見出し画像

『ぼく自身のノオト』読書感想文

私は「絶対好きじゃなさそうだけどとりあえず読んでみる本」を読むことがあります。人が薦めてくれたから、後々必要になりそうだから、等々理由は都度都度で、今回その本のひとつとして『ぼく自身のノオト』を読みました

本編以降を見逃すな

早く最後まで辿り着きたい一心で、本編から続く勢いでざっと読んでしまった「読者へ」「訳者あとがき」、この2つを読むだけで『ぼく自身のノオト』の印象がガラッと変わりました。

本への印象が変わるきっかけになったと思う要素は下記3点です。

①副題
原題 NOTES TO MYSELF には My Struggle to Become a Person という副題がついています。
これは「訳者あとがき」に書いてあります。
※冒頭引用先でも副題に触れています

②主人公の生い立ち
書いた当初は32歳、学校のカウンセラーをしていました。複雑な家庭環境、20歳で大学中退、結婚して23歳で離婚(以下は訳者が書きたくないとのことで記述なし)。なのに訳者が言う通り、生い立ちに関する勲章アピールはありません。

③「読者へ」での注意書き
なるべく誤解を生むことがないように、本編の矛盾点や注意事項を丁寧に説明しています。

私はこの3点で、筆者への印象が変わりました。
本編ざっと読みの時点では「スカッとジャパン的な高説述べたいけど現実で言えないから日記で書いてるイキり文章」「筆者→他者への言葉」と思っていました。

けれど、本編以降を読み込んでから本編を見返すと、「筆者→筆者への言葉」「自分への言葉をお裾分けしたいけど誤解は生みたくない」という印象を受けました。

どんな背景を持った人が作ったアウトプットなのか、が意識にのぼるだけで筆者並びに筆者の文章への好感度が上がりました。

随筆と日記って何が違うの?

筆者は本編でも書いているように、日記>随筆と考えているところがあります。しかし、日記と随筆って何が違うのか、私はあまりわかっていません。

日記も随筆も個人が経験したことについて書いていることだと言う認識です。強いて言うなら、随筆のほうが事実からちょっと離れてもいいような感じでしょうか。

そもそも和訳された「日記」と「随筆」の原語は筆者の生きた時代・地域だとどう扱われてたのか、って考えなければいけないので、余計に難しいですね。

もっと若い時に出会いたかった

成人済みの私が読んだからこそ、当時の32歳の筆者に対して冷めた目で見てしまうところがあったかもしれません。

もし15歳あたりでこの文章に出会ってたとしたら、しがらみに囚われなくていいっていう考え方やちょっと大人(のように見えたかもしれない)恋愛観が刺さっていたかもしれません。

人でも本でも出会うタイミングって難しいですね。


以上、わたしが『ぼく自身のノオト』を読んだ感想でした。刺さってない本での感想のため、熱量がないのはご容赦ください。

この記事が参加している募集

#読書感想文

191,671件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?