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創業期の会社に「ビジョン」は必要か?

こんにちは。株式会社Genonの取締役兼共同代表の高砂です。
突然ですが、みなさんは創業初期の会社に「ビジョン」は必要だと思いますか?

ビジョン:会社のありたい姿や実現したい社会像。

結構よくあがるテーマで、個人的にはちゃんと泥臭く起業に挑戦した人ほど、意外と「創業期にビジョンはなくても良い」という考えを持つ人も多いように感じます。
まず目の前の解決したい課題(どちらかというとミッションに近いのでしょう)に向き合い、がむしゃらにそこに立ち向かう。
そうやって走る中で、少しずつ実現したい社会が見えてきて、組織を大きくするにあたって少しずつ言語化すれば良い。

まずはできることの実現から。私はその考え方に賛成です。創業期に大きなビジョンは「なくても良い」と思います。

でもその上で、Genonはそうじゃない。むしろそれとは全く逆な会社です

私達にとってビジョンは存在意義であり、それがないのならGenonが存在している意味がないと考えています。
きれいに見せたいわけではなくて、それは「良くも悪くも」、私達にとって事実です。
私達は共通のビジョンを実現するために集まっています。

今日はそんなGenonにとってのビジョンって何なのか、スタートアップがビジョンから考えるってどういうことなのか、私なりの考えを言葉にできればと思います。

そして最初にお伝えしておくと、弊社Genonは今そのビジョンの実現に向けて一緒に走ってくれる仲間を探しています。

私達のビジョンに共感してくれる人が読んでくれたら、少しでもワクワクするような文章になれば良いなと思いながら筆を取りました。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。


始まりとこれまでの経緯

現在の私達が向き合っているのは、皮膚科の慢性疾患患者と皮膚科医のコミュニケーションの課題ですが、最初は実は全然違ったことを考えていました。
そもそも、解決したい課題からスタートしていなかった。

課題→解決策
ではなく、

自分達が作りたいものは何か? → それが解決できる課題は何か?

という思考、いわゆるプロダクトアウト的な考え方で、事業構想を模索していました。
それがスタートアップ起業の定石でないことは理解していました。それでもやっぱり私達は「課題解決」を目的に置くことはしませんでした。
なぜなら代表高原の魅力であり、行動の源泉は、圧倒的に「知的好奇心」だったからです。
そして私高砂が一緒にやろうと決めたのも、高原の知的好奇心から生まれる、頭のネジの飛んだ未来構想だったからです。笑
当時の自分達を私なりに称するなら、「クレイジーな変態サイエンス思想家」と、「奇人に恋する夢見がち平凡人」という感じ。
いわば現実社会をよく知らない「女の子2人」って感じだったのではないでしょうか。

高原さんの知的好奇心の1番の向き先は「生命科学領域」でした。
なぜ興味があるかというと、解明されていないことが多すぎるから。
高原千晶の基本スタンスは、「わからないことがおもしろい」から成り立ちます。

昔は「全てのゲノム配列が解析されたら人体について全てわかる」と信じて研究を進められて来たけど、いざ解析が終わってみると、「ゲノムが解析されても何もわからない」ということだけがわかった。

そういう話に目を輝かせるのが高原という人です。
だから私達はフィールドを、多分自分達が生きている間には解明されないであろう「ゲノム」に決めました。

そして自分達が最初に考えた事業内容は、「デジタル上に人間のクローンを作る」というものでした。
ゲノムからわかる特徴を完全に再現した自分のコピーをデジタル上に作って、「ゲノムレベルの個」をシミュレーションする。
使ってみたいものや、行ってみたい環境。何なら宇宙に連れて行ってもおもしろいんじゃないか。そんなことを考えていました。

そんな自分達の夢と、プロダクトアウトな事業内容から言語化されて来たビジョンが、「ゲノムレベルで個人がより良い選択ができる社会を作る」でした。全ての人が自分と他社の遺伝子単位での違いを理解している社会。全員が全ゲノムを解析し、個が分析され、様々な環境を自分と同じ遺伝子を持つ自分のコピーを通して擬似体験する。
そして解析された遺伝子情報と、人々の行動や体験、様々な刺激に対する反応、それらが全てデータとして収集されれば、体験が積み重なるほど、ゲノムへの解像度が上がって行く。未来構想は尽きません。

