‐詩‐ 雨

ぱらぱらと傘にぶつかる雨は
線香花火のようでした
弱々しさが健気で愛しいものでした

いつか夏も終わります


ぱらぱらと傘がはじく雨音は
あなたの優しさの音だと思いました
口下手なあなたの 言葉の代わりの音でした

近々あなたは旅立ちます


雨の日だけ現れる小さな世界が
わたしたちはここに生きていると教えてくれました

隣を歩くあなたの顔以外
見えないことが幸せでした


降り続ける雨はどこへ流れていくのでしょう

遠くの町へ流れてゆくなら
わたしたちも連れて行ってください

いつか海へ還るなら
そこでひとつにさせてください

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