おばぁちゃん家に行って おばぁちゃんがこう言うの。 「いいかい、赤ずきん。よく聞くんだよ？ 赤ずきんは、森のみんなと仲良くて おばぁちゃんにも優しくしてくれる とってもいい子だ。だから、おばぁちゃんは とても、赤ずきんが心配なんだ。」 わたしは、おばぁちゃんの顔を覗き込むように 「それで、どうして心配なの？」と訊いたの。 おばぁちゃんは、わたしの頭を撫でながら 「ここの森にはオオカミがいるんだ。 とても怖いオオカミが。機嫌が悪ければ 森のクマやリスを怯えるくらいイジメた
------------------------------- ボクは、オオカミ。 ずっとずっと見てきた子がいる。 春も終わりの頃。 いつもの野道を外れの方を歩いていたら 赤いずきんをかぶった子が蝶と戯れながら 笑顔で歩いていたんだ。 カゴには、果物や美味しそうな匂いのする お菓子をたくさん詰めて、、、 笑顔がとっても可愛かった。 ボクにもその笑顔を向けて欲しいと思って。 ずっとその日から、キミを追いかけていた。
わたしは、赤ずきん。 いつもの野道を散歩して おばあちゃんの家に行くの。 いつも、お友達のクマさんやリスさんにも 挨拶をして、お話をしたり、お花をつんだり 遊んだりしながらおばあちゃんの家に行くの。 少し遅くなっちゃう時もあるけど とっても楽しい時間を過ごしながら 行くこの道が大好き。 そして、わたしは知ってるんだ。 いつも陰からそれをこっそり見てる オオカミさんのことを。
Prologue行かないと。オオカミさんに。逢いに行かないと。いつものお家で待っていてくれるから早くオオカミさんに逢いに行かないと。壊れてしまう。
