十三機兵防衛圏ネタバレレビュー

ネタバレ注意!


面白いは面白いんだけど……
そこまでのインパクトはなかったかな。

読み進める順番が自由というのが足を引っ張ってる。その絡みで、「プレイヤーにとって既知かどうか」の管理がイマイチ厳密にできてないと感じた。というのは、随時解禁される用語集を読んでいて結構「え、そうなの?」「あれでそういう意味になるの?」という、用語集で初めて知ってしまうことがチラホラある。

順番が自由というところで、山場が作りづらく、すでに結構重要な事実を知っているんだけど、残念ながらインパクトのある真相判明シーンはなかった。実は○○○○○○○じゃない、とかも、色んな所で匂わせてうっすらそう思わせたところで、実際そのとおりでしたーとなる感じで……「ヌルっと明かされる」んだよね。

ネタが、個人的ベストSFゲームシナリオであるホライゾンゼロドーンと被り気味なのも痛かった。やってないけどSOMAとも被ってて、古典のマトリックスとも被ってる。

このあたりを知ってるかどうかで、衝撃度がだいぶ変わってしまうと思う。正直、ネタへの掘り下げが少し負けていると思った。


最後に明かされる、マトリックス的なやつ。これなあ……箱舟計画の中でのVR世界の位置付けをもう少し詰めてほしかった。まず、VRをあんなヘンテコ世界にしたのはどうして? 端っこに壁があるとか、他のセクターにワープとか、地下の円盤とか、必要ないよね? ゲームのダイモスがそういうゲームだった……というのはさすがにご都合主義すぎると思うし。

そもそも、文化継承の為に成人まで虚構の日本で暮らすっていうのも意味がよく分からない……。イレギュラーで世界の虚構性を少しずつ知っていったから良かったけど、普通に育って突然真実知らされたら適応できないリスクがかなり高いよね。

この辺、ゲーム内情報からは、単に芝居のウソ、メタ的な理由、そうでなければゲーム版ダイモスと沖野らに理由を求めるしかなく、明確なものはない。

ここで、自分なりの脳内補完というか、こんなだったら良かったなっていうのをいくつか提示したいと思う。


現実でのサバイバルの最終盤、博士らには、普通に考えたらいくつかの疑問点があるはず。

具体的には

「人類には、他の惑星を使ってまでコンテニューさせる価値があるのか?」

「いくら知識を身に着けても、解りあい協力し合えないのならば無意味では?」
(現実の15人の歴史をなぞる恐れ)


この答えを出すことが、VR世界の目的だとしたら?

上に挙げたような不自然さは、その目的のために生まれたものとして説明できないだろうか。

壁は、フロンティアに踏み出すに足る精神を備えているかを評価するため、この世界が虚構であることを少しずつ解き明かさせるヒント。別セクターに移動できるのは、当然、この15人が相互作用することが前提の計画だから。地下の円盤は……分からん。これは説明できない。

つまり、このアイデアでは、東雲によって始まったダイモスゲームは計画外だが、それとは別の何らかのチャレンジが元々課されていたということになる。

※ 円盤については、いちいちログアウトしないでダイブしたまま使えるデバッグコンソールではないか、という解釈あり。これは中々説得力がある。


一方、戦闘の方は意外と面白かった。オマケ的に割り切って作っているのが返ってうまくハマっており、「開発者お気に入りの余計な要素」みたいなものが全くない。変に難易度の山を作ろうとかしていないので、ストレスなくプレイできる。ただ、休息が実質単なる罠なのはどうかと思った。簡単なステージをリプレイすることで時間を進めることができるため、休息は全く意味のない選択肢となっている。

総合評価としては……「フラッと、偶然プレイする分には結構おすすめ」という感じかな。ストーリーがすごいとか謎がすごいとか、そういうハードル上げには耐えられない。
マトリックスとかトゥルーマン・ショーとか、それ系を何も知らない人がプレイしたら物凄い衝撃を体験できるかもしれない……が、その場合、この説明で十分に理解できるかという懸念あり。そういう風にこのゲームに触れた方、いらっしゃいますか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?