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わがアイドル、コウボウダイシ。最近のことばでいやあ「推し」ですな 上

ボクは商売人の息子。大阪の在家の家に生まれ育った。今になってみると徳島にてお寺の住職をしている自分が不思議に思える。そして、ボクの家の宗旨は「浄土真宗東本願寺さん」であるのだから、これまた不思議なご縁なのである。

***だってえ~

だって、大阪から京都に向かえば東本願寺さんの宗門の大学「大谷大学」があるのだから、そちらを目指せば良かった訳でもある。ちなみに、どういう訳か、うちの三男坊は大谷大学を卒業している。そんなボクは、和歌山県の高野山大学を卒業した。だから、うちの現福寺も「高野山真言宗」という宗旨宗派なのであり、うちの祖師様は「弘法大師・空海」なのである。

弘法さんの教えは仏教の中の「密教」というカテゴリーに属する。密教は仏教の中の最終形態であり、インドにおいては密教を最後にヒンドゥー教へと取り込まれていく。だから、密教は仏教のバラモン化とも言われているし、仏教の中でも儀礼的要素が多様的に活かされている。

***弘法さんは中期だよ

この密教も時代によって3区分されており、その中の2つ目に位置する「中期密教」が弘法さんの教理のベースになっている。これは時代的な出会いとしては必然的であって、当時、弘法さんが遣唐船でわたった時の中国・唐では、中期密教が最先端の仏教として展開していたのであり、その教えを日本に持ち帰り、真言宗として立宗したのがいきさつなのである。教えの内容としては、中国で学んだことに弘法さん独自の解釈が行われオリジナリティあふれる弘法教学になっていることにも注目したい。

***覚えてるかな、三要素

以前にも書いたが、弘法さんの教えは、三密瑜伽、入我我入、即身成仏の三つの要素で表現できる。内容をおさらいしてみれば、三密(身・口・意=身体と言葉と心)という働きを統合する瑜伽行(ゆがぎょう=ヨーガ)によって瞑想状態に入り、そこから大日如来(真理)と合一する三昧(ざんまい)に入る。その境地こそが即身成仏という「この身このままで仏(覚者)となる」という表現なのである。

言葉で表現するのは容易であるが、それを体感するのは非常に困難を極める。経典(テキスト)における観法(ムードラ・マントラ・マインドの働き)は、次々とその連続性を要求し、当然のことながらその連続する一つ一つの観法も疎かにすることは許されない。非常にダイナミックかつ繊細でスピーディな作業でもある。

以下(下)に続く



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