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【伊福部昭】今日行ったコンサートの感想:令和03年(2021年)11月28日(日)【タルカス】

 近代配置でチェロが手前。ヴィオラが前を向いていてよく聞こえる~! 最後方にティンパニとドラムスが陣取る。


伊福部昭『シンフォニア・タプカーラ』
 日本最高の交響曲。堂々とした序奏主題に、そういえばファゴットもいたねと気付かされる。アレグロは圧巻。タムがうるせえ。
緩徐楽章のハープの下降が落ち着きをもたらす。
フィナーレは何度聴いても、どうしよう! ピッコロが死んじゃう! と思わせる。そして果敢にも立ち向かって吹きこなすピッコロ。今日のお客さんは余韻までちゃんと待って拍手してくれて、良いお客さんでした。
アンドレア・バッティストーニ指揮、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏。


エマーソン・レイク・アンド・パーマー作 吉松隆編『タルカス』
 プログレの名曲、EL&Pの『タルカス』を吉松隆編曲のオーケストラで。
ドラムスとマリンバが5拍子で突き進む。オーケストラになってちょっとお上品になったかな? 緩徐部分もエモい。しかし何よりアレグロの破壊力が凄い。銅鑼も凄く打つぞ。行進曲部分は晴れやかで英雄的。
『タルカス』自体の解説が書いてあったけど、これってつまり物語音楽でバラードか交響詩ですね?
藤岡幸夫指揮、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏。


ショスタコーヴィチ『交響曲 第12番 ニ短調』
 「Es - B - C」動機がスターリンの音名象徴という説は初めて聞きました。そう聴くと、フィナーレに執拗にスターリンが挟まれてるこの交響曲は何なんだ? と思う。ずっと、レーニンを讃えた交響曲だと思っていたよ。
ところどころ『交響詩「十月革命」』と似てるところがあるんですよねこの曲。テーマも一緒だし。そして、意外にもこの曲は何も受賞していないらしい。
 ショスタコーヴィチが書いた最後のソナタ・アレグロでは? 第10番の反省を生かして作られたという。第1主題は5拍子だがニ短調で重々しくも恰好良い。第2主題も変ロ長調でしたよね。古典的に作られていると思います。肥大した映画音楽とか言って過小評価するのは良くない。いやあ、社会主義リアリズムのアレグロは最高ですね。
 緩徐楽章のコラールもショスタコーヴィチ流の和声進行をしていて、いろんな楽器で出て来て良かった。フィナーレの盛り上がりでは驚異のトリプル・トライアングル。音が眩しい。ティンパニが両手で打つ! 以前聴いたときにはコーダの聴き時間配分を間違えていて締めに拍子抜けを食らったのだが、今回はちゃんと聴けた。でも終わり方しつこいよね?
エリアフ・インバル指揮、東京交響楽団の演奏。


吉松隆『NHK大河ドラマ「平清盛」』より
 アンコールは吉松隆。「遊びをせんとや生まれけむ」で始まるエモい曲。どう聴いても吉松隆なので一発で分かる。平安時代の武士がテーマなのでアレグロも暴力的で非常に良い。
藤岡幸夫指揮、東京フィルハーモニー交響楽団の演奏。


 このプログラム、アレグロ・アレグロ・アレグロで、心休まる暇が無い。いや、まあそれぞれ曲の中に緩徐楽章を内包しているとはいえ、メインはやはりアレグロなので、それだけで全部を占めるのは凄い。振り切った指揮者も凄い。