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行き先不明でもバスに乗り遅れるな?

観光を絡めた移民政策のような国際的リモートワーカー (デジタルノマド )に長期滞在してもらうことで、地域消費の拡大、ビジネスの経済効果が期待できるとして専用ビザを発給、日本においてもデジタルノマド誘致に向けた在留資格制度を4月1日より施行していたそうで、観光庁はこのようなデジタルノマドの誘客に向け、デジタルノマドの特性・ニーズを踏まえた受入体制の構築、滞在プログラムの造成等に取り組む実証事業をしているとのこと。

日本の都市住民を田舎暮らしに向かわせる事業も上手く行っているのかどうか、分かりやすいせいか説明がない中、今度は、世界的に市場が拡大していることを理由に、ハイスペックジプシーともいえる方達を引き込もうという挑戦は、悪いとは申しませんが、何やら意識高い系コンサルタントにビジネスされているようにも感じられてなりません。

観光とは、交流人口の促進による定住人口が減少する地域に購買力を送り込むという政策目的がよく語られますが、観光動機の根底には知覚的な満足を求めるという客観化しにくい要素が大きな部分を占めています。快適さという分かったような、そうでないような曖昧なものを相手にするのですから、人間というものに対する深い考察が必要になります。

しかるに、観光庁の事業は、こうした人文的な領域についての検討が見られないように感じてなりません。市場が大きくなっているから手を出すというのは、素人の投機行動みたいで、独自の分析から先を読むというプロフェショナルな凄味がありません。我が国の観光政策を主導する機関として、これでイイのか?と不安を覚えてしまいます。

せめて、国際的リモートワーカー (デジタルノマド )の生態分析をした結果、国内であれば、ドコと何処は可能性がある!ゆえに実証実験の地に選ぶ!と失敗の際に責任を被るかのような堂々たる決意を帯びた物言いを期待したいのですが、募集~選考という出たとこ勝負みたいな手法には、失敗の押し付け先を用意しているのではないかと疑問が涌いてしまいます。しかも、いつもの「株式会社パソナ JOBHUB」さんや、復興支援に絡めた「石川県金沢市」を実施エリアにするとか、誰の顔色見ているのやら・・・とため息が出てきます。

さらに、国際的リモートワーカー (デジタルノマド )は、どこに居ても稼ぎの良い方達なのでしょうから、彼らの世界の流行が変化したら移動してしまうわけで、末永く居着いてもらう施策(地域づくり・産業振興)は観光庁の手におえません。どう見ても、6億円の投資は回収できなさそうです。素直に日本人向けの奨学基金に回した方が良いと思います。


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