6th Track_how to+teach+ski(最近接発達領域)

数年前に苦労をしてスキー検定の2級を合格し、
今は1級を目指している。
2級の難易度というと、
小さなころからスキーしている子どもや、
運動神経が少し良い大人の場合、一発合格するケースが多い印象。
なので自分は、運動神経やスキーの才能に乏しいことは自覚している。
一方で苦労をしたために、得たものもある。
できない人の気持ちが分かる

スキー知り合いの中には、
自分と同じように2級受験に苦労している人もいて、
一緒に滑ったときに、少しアドバイスすることもある。
その日が終わるとき(多分にリップサービスを含むと思うものの)
とても分かりやすかった、と反応いただけることが何度かあった。

行う技術と、教える技術は、ベクトルが異なる部分がある。
自分に教える技術があるかどうかは分からないが、
できていない人の気持ちに寄り添うことはできる。
何を考えながら滑っているのか、その意識に共感することはできる。

今年、その内容をズバリ表現しているnoteに出会った。
要約すると、
綺麗に整理された形式知を持つエキスパートよりも、
少しだけ先を行く人と一緒に行動する方が、学習効果が高い、
というものだ。


DATA Saberのコミュニティ活動には、
「パブリック」と「組織内」の2つがある。
前者は、自分単体でなんとかできるところもある一方で、
「組織内」は、相手の存在が必要である。

コミュニティ活動の「組織内」

DATA Saberへの挑戦を決めたときから、これに悩んだ。
勤務先では自分がTableau第1号である。
Tableauに関わるコミュニティどころか、ユーザーが存在しない。
加えて、ちょうどDATA Saberのapply直前に、
これまでExcelで展開していた資料を
Tableau cloudに置き換えたばかりだったので、
次に続く対象を想定することができなかった。

はじめにDATA Saberの師匠に相談したことが、
この「組織内」の対応に関わることだった。
師匠からは、
「Tableauユーザーでなくとも、データ活用に関わる勉強会ならば良い」
とのお言葉があり、ちょうど春だったので、
「新入社員向け研修でも良いのでは」との示唆をいただいた。

その翌日、早速、新入社員研修担当者と、その上司へ、
「DATA Saberのポイント獲得のため、データ活用勉強会がしたい」
ので、
「新入社員を1時間ほど貸してほしい」と伝えたところ、
若干の調整過程を経て、快諾いただいた。
過去、人事には大小さまざまなお手伝いをしてきた経緯があり、
「情けは人の為ならず(正しい使い方)」を実感した。
後から分かったことだが、
グループ全体で「DXを推進していこう」という動きがあり、
その一環としてならば良いだろう、との判断があった様子だった。

データを見える化する価値
~データドリブン文化の醸成を目指して~

を勉強会のタイトルとした。
毎日のように「データドリブン」という単語を見かけるか、
そのほとんどは自分の検索連動型の結果なのか、
社内では全くその単語を目にすることがない。
また、IT系のカタカナ頻出に抵抗感を覚える空気も感じるので、
データビジュアライズではなく、漢字とひらがなに置き換えた。

次第1.事前アンケート

これまでさまざまなセミナーに参加してきて、
slidoを効果的に用いたものを多く目にしてきた。
スマートでカッコよい。うらやましい。
講演が終わる手前の「質問はありませんか?」で、
手を挙げられる人は少なく、
匿名でリアルタイムに質問ができるのは素晴らしいと思う。
今回、はじめて事前アンケートを取るために試す。
勉強会の数時間前に、
「データドリブンという言葉を聞いたことがありますか?」
という質問を投げた。
母数が約20名の中、聞いたことがある人はゼロ。
これを機会に単語をググって検索連動して欲しい。
「どなたもご存じない、という前提で説明します」とはじめた。

次第2.事実と意見の識別(ヒューリスティック)

