名なプールは、震災の影響で見られないことは知っていた。どうやら見られるのは外側の安全な部分だけなようだ。ちょっと残念な気持ちもしたが、金沢に再訪する意思はもう固まったのでまた次の機会に。

美術館内のオブジェ

 ここで昼飯を済ませ、時間が余ってしまったことを知る。
 兼六園に行こうかとも考えたがもう戻る気にならない。それ以外に気楽に歩ける場所はないかと探したら、金沢城公園の西側に武家屋敷がいくつか残っているというので行ってみた。
 加賀藩に仕えた某さんの屋敷がいくつかあって、見学可能な状態になっていた。無料っぽいところに入って中をのぞいたり庭を見たりして過ごす。
 興味深かったのは水路だ。グーグルマップを見ても分かるが、この辺は細い川が流れている。これは防火などの目的もあるが、金沢城の築城にも大きな役割を果たしたという。
 ああ、確かにな。木材は流せばいいわけだ。城というと完成後の姿だったり攻められた場合の対策だったりに目が行きがちだが、こうした深いところの事情を知ると一歩進んだ視点で見られた気がしてうれしい。
 写真はなぜか撮り忘れた。やっぱり疲れていたんだろうか。

 そのまま歩いて近くの尾山神社へ。
 こちらは神門と呼ばれる異国風の門が印象的だった。神社によくあるアレとは趣が全く違う。
 加賀藩主・前田家ゆかりの神社だという。立派な銅像も中にあった。
 お参りをするときに脇に看板があり、「神門保持奉賛金のお願い」とあったので、ひと口1,000円を納めた。保持修理のために使われるという。あの素晴らしい神門が長く世に残るのなら安いものだ。

尾山神社の鳥居と神門。意表をつかれる見た目

 この辺で金沢駅に戻り、IRいしかわ鉄道に乗って加賀温泉駅へ。
 南北に長く延びた鉄道だが通勤電車ではないようだ。ボックス席のようになっていた。学生たちも乗っていたが、これで通っているのだろうか。
 加賀温泉駅はかなり立派にリニューアルされていた。新幹線延伸に合わせたのだろう。しかし中はまだ工事中のところもあった。完成したら案内所でもできるのだろう。
 バスに乗って片山津温泉へ。まずは総湯に入って体を休めることにした。
 片山津温泉総湯は平成24年にオープンした施設で、見た目もすごくきれいで新しい。もっと古びた建物を予想していたので驚いた。
 入ってみると、湯船も近代的。ガラス張りで外も見渡せる。あいにく暗くなっていたので景色は見られなかったが、朝や昼に入ると気持ちいいだろう。
 シャンプーなどは備え付けがなく、みな持参していた。これもちょっと予想外。自分は用意がなかったので仕方なく湯だけで体を流す。今後は小さいシャンプーでも持ち歩こうかな。でも液体って意外に重いし、こぼれるのが怖いな……。

片山津温泉総湯。外観だけ見ると美術館と勘違いしそうだが、中身は温泉


 いい風呂に入ってスッキリし、歩いて宿へ。安めの民宿を選んだが、結構部屋は広くて古くはあるがきれいだった。個人的な感覚だが、1万ちょいするビジホより5,000円前後の民宿のほうが満足感がある。もちろん安いという要素を含めてだが。
 素泊まりだったので近くの居酒屋で夕食。昼に海鮮丼を食べたくせに寿司がうまそうだったので頼んでしまった。あとアジの揚げ物と日本酒。

 これで1日目が終了した。いろいろなところに行って、たくさん歩いた。
 なかなか濃い1日だった気がする。しかし詰め込みすぎたか。巡回バスがかなりの頻度で来ていたのが救いだ。
 1日目をまとめるなら、「金沢をなめていた」に尽きる。
 金沢に金を落としに行こう、じゃあ兼六園周辺でも回ってみるかというのが最初の考えだったが、その兼六園周辺にいろいろなものがありすぎる。美術、文学、歴史、文化、うまい飯、目移りしてしまって1日じゃとても回り切れない。
 それに駅周辺はとても発展していた。近江町市場近くの街並みは、大都市圏とも張り合えるほど栄えている。なんだかいろんなものが混じり合ってできている街なんだな、という印象を持った。
 面白い場所だ。きっとまた来るだろう。ともかく翌日も早いのでさっさと寝ることにした。

 ……という感じで2日目の終わりまで書こうと思っていたが、思いのほか長くなってしまったのでここでいったん終わりとする。続きはまた今度。

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