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インドに落ちた愚人ども。。。2   ブッダガヤに行ったがや

 「ブッダガヤ」は仏教聖地の中でも特別な意味を持っています。お釈迦様が悟りを開かれた、まさしくここから仏教が始まったのです。

***裸足でお参り

 「マハーボーディ寺院(大菩提寺)」はその中心。入口で履物を脱ぎ、裸足になります。日本の寺院ではあまりない風習ですが、インドに限らず、聖地の参拝は裸足で、というところは珍しくはないですね。

 足を踏み入れると寺院の象徴である大塔が出迎えてくれます。「ついにきた!」。実感が湧き起こってきました。興奮も冷めやらぬままに中へと進むと、塔の中で金色に輝くお釈迦様が待ってて下さいました。ボクは地面に身を投げ出す「五体投地」のお参りをして、お釈迦様にご挨拶をしました。

***死ぬほど苦しんだとて。そればっかりでは

 29歳の時に出家したお釈迦様は、2人の仙人について瞑想を学び、生死の境を行ったり来たりするような苦行荒行に挑んだのです。しかし、解脱することはできなかった。

 ぼろぼろになって座り込んでいたところに、村の娘スジャータから乳粥の施しを受けてリフレッシュ。これ、大事だったようです。いくら苦しんでも、悟りを得られませんでしたが、心機一転。ここブッダガヤの菩提樹の下で瞑想に入り、35歳の時、覚者となったんです。

 ボクはドキドキの思いで、菩提樹の大樹と対面いたしたのでございます。根元には「金剛座」と呼ばれる瞑想所があります。聖地ですんで、フェンスで囲まれております。たまたまフェンス解放の日で、そばでお参りすることができました。

***五体投地に次ぐ、五体投地

 「2500年前、まさしくここでお釈迦様が頓悟されたのだ」という熱い気持ちを般若心経に込めてお唱えしたんです。金剛座にお参りしている時、周りが静寂に包まれ、空気がピーンと張りつめていたことを今でも覚えています。本当に言葉では言い表せないほど有難い気持ちになりました。

 マハーボーディ寺院には世界の仏教徒が集います。印象的なのがチベットの人々ですね。彼らのお参りは五体投地が基本になります。どんなものか、一度YouTubeかなんかで見てください。そのスタイルで大塔に向かう人、塔の周りを回る人。お釈迦様を慕う真剣さが伝わってきます。日本に暮らす仏教徒とは、ちょっとちゃいますね。

***宗祖様も偉いのですが

 お釈迦様入滅から1000年後、日本に仏教が伝来しました。日本に伝わったのは、お釈迦様の時代の「初期仏教」ではなく、変遷を繰り返した末の「大乗仏教(大衆部)」と呼ばれる教えです。

 奈良~鎌倉時代、日本で誕生した仏教の宗旨宗派は大乗仏教系、あるいは、密教系の経典に基づいた教義になっていると言っても過言ではありません。

 お釈迦様の時代の仏教を見つめ直すというよりも、日本の仏教徒にとっては宗祖(祖師)の存在が大きいのです。お釈迦様にフォーカスすることは少ないように感じます。

***たまには、お釈迦様に帰ろう

 仏教の誕生の地ブッダガヤに来てみると、お釈迦様の存在感は圧倒的ですねえ。なんであれこれ宗派があるんだろう、と思ったりもします。

 ボクが真言宗のお坊さんでありつつも、お釈迦様の教えをしょっちゅう、お参りのみなさんにお話しするのは、こんな経験があるからです。

できれば大勢の人に、ブッダガヤを訪ねてもらいたいですね。訪問者それぞれのお釈迦様に、きっと出会えるのではないでしょうか。      
                          南無釈迦牟尼仏

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