見出し画像

サービスとホスピタリティ

私は薬剤師です。

「質の高い医療サービスを提供する」

こんな風に言われてきましたし、私自身もそうできるように
心がけていました。

でも会社を辞めて、薬剤師のあり方に
向き合う日々が増えました。

そんなときに浮かんできた言葉。

「ホスピタリティ」。

今回はサービスとホスピタリティの違い、そしてホスピタリティが
薬局にどう有効であるのかをまとめました。

サービスとホスピタリティの違い

サービスの語源はラテン語のservus(奴隷)です。この言葉から派生して、service(奉仕)という言葉が生まれました。

対して、ホスピタリティの語源は
ラテン語のhospes(客人の保護者)です。
昔、旅に出かけるのは、だいたい巡礼の旅でした。
旅人が巡礼の旅の途中で、空腹や喉の渇きを覚えたり、疲労や病気を患った時に、現地の人たちが旅人に手を差し伸べたことに由来しています。
ですから、ホスピタリティというのは、疲れた旅人に対して、無償で飲食のもてなしをしたり、看護を施したり、宿泊施設の提供をしたことにはじまります。
誰がしてくれと言われたからやるのではなく、
自然と相手を想いやってしまう行為、

そしてその行為をすることで受け取った側が喜び、
その喜びの表情に手を差し伸べた側も嬉しくなってしまう。
これがホスピタリティの精神です。

ホスピタリティバンク研究所

サービスは、顧客が求めるニーズや要望に対して、迅速で的確な対応を行うことに重点を置いています。サービスには対価があるという考え方があり、提供する側と受ける側には主従関係が生まれます。
主従関係が生まれるのは、語源がservus(奴隷)だからですね。

一方、ホスピタリティは心地良い体験の提供に重点を置いています。
ホスピタリティは対価を得るために開発されたものではなく、人間の心から自然と発揮されるやさしさや慈しみのようなものだと考えられます。
日本の「おもてなし」と近いニュアンスですね。

医療ホスピタリティを提供する

「医療サービス」を提供するより
「医療ホスピタリティ」を提供する。
これからの薬局に求められるものではないでしょうか。

患者様の表情を読み、言葉にしていない部分に気づき、ヒアリングする。
患者様の不安な心に寄り添う接客。
この薬局に来ると安心する、また何かあれば相談しようと思える薬局内の空間。
ホスピタリティマインドを醸成した薬剤師の接遇は
患者様の心を動かします。
患者様の心を動かせたとき、その方は
またこの薬局に来たいと思ってくれるのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?