今回の勉強会とは別に、新入社員向け研修では、
各部門から人をだして、それぞれの部門紹介が行われている。
自分の所属部門の紹介を毎年行ってきたのだが、
今年は担当を外れた。
去年まで、自部門紹介の冒頭で毎年引用していた話がこれ
組織の中で仕事をする上で、
「事実」と「意見」を区別することは必須スキルだ。
研修を受けている間は、その過程を経た意見が求められるが、
実際に業務に就いた後、求められるのはまず「事実」だ。
区別できるようになって欲しい。
そして「事実」を正しく分かりやすく捉えるために、
今日の勉強会があるとつなげた。

次第3.記憶するまでの過程

ここから実際の内容に入る。
"Visual Best Practice: Art and Science of Visual Analytics"
から流用し、
・いくつかの「〇」を一瞬表示して数を問う
・数字の羅列から「3」の数を問う
この2つをスライドで表現したあと、
感覚記憶→短期記憶→長期記憶と、
3つの記憶の種類について説明する。
3つ、4つだとカンタンに認識することができ、
数が多いと突然難しくなるのは
短期記憶の特性によるものであること、
その短期記憶を事実認識に使ってしまっては、
課題認識がおろそかになってしまうこと、
を説いた。

次第4.課題からはじめるデータドリブンのサイクル

"初めてのTableau : Bronze Demo ~ Data Storytellingの第一歩"
から流用し、
まず、タスク(課題)ありきでデータを見える化すること、
インサイト(気づき)を経て行動すること、の大切さと、
これらの工程を一巡で終わらさせるのではなく、
次の課題を見出し、サイクルとして回すことを話した。

データドリブンのサイクル

ここでも英語やカタカナをなるべく漢字とひらがなに置き換え、
新入社員の理解しやすさを心掛けた。

次第5.Tableau実演デモ

師匠からの提案もあり、Tableauの実演を行った。
ササっと操作できないと、
データ見える化の話と違えるし、格好悪い。
いくらか練習をして、師匠にも指導いただいた。
実演の対象は、
競合他社との売上高と営業利益の簡単なクロス集計表を題材として、
表で見ることの意味と、
数字を見える化することの違いを示すため、
年月推移の線グラフや、累計のツリーマップを作成した。
自分は操作することに一所懸命で一杯一杯の状況の中、
操作の過程をしっかり見ている人と、
睡魔と戦いながら舟をこいでいる人に、反応は分かれていたように思う。
今から振り返ると題材がイマイチだったかもしれない。
少しでも業務に近い題材を選んだつもりだったが、
彼らはまだ業務に就いておらず、競合がどこかも分からない。
もし次回があれば、対象者がより身近に感じられるもの、
例えば、出身地の傾向や血液型分布などを取り上げようと思った。

勉強会を終えて

1時間弱の勉強会だった。
最後に質問または感想をslidoで募ったものの、質問はなく、
分かりやすかった、面白かった、データ見える化の重要性が分かった
などの感想で占められた。
自分としてはギリギリ及第点の出来といったところ。
変えられるところは、
もう少し問いかけ形式で彼らの反応を見ながら
参加型の意識を高めるべきだったかもしれない、ことと、
Tableau実演の題材選びを自分事に感じられるものの方が
良かったかも、との反省がある。


DATA Saber挑戦中ということもあり、
自分自身にとって、データ見える化の価値が分かって日が浅い。

世間の「データドリブン」の風にあたり、
Bronze Demoに感銘を受けたり、Tableau初心者講習会に参加したり、
やっとのことでExcel資料をviewerに置き換えたり
どれもがつい最近のことである。

これらの過程の中で、自分が感じたばかりの価値を、
なるべく平たく、分かりやすく、この勉強会で伝えたつもりだ。
対象の新入社員の中には、
集中しながら、相づちを打ちながら、聞いてくれる人もいて、
その様子を見ていると話しやすかった。
価値が伝わったからこそ、集中してもらえたとするとうれしい。

近い将来、彼らの中から「Tableau使ってみたいんですけど」
と、声を掛けられる日を楽しみに待つ。

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