福島聴空

ふくしま・ちょうくう 高野山大卒。元高野山米国別院駐在開教師。高野山真言宗現福寺(小松…

福島聴空

ふくしま・ちょうくう 高野山大卒。元高野山米国別院駐在開教師。高野山真言宗現福寺(小松島市)住職。令和元年から「仏教をうたう」と題した音楽活動を展開。1962年生まれ。大阪市出身。小松島市大林町在住。

マガジン

  • 般若心経とは何じゃろか

    般若心経をほぼ完訳しました。

  • トゥバ共和国への旅

    中央アジアのトゥバ共和国への旅。喉歌ホーメイの修行、荒廃したチベット仏教寺院の支援が目的でした。抱腹絶倒、仰天の連続、とまでは言いませんが、日本ではなかなか体験できない体験の連続でした。

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始めちゃいましょうか

さても、さても 始めちゃいますよ。チョークー和尚の人生いろいろβ版。仏教的に世の中を読み解いてみよう、という大それた試みです。 はるか昔、心の時代などと言われたことがあったけれど、残念ながら、そんなものは来やしなかった。代わりにやってきたのが、お金の時代。まあ、言うまでもなく、お金はずっと力をもってきたわけだけど、今の万能感たるや。お金持ちの人はどんどんお金持ちになり、そうでない人はやっぱりそうではなく、いわゆる分断というのが、世界的にどんどん広がっているよね。 拙僧A

    • インドに落ちた愚人ども。。。7   ガンガーでカンカー、なんのこっちゃ

      「バラナシ」は、3000年の歴史をもつヒンドゥー教の聖地です。ガンガー(ガンジス川)での沐浴で身体を清め、火葬し、遺骨を散骨して、輪廻からの解放を祈るのです。 もちろん、生者も。今回のインド旅行では、例にたがわずボクも沐浴を楽しみにしていました。 ***ついにきたよ 他の地域よりカオスに輪が掛かります。人の多さも匂いも騒音もグレードアップ。ホテルにチェックインして早めの夕食をとり、翌朝のガンガーに備えました。 起床は朝4時。さてとガンガーを目指します。まだ真っ暗なんだ

      • インドに落ちた愚人ども。。。6     クシナガラ 苦しながら

        ***チュンダ≠ユダ説 最期の供養者チュンダは、キリスト教におけるユダのような存在にも思えるんですけど、仏教とはまるで考え方が違いますね。ユダなんかいまでも、キリストを裏切った、と忌み嫌われていますもの。キリストだって一度死んで、復活しないとただの反政府主義者じゃないですか。裏切りだって、あらかじめ神の計画に入っていたのですから、2千年にもわたって嫌わなくてもいいんじゃないの、と思ったりもしますが、どうでしょう。 お釈迦様の葬儀は遺言の通り、弟子達ではなく在家信者によって

        • インドに落ちた愚人ども。。。5     串ながら クシナガラ

          勢いでつけてしまいましたが、愚人ども、とはこれいかにですよね。「ども」は、この旅、同行四人、うちの檀家さんです。愚人じゃありません。罰が当たります。 ***巨星落つ といっても、いまさらどうしようもないので続けちゃいます。今回はお釈迦様の涅槃の地であるクシナガラでございます。 静かで穏やかでしたね。寂寥感さえ漂っているような気がしました。でも、それって往々にして、先入観のなせるわざなんですよね。「お釈迦様が、ああ、ここで」なんて考えると、騒々しい車のクラクションさえ、し

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        始めちゃいましょうか

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        • 般若心経とは何じゃろか
          9本
        • トゥバ共和国への旅
          5本

        記事

          インドに落ちた愚人ども。。。4     まだここ、サルナート

           お釈迦様が遊行をした場所は、北インドからネパール南部のあたりです。村から村へと歩くうち、弟子たちが増え、そのうち何十人、何百人の大集団になっていきました。出家集団「サンガ」の誕生です。 ***戒律とは  サンガでは、お釈迦様の説法を聞いたり、瞑想をしたり、と修行に励んでおりました。大集団になりますと、ルールが必要になってくるんですね。それが「戒律」です。  「戒」と「律」。どちらも大事ですが、あえていえば「戒」。「律」は法律の律です。ルールを守れよ、でないと罰がありま

