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2024年2月【PERFECT DAYS】

2024年2月劇場で観た映画
【PERFECT DAYS】

監督 ヴィム・ベンダース
主演 役所広司

映画の内容を含みます。

映画館で公開している間に観に行こうと思っていた映画。少し行動が早くなったのは「映画の主人公役所広司さん演じる平山は、首都高速で通勤している」というのをsnsで読んだから。

首都高といえば、私の好きな音楽家宮本浩次さんを思わずにはいられない。
今もそうかどうかはわからないけれど、ひとりで自家用車に乗り、深夜の首都高を走る宮本さん。東京の姿はどんな風にその目に映るのだろうかと思う。

今後私が自分で首都高を運転して走るということはないだろうから、首都高の姿、走りながら見える東京の姿を見てみたいと思った。

映画はエピソードがあるがてんこもりというのではなく、主人公は特殊な能力を持ったヒーローでもなく、日々を送る姿を描いていく。

映画館に貼ってあるポスターや予告編で流れる映画は、殺人なのか自殺なのか?とか、ミステリアスだったり衝撃的なビジュアルのものが多いように感じて気持ちが疲れてしまう。
けれど、この映画はそうではない。
先日観た【枯れ葉】もそうだったな、と思う。

朝起きてから夜寝るまで、一日をほぼルーティンで過ごす中で起こる出来事を描いていく。後半出てくる妹との関係から平山さんは、交渉、歓談、接待、交流、ぐいぐいいく、多くの情報を処理する、そのあたりが不得手なひとなんじゃないか?と勝手に想像してしまった。私がそのあたりまんま苦手なので、そう理解しようとしただけかもしれない。

朝起きて用意ができたら仕事場へ車で出発する。
音楽のカセットテープが何本も車の中にあり、今日は車の中で何を聴こうか?スカイツリーがでっかく見える住処からその朝選んだ音楽を聴きながら朝のドライブが始まるのだ。

私は首都高を特別な場所として見たい気満々だったが、平山さんが運転して走る首都高の姿は特別な場所として描かれているわけでなく、『これが日常です』という感じだった。しかし運転しながら音楽を聴くのは最高だし、そこにある目に見える開けていたり狭かったりする空間やビルや空。風景は欠かせない。

首都高じゃないが私も高速道路を運転する。音楽(ほぼ宮本浩次、エレファントカシマシ)を聴きながら変わってゆく風景を見ながらの運転、情報量は多いはずだけども集中もしていて、運転中の頭の中は割と静かに淡々としているのかもしれないなと思った。

東京の夜。
宮本さんにとっての首都高はどうなのだろう。
何度も走っている場所だから感情や考え少なめに運転できる安心できる場所なのかも?音楽を聴きながらだと最高だろうなぁ。

平山さんにとってもそうなのかも?
映画の中で何度も出てくる記憶を整理しているような映像や、木漏れ日との遭遇。
日々ほぼルーティン活動だけど、まったく同じ日はない。音楽を聴きながら運転している時間にも、頭の中でふとよみがえってくることがあるのだろう。微笑んだり涙が出てきたり。
ラストシーンの映像はそんな感じがした。
人が生活するということ。
平山さんの生活を描くことで映画になった。

読んでいただき、ありがとうございました。

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