そんな感じで事業構想していたのが大体活動を始めてから4~5ヶ月くらい。
2021年の3~4月くらいに先の見えないトンネルに入って行きました。


具体化されない事業計画と、方向転換

やっぱりみなさんご存知の通り、「プロダクトアウト」の社会実装は圧倒的に難易度が高いです。当たり前ですが。
「作りたいもの」からどれだけ考えても、それが解決できてかつ本当に人が求めている課題なんてなかなか見つからず、課題が定まらないから事業内容はずっと抽象的なところを抜け出せませんでした。
そうしているうちに、そもそも「作りたいもの」がわからなくなってきました。やりたいことは何だっけ、という状態。
一旦解散しても良いんじゃないか、みたいな話も何度かしました。
(ちなみに無計画無職一人暮らしの高砂の資金はこのあたりで限界を迎えて、来月収入がないと家賃払えなくて死ぬ、みたいなところまで行きました)
それでもやめなかったのは、やっぱりビジョンを諦められなかったからです。
ビジョンへの強い思いと、そこに向かう変態的な発想は、「自分達以外には絶対実現できないこと、作れないものがある」という確信を揺らがせませんでした。
じゃあこのままじゃだめだ。ということで、大きく方向転換。ようやく社会の何を解決するか、から発想を始めました。
行き着いたのは「原体験に立ち返る」ということでした。
私と高原さんは実は、「肌が弱い」という共通点から出会いました。(この辺りのお話はまた別途。)
高原さんが起業の道に足を踏み入れたのは、アトピーが原因で元のパティシエという職業を続けられなくなったからでした。
そしてその経験から、「頑張りたい時に頑張れる人を増やす」という思いはビジョンと同じくらい強くありました。
自分達がまず向き合うなら「皮膚科の課題」しかない。そこから皮膚科で悩みを持つ人達へのヒアリングを重ね、今の事業に至ります。
でも向かう方向は変わっていません。「ゲノムレベルで個人に合った選択ができる社会」を、どのフィールドで実現するか、を考えた時に、「まずは皮膚科」と決めただけです。そう決めることで、具体的な課題に向き合うことができるようになりました。
私達は良くも悪くも、具体から抽象に上げて行くタイプではなかった。
抽象的な未来構想から始まって、具体への降ろし方で迷走を重ね、少しずつ現実を知ってやっと形になって来た。そういう会社です。
だから私達にとってビジョンは存在意義なのです。


改めて言語化し直したVision・Mission

そんな経験を経て、少し前にVisionとMissionを改めて言語化し直しました。
Vision・Missionの意味を端的に知りたい人には、代表のnoteの方がシンプルです:

私からは上述の経緯も兼ねたVision・Missionの背景について私目線からお話します。

Vision:ゲノムを追求し「個」が活きる社会を作る

これは元々のビジョンから少し言葉を変えただけで、初期からあまり変わっていません。
「ゲノム」というのは遺伝子領域を扱う、という意味ではなく、元々の「ゲノムレベル」から来ています。
つまり「徹底的に個人レベルまで」
私達は誰一人同じじゃない「ゲノム」単位まで個を解明したい。その先に「ヒト」の解明に向かって行く。それをやり続ける、という意味で「ゲノムを追求」という言葉に落としました。
その結果社会に実現したいのは、人それぞれ違った「個」が活きる社会。
人との違いから生まれる生きづらさへの違和感と、違いが生み出す科学反応の魅力。私達はそれを「ヒトの解明」という切り口から尊重し続けたいと考えています。

Mission:皮膚領域で個人に合う診療体験を作る

そしてこれが走りながら見えて来た、より現実に近いところの思いです。
皮膚科は、診療単価が低く病院経営のためには数を回さなければならないため、患者と医師が向き合える時間はごくわずか。
一方で皮膚科は非常に多因的で個人差が大きく、慢性的な疾患になると継続可能な治療方法を模索する必要があります。そのためには本当は医師と患者の深いコミュニケーションと信頼関係を築き、個別化医療を実現して行くことが必要です。
そこに大きなペインがある。そのギャップに苦しみながら、「頑張りたいのに頑張れない」人がいる。それでもどうにか前を向いて疾患を持たない人と同じように生活を送ろうとしている人がいます。
夢から始まり、でもそれだけではだめだと悩み迷走した会社だからこそ、私達は徹底的に患者ファースト、それを実現するための医師とのwin-winな関係づくりに取り組みます

「夢見る女の子2人」は、そんな感じで壁にぶつかり続けて、現実を見て、少しずつ「経営者」に近付いた、のではないかなと思います。
一番側で見ている私の感想としては、高原千晶はここ半年くらいで急速に「CEO」になったんだなあ、と感じます。
でもまだまだ始まりに過ぎなくて、私達は二人とも変わり続けないといけない。そしてこれから入ってくれるメンバーも。
会社の成長と一人一人の個人の成長を同時並行で推進して行きます。


将来構想

そんな事業内容から将来的には、データの蓄積による医学研究の発展、治療方法の解明に貢献することを目指しています。
私達の存在意義は、最終的には「生命科学」「ヒトの解明」。そこからはずれません。
そして、やっぱり数年後には「デジタル上の自分のクローン」を作ってみたいです。
そのためにも、社会の大きな課題である皮膚疾患の課題を解決し、前向きに生きられる人を増やしたい。
そんなバランスで今の会社は成り立っています。

紆余曲折しまくりながら、株式会社Genonは今月2100万円の資金調達をクローズしました。

最初にお伝えしたように本格的にメンバーを拡大し、協力者を募り、事業検証を前に進めて行きます。ようやく会社として形になって来たところで、これからめちゃくちゃおもしろいフェーズです。
というかこれからも遠い未来も、ずっとおもしろくし続けます。

私達と一緒に、生命科学を夢想しながら、皮膚疾患の強大な課題の解決に取り組みませんか?
共感してくれるメンバーを探しています。
興味を持ってくださった方はぜひ、応募フォームを提出していただけると嬉しいです。

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長い文章を読んでくださったあなたに会えることを、そして一緒に走れることを楽しみにしています。
読んでいただきありがとうございました。


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