「宇宙と宇宙をつなぐ数学」

「宇宙と宇宙をつなぐ数学」
加藤文元

数学界の未解決問題として有名なABC予想が証明された(かも)とのニュースが先日世界中を駆け巡りました。
しかし。
その証明したということ以上に数学界隈をざわつかせたのがそこで用いられた方法でした。

あまりにぶっ飛んだその理論
「宇宙際タイヒミュラー理論」
は、数学世界の難問にアプローチするために、別宇宙の数学セットを用意するということからはじめます。ラーメン食べるためにまず麦を植える、みたいな。
そんなパラレル宇宙の数学と現実の数学を比べ、
対称性からの復元を用いた情報通信を行い、
さらにその歪みを定量化することで従来の数学における掛け算と足し算の間の強固かつ根源的なもつれをほどく、、、というまさに宇宙からきたかのような理論なのでした。
数学の難問と言われているものの多くはこの掛け算と足し算のもつれに根本原因があり、別宇宙でも考えない限りそこを切り崩せない、ということのようですが俺はさっきから一体何を言っているのか。。。

ジグソーパズルを別の画面に写して拡大コピーして遠近感を利用してはめたことにする、的な技法を使うらしいです。高校教師の影越しのキッス的な??
実際この提唱者の望月博士は宇宙人か異次元人なんじゃないかと噂されています(笑)

この数学者たちでさえたじろぐ斬新さを、どうにかこうにか我々のような一般人に触りだけでも伝えようと苦心に苦心を重ねたのが本書。

ラスト30ページくらいで
「さてこれで説明の準備が整いました」
と著者が言い始めるあたりもう何かが狂ってます。

しかし、読み通すことで数学者たちがロジックや直感やアナロジーをいかに駆使して思考しているのか、その一端が垣間見えます。そんな天才たちですらこの宇宙際タイヒミュラー理論は驚きすぎて心臓に悪かったようです(笑)

国際、学際、宇宙際。
極めた先の際(キワ)の領域。
行き止まりではなく扉がある。
その世界の中だけでは絶対に解決しなかったことが、外の世界とのやり取りで突破口が開くってことは往々にありますよね。

なお、
庵野秀明によるアニメ化決定、だそうです(マジで)

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