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ディスコエリジウム ザ ファイナルカット

 主人公は記憶喪失のアル中おっさん刑事で、相棒のキム刑事と一緒に殺人事件の捜査をしていく、テキストRPGです。味のある、時に難解なテキストをずっと読んでいくゲームなので小説を読まない人にはちょっと不向きかもしれません。

 アドベンチャーではなくRPGなので、主人公の能力値、スキルレベル、装備品による修正を基本値としてダイスロールを加えた成否判定があります。会話の流れで自動判定されて選択肢が増える場合もあれば、能動的に判定付き選択肢を選ぶ場合もあり、成否どちらでも話は進みます。(その結果、肉体的、精神的にダメージを受けることもあり、どちらかが0になってしまうとゲームオーバーです)

 つまりNPCとの会話が、普通のRPGでいうところのサブクエスト/ミニダンジョン的なものになっています。事件に絡む多くの人々は協力的ではないので、真実を聞き出すために適切な選択肢を選んだり判定に成功したりが必要になります。一度で攻略できる人は少ないので、新しい情報や証拠を見つけ、レベルを上げて、何度か挑むことになるでしょう。

 一切の事前情報無しにゲームを始めると、聞いた事のない固有名詞や科学技術が出てきてかなり混乱してしまいますが、ゲームの舞台は我々の地球とは違う異世界です。共産主義革命と民主主義、資本主義と格差社会、人種差別など我々の世界にもある問題が一つ所に放り込まれたような混沌とした地域が舞台で、そうなった背景や歴史も垣間見えてきます。(なので、政治や歴史に全く興味が無いと難しく感じてしまうかも)

 主人公は24種類の個性的な思考を持っていますが、これらが直接的に主人公を操ったりはしません。彼らなりにアドバイスしてくれたり、思考同士で話し合ったりします。その結果、どの選択肢を選ぶかはプレイヤー次第です。

 真犯人が変わったりするようなマルチエンディングではなく、事件の真相にどこまで迫れたかでエンディングの会話や主人公の評価が変わるという感じです。ダイスロールに失敗しまくってもゲームオーバーだけ回避していれば最後までは行けます。失敗したら直前のセーブデータからやり直しも可能ですが、失敗は失敗として進めていくほうが楽しめるゲームだと思います。過程を楽しむゲームだと思いますので。

 海外小説好きにはとてもオススメです。序盤すぐに万人の心を掴むようなゲームではないと思いますが、進めるにつれて深く染み入ってくるようなゲームでした。


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