パートナーとして農業を手伝う16<直売所の野菜は「新鮮で安い」の前提との戦い方>
「直売所の野菜は新鮮で安いもの」というイメージがある。
なぜ同じ野菜・より新鮮な野菜なのに、スーパーより安く売ってるのか?
直売所にも手数料は払ってるのにね。
収穫して、必要なら洗って、袋詰めして、直売所まで車で持っていって。
野菜が残っていれば夕方もう一度車で取りに行くことも。
うちの近くの直売所では、だいたい1袋¥150前後で葉物野菜が並んでいる。(もちろん野菜によって値段は変わります)
うちは何年も前から地元の道の駅の直売所には野菜を持っていってない。
他の生産者さんの野菜の値段が安すぎるから。
お客さん目線だとありがたい話。
今日は個人的なこたろうファームYOKO目線の話をしてみよう。
値段も安いが量も多すぎない?
最近、近くの道の駅「道の駅 明治の森・黒磯」がリニューアルオープンして生産者として登録したのですが、まだ出荷できる野菜がなかったので、数日激混みの直売所のお手伝いに。
私はいつもはお客さんとして道の駅に行くのだけど、今回は内側から産直野菜コーナーを観察しながらお手伝い。
今後出荷することも踏まえて、いろいろ勉強させていただきますよ。
野菜の種類も大きさも、量も値段も、各農家に一任されているので、出荷にきた生産者さんは他の人の荷姿や値段をけっこう気にしてる。
周りの値段を見て値下げ競争が始まることもあるけど、リニューアルオープンだけにお客さんがたくさん来るので、野菜は飛ぶように売れていく。
アスパラガスやトマトなど、単価の高い野菜もあるし、単価の高い野菜は1袋の量が控えめだったりする。
葉物野菜はとにかくたくさん入っている。袋からはみ出している大きくなっちゃった野菜もある。そして安い。
こんなに安いんじゃ、競合できないわ。
無人販売所では「大人2人暮らし、大人2人子供1人」あたりをイメージして野菜を袋詰めしている。でも直売所は「えーこんなにいっぱい?」って思うほどの量である。
「直売所はいろんなお客さんが来るから、ターゲットを絞りきれないな・・」なんて思いながら、うちは何をどの量で出すかな、と考える。
やっぱり値段で買っていくよね
次々に売れていく野菜たち。お客さんは何を見て買うのかな、と観察。
直売所の野菜売り場に立っていると、「どのトマトが美味しい?」とか「この野菜の食べ方は?」なんて質問を受けたり。
トマトやイチゴは好きな品種を買っていく方も。
でもほとんどのお客さんの購入ポイントは値段。
同じ野菜なら、安いかたくさん入っている方を買う。生産者の名前は見ていない方がほとんど。観光の方なら生産者は関係ないよね。
平日の地元のお客さんだったら違うのかも?
無人販売所に来てくれるお客さんの多くは「こたろうファームの野菜」を買いに来てくれる。野菜が高い、と言われることはほとんどない。
でも直売所の野菜と比べるとうちの野菜は高い。
こたろうファームを知らない人に、こたろうファームの野菜を選んでもらうにはどうしたらいいのか?
「前より野菜高くなったわね」でダブルショック
やっぱり直売所の野菜は安いよねー、どうやってうちの野菜を売ろうかな・・なんて考えていたところに言われたひと言。
「リニューアルしたら、野菜高くなったわね」
まあ、後日別のところでも同じ感想を何度か聞くことになるんですけど。
えーーー、これで高いの?
いったい前はどんな値段で売ってたの?
このご時世、タネの値段も肥料の値段も、野菜を入れる袋の値段も、全て値上がりしている。それなのに、野菜の値段は上げないの?
直売農家が野菜を売っても売っても儲からない気がするのは、当然だ。
だって、隣の人より10円でも安く売ろうとするんだから。
そして、10円安い野菜を買う人が多いんだから。
みんなー、プライド持って自分で考えて野菜の値段を付けようよ。
こたろうファームの戦略は?
値段競争には参加しない!
他の人が出していない野菜を出す
手に取りたくなる見た目とリピートしたくなるクオリティ
食べ方、レシピなどの付加価値を付ける
SNSで出荷のお知らせ、写真などを載せる
まずは、出してみる!その後調整。
今週末の日曜日が初出荷予定。
友人が代表を務め、若手中心で新しい試みをしている「道の駅 明治の森・黒磯」。新しい目線で、新しい道の駅・直売所を作っていく過程に、生産者として参加したい。
<直売所の野菜はたくさん入ってて安い>から買うのではなく、
<直売所の野菜は新鮮で美味しい>から買う。そうあってほしい。
買った野菜を家で食べたときに
「わー、直売所で買ってきたこの野菜美味しいね!」
「もうひと袋買ってくればよかったー」
なんて会話があるとうれしいなぁ。
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