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指定難病を患った話5.【心の問題?】

おはようございます。10万分の1の歩みです。
退院日の早朝からのお届けです。

前回までの話で、
ようやく自分の両手足が動かない原因が、
心にあることに気づいた私。

転換性障害、
もしくは身体表現性障害という診断名と
向き合い、闘っていくことになりました。

この心の病は、
幼少期のトラウマや
無意識のうちに生まれている葛藤など、
極限のストレス状態が「体が動かない」、
「声が出ない」、「目が見えない」など、
あらゆる症状を引き起こす病気。

自分の症状はこの頃、
朝起きた瞬間から会社の目の前にある
コンビニまでは快調で、
コンビニでコーヒーを購入している
その瞬間症状が一気に悪くなり、
仕事がはじまってしばらくすると
症状がおさまるという
明らかに環境やストレスに
起因した波がありました。

この波が余計に誤解を生んだのです。

時は1ヶ月ほど進んで2022年6月、
当社より話が進んでいた会社の転勤で、
東京から愛知県に引っ越しました。

この頃、筋力低下は顕著に進行しており、
引っ越しの荷造りが想像以上に大変でした。

段ボールひとつ持ち上げられず、
作業はほとんど妻が行う状況。

なんとか移動の運転はできていましたが、
車のドアの開け閉めや
途中で立ち寄った不動産屋に持っていく
書類をカバンの中から取り出すのも一苦労。

そんなこんなで苦労したものの
なんとか引っ越しは完了し、
早々に新しい職場への通勤が始まりました。

新しい拠点での仕事は、
これまで関わってきた業種とは
全く違ったので覚える業務量も膨大、
お客さんへの挨拶や着任歓迎会と大忙し。

だからといって身体は
全く良くなる気配がなく、
電車で背負っているカバンを
人の邪魔にならないように
前に持ってくるのも辛い、
会社のドアを開けるのも一苦労、
パソコンのタイピングもしづらくなり、
同僚と食べるお昼ご飯もお箸が上手く使えず、
周りからだいぶ心配される
そんな状況になってしまっていました。

そんな状況でもなんとか
7月は出社を続けていたのですが、
ズボンのボタンの開け閉めがしづらくなり、
トイレに行く事が億劫に。
もうこれは流石に私生活に
支障をきたしていると思い、
わらをもすがる思いで
大学病院の脳神経内科を受診しました。

一度は心の病と診断され、
自分もそうであると確信していたのですが、
念のためという気持ちで…

大学病院は紹介がないと診てもらえず、
引っ越したばかりで
かかりつけ医もいないので、
とりあえず総合内科の予約をとり、
その日のうちに脳神経内科に
行ける事になりました。
予約の電話でかなり切迫した状況である事を
伝えた記憶があります。

ようやく番号が呼ばれ、
診察室に入ると、
真摯に話を聞いてくれそうな
お医者さんが待ち構えていました。

これまでの経緯を長々と説明。
整形外科の検査の話、内科での話、
東京の大学病院での話、
症状はこーであーで…

「一度は転換性障害と言われたのですが、
ここまで進行しているので、
ALSや深刻な神経疾患でないか診てほしいです」

すると、

「身体の反射と筋肉の萎縮がないか診てみましたが問題なさそうですね。不安を払拭するために血液検査と針筋電図の検査をしましょう」

ということで後日検査をして結果を聞きに。

この検査結果まで長い長い不安と
恐怖の日々を過ごしていました。

そしていよいよ検査結果。

「まず血液検査では電解質の異常はみられませんでした」「そして気になさっていた神経疾患の重症筋無力症ですが、アセチルコリンの数値が正常範囲なのでほぼ否定できます」「針筋電図も成人男性にしては筋力が衰えているようですが、波形がしっかり出ているので問題ありません」「やはり転換性障害で問題ないと思います」「同じ大学病院内の精神科を紹介します」とのこと。

毎回検査と診断はドキドキでしたが、
この時も体に異常がないことがわかり、
精神=治るということだったので
とても安心していました。

その日のうちに同じ大学病院の精神科を
受診してことの経緯を説明。

ここまでの道のりを誰かに聞いてほしい、
この不安を全部聞いてほしい、
そんな気持ちで診察室に行きました。

診察室には親切そうな女医さんが。
幼少期から今日この病室にいたるまで
2時間かけてかなり掘り下げて
色々と話を聞いてくれました。

1時間話終わった頃に
「そろそろ次の患者さん大丈夫ですか?」
と私から聞き、
「そろそろまずいですね。
もう一度お呼びしますのでまた来てください」と2回に分けて診察室に入ったのは
これで最初で最後です。

とても親切だったので、
これからもここに通いたいと
思ったのですが、
大学病院の精神科は
中々予約が取れないようで、
薬ではなくカウンセリング治療を
必要としている転換性障害の場合は
予約も時間も取れる町のクリニックが
1番良いとのことでした。

ただ転換性障害は薬治療だけで
どうにかなる病気ではないので、
それなりの設備が整ったクリニックでないと
通院を断られてしまうケースもあるようです。

そして女医さんから
提示された今後の選択肢が
この後少し波乱を呼ぶことになりました。

転換性障害の場合は、
環境調整というストレス要因から
離れる措置を取る必要があるのですが、
自分にとって何が1番ストレスなのか
わかっていなかったので、
入院もしくはホテル療養を勧められました。

さすがに入院となると、
電子機器の持ち込みが一切できなくなり、
仕事を継続することができなく、
日常生活を一気に失うことになるので、
やるとすればホテル療養をしながら
テレワークという形で仕事を続けるのが
良いのかなーと考えていました。

そして今後の治療については、
大学病院からカウンセリング設備が整った
町のクリニックを紹介してもらうことで、
話がつき病院を後にしました。

そんなこんなで、
病院の先生と話している最中に
みるみる症状が軽減し、
あげられなかった腕があがるように。
病院に着いたとき、
受付に保険証を提示するのが
とても大変だったのですが、
帰りは難なくお会計を済ませて
帰ることができました。

やっぱり心の問題だったんだと
少し安心した気持ちで、
まずは妻に電話で報告。

安易な気持ちで、
診察室で聞いた話をそのまま伝えました。
話が前に進んだことで半ば喜ばしい気持ちで
話をしていたのですが、
なぜか妻の機嫌が悪い…

体の不調 = 心の問題 = 仕事 or 家庭環境

もし病院が勧めた通り、
ホテル療養している間に
体の不調が良くなれば、
ストレスの原因は「仕事」か、
「家庭環境 = 妻との関係」まで
絞り込まれるという
構図が生まれていたのです。

献身的に支えてくれていた妻としては
もしホテル療養をして良くなったとしても
手放しに嬉しい話であるはずが
ありませんでした。

そんなことも気づかず、
なぜ機嫌が悪いのかと問いかける自分。

モヤモヤした気持ちのまま、
次は途中退社していた会社に連絡。
自分が所属している部署でお客様と
トラブルが発生していると報告を受けました。

そんな電話のやりとりをしていると、
ついさっき良くなった症状があっという間に
元通りになってしまい、
つかの間の喜びも一瞬で消え去ったのでした。





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