追憶、雑学の館
雑学が好きである。
どうでも良い知識が好きである。
子供の頃、親が家のPCに入れてくれたエンカルタ百科事典を狂ったように読み漁り、学校の図書室で百科事典を広げてみたり、
「キグロマサナオ雑学の館」という雑学を集めたHPの更新を毎日楽しみにしていた。
2000年代初期はwikipediaがまだ出始めだったこともあり、百科事典以外に知識を吸収するのは、インターネットからが主だった。
雑学の館には、別館に探偵モノの小説を執筆して載せていたことをよく覚えている。
確か自身とそこまで歳が離れていなかった筈だ。
博識で小説まで書けるなんて、すごい人だなぁと画面の向こう側に羨望の眼差しを向けていた。
何かしらの二次創作でもオリジナルでも、何かの作品を作り出せる人は心から尊敬する。
昔、大学で取っていた文化論の講義で
「作者が作り出した架空のキャラクターが、作者の意思と反して勝手に動き出すことがある」
と聞いたことがある。
「自己投影したキャラクターなら、自分の思考や行動パターンをトレースしているのだろう」と思えばそうとは限らないらしい。
物語の作り手としても、完全に予想ができなかった展開が起こることがあるんだそうだ。
これを聞いた18歳当時は
「はえ〜〜、おもしれ話〜〜〜」
くらいの反応だったが、歳を重ねて実感する。
「0」から「1」を生み出せる人は完全に魔法使いだと。
私の妻は絵が上手い。
めっちゃうまい。
サラサラっと上手い絵を描く。
妻にもキャラクターが勝手に動き出すことはあるのか聞いてみた。
「最初にイメージしてたものと、描きあげた作品が全然違う形になることは結構あるよ。」
とのこと。
そして、描いてる途中で「これはどう着地させればいいんだろうか…」と悩むことも度々あるそうだ。
「生みの苦しみ」にも色々なパターンや段階があるらしい。
私は「0」から「1」を作ろうとしてもどうにもうまく作れない。だからこそ、知識や情報を詰め込んで「1」に追いつこうとしているのかもしれない。
今まで集めてきた知識や経験で、少しでも自分の隙間を埋められるように。
そんな知識集めにのめり込んだ原点が、キグロさんだったんだよなぁ、とふと思い出した。
HPをよく見ていたのがもう20年ほど前だから、流石にもう閉じてると思ったらまだ運営されてて驚いた。http://kigurom.web.fc2.com/
そして本も出版されていたようです。
継続している人はやっぱすげぇや。
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