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<那須高原田舎(農家)暮らし⑥ : パンとトマトの話>

何にでも初めての時がある。
こたろうファームも10数年前に初めて自分達のトマトを作った。ハウスはまだなかった。
大玉トマトは形が悪かったり、ひび割れたり。
規格外のトマトがたくさん出来てしまった。
初めて採れたキレイなトマトのことも忘れない。
たくさん出来た規格外のトマトのことも忘れられない。

初めての規格外トマトの嫁ぎ先

そんな就農1年目、とりあえず道路っぱたに無人販売所なるものを設置もしてみた。
ま、そんなにいっぱいは売れないですよね💦

初代無人販売所

そんな時、友人がペンションオーナーさんを紹介してくれた。夏はガスパチョをだしてるからたくさんトマトが必要だと、コンテナ何個分も買ってくれた。
そこからそのペンションさんとのお付き合いは始まった。

お母さんのパン

そのペンションはお母さんが1人で始めたペンションで、那須高原では老舗のペンションだった。
娘さんご夫婦も手伝っていた。
お母さんのパンが評判で、何種類も自由に食べられる朝食が名物で。
野菜の配達の時、お母さんに会えるとパンを準備していてくれた。
「忙しいでしょ、おやつに食べてー」
密かにパンをいただくのが、楽しみだった。
いつも私達の身体を心配してくれて、たまに会って話ができるとうれしくて。
「今年はいつからトマト始まる?」って
いつもトマトを楽しみにしてくれて。

数年前、いろんな事情でペンションをやめることになり、お母さんはひとり住まいに。
それから会う機会もほとんどなくなった。

お母さんと一緒に

うれしい訪問

今日の昼過ぎ、電話が鳴って外に出たら!
なんとお母さんがお友達と無人販売所に!
たまたまお友達がうちのインスタをフォローしていて
「こたろうファームに行ってみたいのよー」
「あらー、私の知り合いよ!無人販売所、連れてってあげるー」
となったらしい。
わざわざ、パンを焼いて持ってきてくれた。
「パン好きだったわよねー懐かしいでしょー」
なんて言って。
パンもうれしいけど、元気なお母さんの笑顔がうれしい!
田舎暮らしをして農業をして、何よりうれしいのは、こうやって人がつながっていくことだ。
何年ものつながりは、わたしたちがうまく作れなかった1年目のトマトたちの延長線上にある。

「初めて」を忘れないように

お母さんのパンは、私たちの「初めて」を思い出させてくれる。
嬉しくもあり、悔しくもあった初めてのトマト。
そして、その規格外のトマトが運んでくれたご縁。

とある夏の忙しい時期に配達に行ったら、疲れてキッチンの椅子から立てなくて。
「そこに置いといてーもうね、疲れちゃって」って言ってたお母さん。
それでもパンを持たせてくれた。
今はのんびりやってるわ、って。

今年の夏は、トマトを持っていきますね。
懐かしいね、おいしいね、って言ってもらえるかな。

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