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【エッセイ】ギャルと「自己愛とは利己的行動より利他的に行動の中にある」について考える




前回のnoteからずっと悩んでることがある。

この小説の中で、

「自分を愛すこと」が足りないと言われた主人公は「すでに自己を愛している」「誰よりも自己を愛しているから利己的な行動をとっている」と反論するが、

終盤に、自分を犠牲に人を助ける利他的に動く場面があり、そこでこれこそが自己を愛すとこになるのだと主人公が気づく。

と言うシーンがある

それについて、
私自身まだしっかりと腹の底に落ちていない。まだ綺麗事の部類に聞こえてしまう。

前回の読書感想文で、このような趣旨のことを書いた。



この時私は利他的に動くことが自分を愛すると言うことになぜ繋がるのか、わからなかった。

タイムリーにも少しこれについての一つの見解を得たので書きたいと思う。


この本を読んだ翌日、仕事関係のご縁で、あるビジネス書ランキング1位の著者の方の講演会に行くことになった。
会社の後輩のギャルを連れて。

講演会には何百人の席があり私の会社の業界関係者がたくさん来ていた。

たくさんのお偉いさんが並ぶ中、
私たちは目立たないように群衆の真ん中の席に座った。

非日常の映画館のような淡いく暗めの照明、ふかふかの絨毯の中、
仕事をサボるためについて来たであろうギャルが言う
「もし、寝てしまったとしてもバレませんよね?」
私は「流石にいびきがうるさかったら起こすからな。」と返す。
笑うギャル

講演が始まり、登壇者の人生史が順に話された。

学生時代やんちゃをしていた登壇者に、母親が語りかける。
(その今着てる服や靴は会ったこともない誰かが作ってくれた。人は誰かのおかげで今がある。常に誰かのおかげで生きていることを忘れてはいけない)そのときは反抗ばかりしていた登壇者だが、人のために人から求められることは全力で返そうとする。
そうすると、縁が繋がっていき、今では執筆家として、事業者として成功している。
そんな人のために感謝し生きることを教えてくれた母親が、病気になり余命宣告される。

思わず涙ぐむ登壇者
私の視界の端で泣くギャル

その母を看病しながら、執筆をしている登壇者だったが、その母に執筆内容を見せた時、母が言った。

「あなたは、今事業者として成功していて、執筆でもうまく行ってる。それが前面に出ていて、私はこの本好きじゃない。
今の地位やお金は人のために使うために得たものだ。自分のおごりや見栄のためにあるのではない。その地位や富を使って人に何をしてあげられるかを考えなさい」


そうして、その後の人生史、その時の気づきなどが語られ、やがて講演会の幕を閉じた


私は登壇者のお母さんの言葉に
なるほどな。と
先日思った自分の疑問と重ねてみる。

利己的に動いた先に得るものはきっとお金や物、地位。
そして、その先は?

なんのために富や地位を得るのかと考えた時何も浮かばなかった。

利他的に動くことでその先に行けるのだ。

その富や地位を得た先に欲しいのは、人からの承認や愛なんだと思った。

だから人間行き着く先は利他的なのか。と私は解釈した。


そのあと、泣いて疲れたのか、さらに眠そうなギャルの化粧直しのため、慣れない建物の中でトイレを探す。

すると廊下で偶然にもトイレから出てきたであろう登壇者すれ違う


先程まで、数百人の前で話していた登壇者が目の前にいると、「すごい人エフェクト」がかかってしまう。緊張して気まずくなる私。


そんなとき、ギャルがすかさず

「あ!さっき講演聞きました!自撮しましょー」と言ったのだった

なんとなく嬉しそうな登壇者

そのまま、自動的に「犬のエフェクト」がかかる登壇者と私

目も大きくなり、顔もシャープになっている誰だかわからない写真。

これでもギャルなしでは写真をゲットできなかった。良い思い出になったなと思った。


帰り道、駅まで歩いた。
ハロウィンジャンボの旗を見ながらギャルが呟く「もし5億円当たったらどうします??」

この手の話を何回も妄想したことのある私はすぐに答える『まずはセキュリティのしっかりしてるマンションを借りるかな。うち今一階だから、いつ誰が入ってきて、金よこせーって脅されるかもしれないし。』

「私は誰にも当たったこと言わないっすよ」

『そう思ってたんだけど、この前2億円当たった人のドキュメント見てたら、誰にも言ってないのに、突然[病気でこまってるので300万でいいからお金を分けて欲しい]って手紙が届いたって、、
結局のところ銀行員がバラすらしいよ。
同僚に言って、その同僚が家族に言ってーみたいな感じで広がっていくんじゃない?』

するとギャルは言う
「それなら私は5億かけてその銀行員を潰します」

私は、そのとき何かが吹っ切れ、気づけば声を上げて笑っていた。

こんなにも恨みに忠実な人がいるだろうか。

利己的とは、他者の利益を考慮せず自分の利益を追求すること、 
利他的とは自分の利益より他人の利益を優先すること

それに今日の登壇者の話は、自分の利益は人に使うものという話していたではないか。
そしてギャルは泣いていたじゃないか。


だが、このギャルは今、自分の利益を投げ打ってでも、他人を陥れることを選んだ。しかも、それに対してすごく前向きなのだ。

あまりにも、それを言うギャルの姿がのびのびと、キラキラ美しいので自分の悩んでることがわからなくなった。




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