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episode3

おばぁちゃん家に行って
おばぁちゃんがこう言うの。

「いいかい、赤ずきん。よく聞くんだよ?
赤ずきんは、森のみんなと仲良くて
おばぁちゃんにも優しくしてくれる
とってもいい子だ。だから、おばぁちゃんは
とても、赤ずきんが心配なんだ。」

わたしは、おばぁちゃんの顔を覗き込むように
「それで、どうして心配なの?」と訊いたの。

おばぁちゃんは、わたしの頭を撫でながら
「ここの森にはオオカミがいるんだ。
とても怖いオオカミが。機嫌が悪ければ
森のクマやリスを怯えるくらいイジメたり
お腹が空いたら、赤ずきんも食われてしまう。
おばぁちゃんは、赤ずきんが会いに来てくれるのがとっても嬉しいけど、オオカミに襲われないか、
食べられてしまうんじゃないか、と
いつも心配しているんだ。」

おばぁちゃんは、もう片方の手で
わたしの手をギュッと握ってそう言った。

「大丈夫よ。おばぁちゃん、心配ないわ。
わたし、オオカミさんのことは知ってるの。
まだ、ちゃんと会ったことはないけど
きっと、寂しがり屋さんで照れ屋さんで
どうやって仲良くしていいか
分からないだけだと思うの。
だから、もし今度ちゃんと会った時には
わたしね、仲良くしたいって思ってるの。」

おばぁちゃんは、じっとわたしの顔を見て
「赤ずきんは、本当に優しい子だね…。」と
そっと、呟くように一言だけ言った。


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