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男らしさって一体どんなことだろう(小説「おばけのリベンジ」セルフ解説②)

“男らしさって一体どんなことだろう”

これは、Mr.Childrenの『Over』の一節です。

あなたは「男らしい人」と聞いて、どのような人を浮かべますか?

例えば、見た目が筋骨隆々としていたり、性格が豪快だったり、解釈は人それぞれだと思います。そう、男らしさに限らず、「●●らしさ」というのは、本来、ふわっとしていて、明確に定義づけられるものではありません。

ふわっとしているからこそ、使い勝手が良いのでしょう。相手を攻撃する言葉として使われることも多々あり、自分を正当化したり、とにかく心理的なダメージを与えたいがために「お前は●●らしくない!」と一喝している人を何度も見かけたことがあります(僕も誰かに言ったことがあると思います……)。

亡霊のように世の中に存在する「●●らしさ」を挙げればキリがありません。

・男らしくない
・女らしくない
・父親らしくない
・母親らしくない
・子どもらしくない
・大人らしくない

ちなみに僕は「男らしくない」とか「子どもらしくない」とか言われていました。

後者に関して言えば、外で元気いっぱいに遊ばなかったり(テレビゲームが好きやったから!)、子どもが考えなくても良いような家庭の問題について心を痛めたり(めっちゃええ奴やん!)、多くの大人たちの「子ども像」に当てはまらなかったからだと思います。改めて文章にしてみると、本当にイラつきますw お前らの勝手なイメージを押しつけんじゃねぇ!

「男らしくない」というのも、子ども時代からけっこう最近まで言われていて(もしかしたら今も思われているかもしれませんが)、思春期や若い頃は落ち込みもしました。

「男らしくない」と言われることもそうですが、「女性っぽい」と言われることに対して、「自分は男として駄目なのではないか」と悩んだ時期もあります。

まぁ、そう考えてしまう時点で、僕自身が、いわゆる「男らしさ」に囚われていたんですね。やはり、刷り込みというのは恐ろしいものです。

今では「『女性っぽい』感性があるからこそ小説を書けるんだ!」くらいに思って堂々としたもんですが、折り合いを付けられるようになったのは、フリーランスになって「自分らしく生きる」というのを人生の目標に掲げたことが大きいかもしれません、

それに、よくよく考えてみるとおもしろくて、SNSをマメに更新していたり、スイーツが好きだったりすると、男らしくなくて女性っぽいらしい。なんやねん、それw

「●●らしくあってほしい」というのは、あくまで願う人のエゴであって、それを他人に押しつけては絶対にいけないと思うのです。たとえ親子や家族であっても。その十字架が、どれだけ人を生きづらくさせるか、使い勝手が良い曖昧な言葉だからこそ、取り扱いは厳重注意です。

男も女も、子どもも大人も関係ない。みんなが自分らしく生きるには、社会が「●●らしさ」の呪縛から解き放たれることが必要なのではないでしょうか。

小説「おばけのリベンジ」には「生きることを放棄してはいけない」というメッセージを真ん中に据えていますが、「自分らしく生きてほしい」という想いも込めました。

最後に、男らしくないと言われ続けてきた僕の心がフッと軽くなったフレーズを紹介して、今回は筆を置きます。

“男らしいはやさしいことだと言ってくれ”

from 『我が良き友よ』 作詞:吉田拓郎


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