実はコーヒーが苦手

頼んだコーヒーが来る

飲んだら苦味がぐるぐる

砂糖やミルクを入れて、くるくるスプーンでかき混ぜる。


それでも苦くてカップを揺らして、時計の秒針がくるくる回っていく。

コーヒーに砂糖とミルクをかき混ぜながら悩み事をする女性。そこは喫茶店で他の客は絵になるなぁと視線を送っていた。

しかし、女性の心の声は、「苦い!!」だった。実はコーヒーは飲んだことがなく、これが初めてであった。

砂糖とミルクを入れても、慣れない苦さに口の中はニガニガ、頭はグラグラ、周りの視線は何故かキラキラしていて複雑だったのである。

残すのは嫌だし、周りの視線も冷たくなりかねない。ゆっくり口に流し込んでは、苦味が引いていくのを待ち、また気合いを入れて優雅に見えるようにコーヒーを飲んでいく。

ようやく飲みきり、笑顔がこぼれる。

天使のほほえみのようなイメージなど想像させていたようだった。

(よし。退散。退散)と思ったら、店員さんが来て、「サービスです。お代わりのコーヒーをどうぞ」とナチュラルに女性の前に苦いコーヒーを置いた。嫌味も邪気もない笑顔に愕然とした。


深~く息を吸い込んだ後、優雅さを保ちながら一気に飲み干した。

そして、「ありがとう」と上品に伝えて、きらびやかな長財布をチラッと見せてお会計へと誘導した。


その女性は、喫茶店から優雅に出た後、すぐさま近くの自動販売機で甘そうなミルクティーとシュワシュワのコーラを選んだ。


そして、交互に交互に飲んで空にする。

すると「苦不味い……」と本音がでた。

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