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小さな無人販売所の話7<季節を届ける野菜の話「春・野菜の菜花」>

「今、旬の野菜ってなんですか?」
スーパーに行けばいろんな野菜が並び、ほとんどの野菜が一年中購入できる便利な日本。
それは良いことでもあるけれど、野菜の旬って分かりずらい。
農家になってから気づいたこと。
「野菜の旬は日本の中で移動する」
「那須高原には那須高原の旬がある」
こんな小さな日本でも、南から北へ、野菜の旬は移動する。
ハウスで加温して栽培できるから、露地の野菜の旬とハウスの野菜の旬も少し違う。
うちはハウスはあるけど加温していないので、季節の気温・気象状況に応じて、野菜が仕上がってくる。
那須高原で春の訪れを告げる野菜は
「野菜の菜花」

こたろうファームの野菜の菜花の種類は約10種類!

ちんげん菜、白菜、小松菜、プチヴェール、カーボロネロ、ルッコラ、ケール、ターツァイ、ふゆ菜、かぶ、キャベツ、などなど。
これらは全部「菜の花」になる。そして、「野菜の菜花」として販売される。



冬にあまり育たなくて収穫しきれなかったものをそのまま畑に置いておくと、春には花芽をつけてとう立ってくる。その花が咲く前に収穫する。
野菜も子孫を残そうと、花を咲かせることに力を入れるので、暖かくなると成長の速度はグイグイ早くなる。栄養も花芽の先に集まってくる。
花が咲きほこってしまったら、そこで終了。
だんだん細くなり、茎も硬くなってくる。
だから、野菜の菜花の旬の時期は短い。収量が増えてから終わるまで約1ヶ月。

いろんな野菜の菜花はどんな味?

基本的には元の野菜の味が出やすいので、白菜なら甘みがあって、ルッコラは辛味や苦味がある。小松菜は少し辛味があるような、カーボロネロは濃いしっかりした味がする。
とはいえ、たくさん種類が並ぶと「えー、どれ選ぼうかな?」ってなってしまうのもよくわかる。
ということで、菜花の味チャートを作っている。


甘みが強いもの、辛味や苦味が強いもの、大体の目安として選んでほしい。
また、野菜の蕾や芽というのはほろ苦いものである。
春を告げる蕗のとうやタラの芽などが苦味の代表だけれど、菜の花もほろ苦い野菜である。
子供よりも大人の方が菜の花や山菜が好きなのもうなずける。

野菜の菜花、どう食べる?

よし、買ってみよう!と手に取ったら、
次はさて、どう食べようか?
基本的にはスーパーで売ってる菜の花と食べ方は同じ。
お浸しや辛子和え、パスタやグラタンなどにも。
でもこれだけ菜花の種類があるので、元の野菜の食べ方を考えて調理してみても楽しい。
小松菜や白菜など和の野菜は、やっぱりお浸しや胡麻和えなど和風の料理によく合うし、カーボロネロやプチヴェールなどの洋野菜は、パスタや炒め物に合う。

白菜の菜花の胡麻和え
カーボロネロ菜花のオイルパスタ


同じく春の食材のホタルイカと一緒に和えたり、パスタにしたりと春を楽しむのもオススメです。

ターツァイの菜花とホタルイカの辛子味噌和え

オススメの食べ方を野菜の品名シールに書いてあるので、それも参考にしてほしい。
無人販売所では
「ナムルにしたら美味しかったー!」
「ピーナツ和えが美味しいわよ!」
などのお客さまのオススメの食べ方で盛り上がることも春の楽しさ。

季節を感じる無人販売所

「無人販売所で野菜買うようになってから、季節を感じるようになった」
という声をいただく。
小さな無人販売所にはスーパーみたいにいろんな野菜は置いてない。
今那須高原で、それもこたろうファームで採れている野菜が並ぶだけ。
だからこそ、那須高原の標高450mあたりの旬がここにはある。
「菜の花出てきたねー、春だねぇ」
「レタス、待ち遠しいね!」(→レタスは5月くらい)
「葉玉ねぎ、楽しみ〜」(→5月くらい)
「今年もトマトの苗販売する?」(→5月5日6日予定です)
春になるとどんな野菜が出てくるか、何年も通うお客さまはよく知っている。
こんな会話をしながら、毎年季節の野菜を待っていてくれる。

小さな無人販売所は、小さなことしかできないけれど、
畑から近くて、作業小屋の冷蔵庫からすぐに補充できて、
タイミングがよければ、畑から今採ってきたばかりの野菜が並ぶ。
そして今の那須高原の気候で育つ野菜を、
一番いい状態でお届けできる。

野菜と一緒に那須高原の季節をお届けしたい。

そんな気持ちで毎日やってます。

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