          インドに落ちた愚人ども。。。4     まだここ、サルナート

          インドに落ちた愚人ども。。。3    ここから始まるサルナート 

           サルナートは「初転法輪の地」ですね。お釈迦様が解脱された後、初めて教えを説いた地です。ここは、お参りする場所が限られています。6世紀に建立された仏塔「ダメーク塔」がメーンです。近くに考古学博物館があります。お近くにお出かけの際は、せっかくなので見学しておきましょう。 ***悟ってしまったのだけれど  ブッダガヤの菩提樹の下で悟りを開いたお釈迦様は、しばらく心地よき感覚をゆっくりと味わっていたようです。チョー気持ちいい、って感じですかね。みんなに教えたいけど、なかなか難解

          インドに落ちた愚人ども。。。3    ここから始まるサルナート 

          インドに落ちた愚人ども。。。2   ブッダガヤに行ったがや

           「ブッダガヤ」は仏教聖地の中でも特別な意味を持っています。お釈迦様が悟りを開かれた、まさしくここから仏教が始まったのです。 ***裸足でお参り  「マハーボーディ寺院(大菩提寺)」はその中心。入口で履物を脱ぎ、裸足になります。日本の寺院ではあまりない風習ですが、インドに限らず、聖地の参拝は裸足で、というところは珍しくはないですね。  足を踏み入れると寺院の象徴である大塔が出迎えてくれます。「ついにきた!」。実感が湧き起こってきました。興奮も冷めやらぬままに中へと進むと

          インドに落ちた愚人ども。。。2   ブッダガヤに行ったがや

          インドに墜ちた愚人ども。。。1

           お坊さんをしている限りにおいては、インドから目をそらすわけにはいかない。このあたり、キリスト教の牧師さんにとってのエルサレム、神父さんのローマみたいなもんかいな、と勝手に想像しとります。  言うまでもありません。インドは仏教の故郷、お釈迦様の誕生の地であります。正確にいえば若干違うのですが、あの辺りの話です。 ***インドへの道  というわけで思い切って10日間の「現福寺インドツアー」を企画しました。20年前のことです。かなり昔になりますが、ソクラテスよりは新しい物語

          インドに墜ちた愚人ども。。。1

          トレンドのお話

          @ワタクシ、元テレビタレントなんです、なんつって 実はボク、テレビからいくつものオファーを頂いた時期があったんです。一瞬で終わったんですがね。それは「喉歌」を始めて間もない頃でした。 地元の四国放送やNHKだけでなく、関西のローカル番組からも。もてもてです。ところがね、出演予定の番組の一つが中止になっちゃったんですね。潮が引くようにパタリと電話は鳴らなくなりました。ボクのせいじゃないですよ。波がね、べた凪になっちゃったんですね。 元芸人の島田紳助さんがやっていたクイズ番

          トレンドのお話

          心の窓を開いてみれば

          新しい何かを発見する方法を、ワタクシは「心の窓を開く」と表現しています。心の窓を開き「こうでなければならない」といった固定した見方から自由になれば、物事には多様な価値があることに気付きます。 ●●●万能細胞ごときもの 目の前にガラス容器があるとします。コップと名前をつけてしまえば、飲むための器になりますが、何か料理を放り込んでみましょう。もうコップじゃなくなりますね。花を生ければ、花瓶に早変わりです。 言語学の先生なら上手に説明できるのでしょうが、ワタシゃ本業、僧侶です

          心の窓を開いてみれば

          お金と天文学

          ●異次元にもほどがある 大谷翔平選手の活躍は、これはもう異次元すぎる。11次元顔負けですな。投手としても打者としても今やメジャー屈指の存在になりました。もはや超人です。収入も桁違いで、契約金は10年間で1000億円。CMなどの副収入だけで年間100億円というから天文学者もびっくりだ。盗難被害も別格で、一平ちゃんに26億円以上もやられたとか。どうにもこうにも別世界、といった感じですね。 人生の価値は稼いだお金の量で決まるものではない、とワタクシは考えますが、もう一人のどうし

