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「魅力を引き出すインタビューのやり方」~第10期 京都ライター塾(動画視聴コース) 第4回レポート~

京都ライター塾は、書くことをテーマに発信を続ける、『京都暮らしの編集室』主宰 江角悠子さんが開催する、ライターなど「書く」を仕事にすることを目指す人のための全6回の講座です。

第4回のテーマは『インタビュー講座』

記事の制作のための材料・素材を集めるために、人のお話を聞くのがインタビューです。

今回は、そのために必要な準備や、アポ入れの方法、質問リストの作り方、インタビューの流れなど、講師の江角さんが18年のライター経験で培ったノウハウを教わります。

今回の講座のポイントは、
①入念な準備
②話を聞く力(コミュニケーション能力)
の2点だと感じました。


①入念な準備

〇取材前の準備

取材対象となるお店を決め、企画書を作成。
アポ入れをする等の準備を行います。
ここでいう企画書は媒体へのものではなく、取材対象に対してのもの。
企画書には、媒体の説明や企画の趣旨、取材の目的などを記します。
事前に伝えておかないと用意ができないものがある場合(例えば夏に秋の味覚の取材をしたいなど)はそうしたことも伝えておきます。

〇質問リストの作成

どんな記事が書きたいかというゴールを意識した上で作成します。
そのためには取材対象について調べ、基本情報を抑えておくこと。
また、状況に応じ、事前に質問リストを送っておくことで、取材を受ける側があらかじめ答えや資料を準備でき、円滑に進行することができます。

〇持ち物

取材に必要な持ち物を、18年間のライター経験からの工夫が伝えられました。
たとえば、
・レコーダーは、3000字を超える場合は持っていくけど、それ以下なら手元のメモで済ませる。
・カメラマンが同行する場合も自身の記録用にカメラは持参する。
・営業ツールとして自身が作成したフリーペーパーなどを持参し、仕事の依頼につなげる。
など、実践されてきた江角さんならではの情報も盛りだくさんでした。

〇インタビュー前の確認(当日の流れ)

改めて対象者に取材の目的を共有したり、録音の許可をとる、原稿チェックの日程を確認するなど、必要事項を確認しておきます。
撮影と話を聞くこと、どちらを先にするかなど、インタビューの段取りについてもイメージをしておきます。
江角さんは、取材で聞いて内容を撮影に反映できるので、先に話を聞いた後に撮影をすること意識されているのだそうです。

②話を聞く力(コミュニケーション能力)

〇話の引き出し方10のコツ

1.笑顔でいること
2.相手を名前で呼ぶ
3.相手の答えをさえぎらない
4.相手が聞き取れるスピードでゆっくり話す
5.オーバーなくらいに相槌を打つ
6.質問を細かく分ける
7.聞いた話の中から、次の質問を考える
8.分からなかったことは、その場で聞き直す
9.いいと思ったことは伝える、自分の感想を伝える
10.相手のファンになること

京都ライター塾第4回講座資料より

中でも江角さんが特におすすめで、日常生活でもやって欲しいと話していたのは、「9.いいと思ったことは伝える」こと。
質問ではなく感想を伝えることで、さらに対象の方から良い情報が得られることもある。
いいと思ったことやほめることは、普段恥ずかしくてなかなかできなかったかも知れないけど、相手も喜び、自分も嬉しい。
伝えることでよりコミュニケーションが円滑になるとのことです。

また、「10.相手のファンになる」は著名なライター佐藤友美(さとゆみ)さんも著書で書かれていたことを思い出しました。
相手のファンになることで、その魅力を伝えたいという強い気持ちがわくのだそうです。

〇こんなときはどうする?

インタビューをしていて困ったこと、ハプニングも江角さんの体験から語られていました。
例えば、相手が全然話してくれない、機嫌が悪い。
そんな時は、気にせず聞いていくこと。
引き受けた以上相手は対応する義務があるし、なかなかお話が引き出せないときは5W1Hを基本に、質問の仕方を変えながら掘り下げていくことが大切だと言います。

また、次の質問が出てこない=沈黙が訪れた時。
これも、悪いことではなく、沈黙することで相手が質問に答えるだけではない思ってもないことを話してくれることがあるのだとか。


私自身の経験から

〇相談援助の仕事で思ったこと

私はインタビューや取材をした経験はほとんどありません。
しかし、職業が福祉業界での相談援助職ということもあり、「人の話を聞くこと」は、これまで何度もしてきました。
講座の中でもカウンセラーの著書から傾聴技術に触れられる場面がありましたが、私が相談援助の仕事をする中で必要なポイントだなと思うことも、今回の講座に随所に盛り込まれていました。

たとえば、話の聞き方のコツで紹介されていた、
「7.聞いた話の中から、次の質問を考える」

相談援助の場面でも、より多く対象者の情報を得る必要があります。
私もよくアセスメント(評価や分析のための情報収集)の段階で、聞き漏らしがないようにと、質問リストのようなメモに基づいて質問したりします。

でも、これが続くと尋問のようになってしまうし、聞かれる人は疲弊してまうこともあるんです。
事前に用意したものをきっちり聞くのではなく、自然な会話のように、相手の話をを受け取ってさらに質問し、必要な情報をしっかり収集することをいつも心がけています。(難しいですが;)

また、
「6.質問を細かく分ける」
こちらも、日々直面します。
ざっくり「どう思いますか」と聞かれると相手は答えられない。
「それはいつからですか?」
「きっかけとなったのはどんなことですか」
など、質問を具体化することでお話してくださるようになることは確かにたくさんあります。

「人の話を聞く力」はインタビューに限らず、あらゆる場面で生きる力だと思います。

〇インタビューされて思ったこと

私自身、人生でインタビューを受けたことがあります。
子どもが乳児期だったころ母乳マッサージのために助産院に通っていた際に、テレビ局のドキュメンタリー番組が取材に入っていたのです。

その助産師さんはインフルエンサーのような方で、著書も多数、これまで何度もメディアに取り上げられている方。

その際、助産師さんの魅力を聞かれたりしたのですが、どうもインタビュアーの方の質問が誘導的というか、こういう番組構成にしたいから、こんな意見が欲しいといった意図が透けて見えるものだったんです。

話しながら、私は私なりの理由でこの助産院に通っているけど、おそらく私のこの意見は番組構成上使われないだろうなぁと感じていました。

取材する側は一定ゴールを決めて、そのための材料集めをしていく必要があると思うんですが、それが相手に伝わってしまうことの是非はどうなんだろうと疑問に思いました。

まとめ

今回はインタビューを行うにあたって必要な準備やその方法について、
また話を聞きだすためのコツや技術について学びました。
お話を聞いていて、やっぱり場数を踏んで練習していくことが何より重要だなと感じました。
私自身、人のお話を聞くことはとても好きだし、関心があるので、ぜひ実践の場面に挑戦してみたいと感じました。

※私は現在「動画視聴コース」の受講ですが、リアルタイムで受講されている皆さんは、実際に江角さんにインタビューをして記事を書く課題や、受講生同士でインタビューをするワークもあるようです。
きっとものすごく力になるだろうなと感じます。


第3回までの講座レポートは以下の記事に。



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