見出し画像

【学級経営】いじめは勇気を持って認知していい。そして解消しよう。

こんばんは。
皆さんたちは自分たちのクラスで「いじめ」が発見された時、どのような対応をしますか。
現在、国の集計では、いじめの数が大幅に増加しているとデータが取られています。

増加した背景には大きなポイントがあり、いじめの認知件数を増やすことを国が重要視しているからであります。
なぜいじめを多く認知する必要があるのか?
それは、どの世代にもいじめがあることを認め、その代わりに早期発見することで、いじめが解消された数を増やしていこうという目的があります。

ですので、今までは正直学校は「ちょっと友達に何か言われた」や、その逆に「その友達に言い返した」ということに関して、いじめの件数としてカウントしてこなかった学校がも多かったと思います。
今はそのことも一貫していじめ案件としてしっかり認めて数えよう。
そしてちゃんとそれが解消されたことを証明していこうっていう方針に変わってきています。

この世の中で人間が嫌な思いをせず生きていける社会が一番いいに決まっています。ですが、現在は相手を傷つけるつもりはなくても、知らず知らずのうちに「ハラスメント」と受け取られることもたくさんあるのです。
自分がいじめの加害者にも被害者にも簡単になり得る世の中です。
人の個性と同じように、受け取り方も様々。
不快という感覚は人間が持っている、生命維持のための大切な感情です。
つまり、嫌な思いをせずに生きていくのは難しいです。

私はクラスでいじめ対応時に大切にしている3つのことを話します。


①「被害者を大切にした指導を行うこと(事実だけを追う)」、②「どれだけ関わる人数がいようとも個別に聞き取る」、③「間接的にクラス全体のものにすること」です。①は当たり前のことかもしれませんが、実はできていないことが多いと思います。私も失敗してきたことです。

①「被害者を大切にした指導を行うこと(事実だけを追う)」

いじめは双方も起こり得る。
この意味が分かりますか?

A君にSNSで悪口を書かれた。
だから、A君のことをB君は「仲間外れにしよう」と友人に言った。

この事実、被害者が2人、加害者が2人いることに気付きましたか。
いじめられている者がいじめと感じたらいじめ。
納得しがたいですが、この鉄則は心得ておくのです。
学校によっては、これをいじめ件数2件と認知する先生もあるのではないでしょうか。

指導の際、まず「A君にSNSで悪口を書かれた」だけに着目すると、被害者はA君です。つまり、この事実だけはA君中心に守ってあげる考え方が重要なのです。
一方、「仲間外れにしよう」に関しては、B君が被害者。この事実にだけ向き合い指導をするのです。
途中互いの主張はきっと衝突しあったり、食い違ったりします。
しかし、事実だけを追うのです。
2つのいじめ案件があると捉えると、お互いを大切にした指導ができることが多いのです。

②「どれだけ関わる人数がいようとも個別に聞き取る」

まずは被害者の気持ちに十分寄り添ってあげてください。
どんなに被害者の前後にいじめとなる背景があったとしても、絶対に聞き取ること、共感してあげることは必須です。先生が敵になることはあってはなりません。

そして、加害者には学年の先生方を総動員して、個別に聞き取ります。
特に時系列をはっきりさせ、誰が何を言ったか、どんなことをしたのか細かくメモしておくことが大切です。
そして、聞き取った先生方で事実にズレがないかを確認して、ある場合はもう一度聞き取りを詳細にします。

つまり、指導はあと。基本中の基本ですが、事実を確認したあとに指導することが重要です。

③「間接的にクラス全体のものにすること」

これはとても高度な技術ですが、事件があったときはあえてクラス全体で共有することにしています。もちろん、いじめの内容を話したり、名前が出たりすることはご法度です。
例えば道徳で取り扱う、自身の経験を集会やHRで話すといったあくまでも間接的な方法をとります。
加害者、被害者の人権が否定されるような危険があるときは控えるべきですが、「先生、今日は急にこんな話どうしちゃったの?」と思われるくらい遠回しに、事件について考えることができるような人生の話をするのです。
例えば、いじめがあって、加害者が深く反省をして、たまたま被害者がその謝罪を受け入れたとしましょう。

先生、今日は人の大きな成長を見たんよ。悲しいことがあったんやけど、反対に何か感心したことがあったんよ。
みんななら「許す」っていう行為、すぐできる?
先生はすぐ怒るから無理やな。
何でも許すことが正解じゃないけど、その許す優しさが、許される側に余計に深く反省を促すこともあるよね。
先生には許すって難しい行為やけど、許すって結局相手をより成長させるんよね。なんか尊敬してしまったって話。

いきなりこんな話されても、子供のほとんどは「??」でしょうねー笑
でもこれでいいんです。
加害者の子に更なる成長と、そして傷ついた子に自尊感情を回復させることが目的ですから。
ですが、あくまでも被害者が許すという感情を持った時の例ですので、間違わないようにしてください。

⓪「保護者の気持ちも大切だが、事件後に安心できるクラスになっているかに焦点をおく」

私も経験があるのですが、子供同士がお互いに納得をして解決をしたとしても、保護者の方の気持ちが納得ができないケースも多々あります。
被害者側の保護者の方の気持ちから考えると、自分の子供を嫌な思いをさせた子供が、自分の子供とクラスの中にいることは受け入れがたいことです。その子供を排除したいということまで思われる方もいました。
苦しいのは当然だと思いますし、もちろん来年度のクラス決めには充分その気持ちを考慮して編成することもあるのかもしれません。
ですが、大切なのは、事件後子供が安心感を持てるかどうかということだと私は思っています。
こういう事案が発生したときには、私の経験上の感覚では、8割の保護者さんは納得してくれているかもしれません。2割の保護者さんは、学校側の対応に後日不満を伝えに来ているような気がします。

気持ちを聞き取ることを大切にして、子どもを中心に考えた指導が、いじめ対応の鉄則だと私は思います。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?