          お金と天文学

          ペットロスと向き合う

           わが寺、現福寺の仁王門が「ペット供養門」に生まれ変わりました。 ●同じ思いの人がいるのなら  ワタクシゴトで恐縮ですが、2021年の12月、愛犬ルイが他界いたしまして、遺骨を納める場所に悩んでおりました。いわゆる「ペットロス」というのになりましてね、精神的にも落ち着かない日々が続いたんです。そこから抜け出るのは大変だったなあ。  そんな経験は、ワタクシだけではございませんでしょう。同じ思いをした人の救いになるのなら、ということで門の改装と相成ったわけでございます。

          ペットロスと向き合う

          子犬だって、子猫だって、みんなみんな生きているんだ、ともだちなんだ

          ごまかされないで 保護猫、保護犬という言い方、好きじゃないですね。保護してくれる優しい人がいるんだ、じゃあいいね、となりそうでね。あたしら、捨てられたんです。死んでも構わないよ、とポイされたんです。 保護猫、保護犬というほんわかした言葉じゃ、その境遇が誤解されそうです。捨てた人の心の冷たさが、保護という言葉の温かさで、かきけされてしまいそう。そんなことになるなら捨て猫、捨て犬で十分。不法投棄されたごみと一緒で結構です。 わたしらを見つけ、人間に通報してくれた野良犬の黒さ

          子犬だって、子猫だって、みんなみんな生きているんだ、ともだちなんだ

          <タンボ・タンボ・タンボ>  羊じゃないよ、カエルだよ

          田んぼができると、あっちゅう間ですわ どこから出てくるのか分からないのであるが、たちまちです。そらまあ大挙して現れ、毎夜ゲロゲロの大合唱となるのです。奴ら、一晩中あきないこっちゃ。調べてみると、鳴くのはオスだけで、求愛の叫びらしい。なるほど必死だわね。カエルの寿命は、と調べてみると、結構生きますねえ。5年ほどだといいますよ。 奴らと言うぐらいだから、うるさいねえ、という話になると想像した人もいるでしょうが、そうじゃありません。ボクはこの季節が大好きなのです。以前組んでいた

          <タンボ・タンボ・タンボ>  羊じゃないよ、カエルだよ

          同時期に連載を始めた鴻野くんの紹介です。「その男、バーテンダーなり」

          サヴォイを超えろ 徳島新聞デジタル版の鴻野くんの連載は、こんな書き出しです。徳島のカクテルブックを作っちゃおうよ、という意欲的な試みです。サヴォイカクテルブックって、有名なカクテルの書籍がありますよね。あれを超えますよ、という意気込みです。 実はボクと同級生。技術は折り紙付き。アジアチャンピオンを獲得したこともあります。バーテンダー協会の四国の役員を務めるなど、面倒見のよさでも知られます。彼の連載も読んでみてよ、というのが今回のお願いです。正直に言わせてもらいますと、一生

          同時期に連載を始めた鴻野くんの紹介です。「その男、バーテンダーなり」

          禁断の戒名。ヒミツヒミツの物語なんぞはございません。

          ●●●仏門に入れば  そうじゃないんです。元来は、仏の道に入った者が授かる名前のことなんです。俗名に対して「法号」とか「法名」とか言います。当然、亡くなってからではなく、生前、「授戒」や「得度式」、「おこうぞり(帰敬式)」の際にいただくものでした。  頭を剃って、つるつるになったら、どうぞ、となるんですね。剃髪は型だけの宗派もあります。「戒名」は出家が前提、「法名」は俗世にあって、仏の教えを信じ行じて暮らす、そのしるしとしての名前です。 ●●●院号に居士、大姉  ちな

          禁断の戒名。ヒミツヒミツの物語なんぞはございません。