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息子を送り出す卵かけご飯。

長期の休暇を終え、帰り支度をする当日のこと。我が家の朝ごはんは、フリースタイルである。パンの日もあれば和食の日もある。健康のことを考えて?いいえ、腹が満たされればバナナでも餅でも何でもいいのだ。

私は日頃、朝は食べないのでスロースターターなのですが、この日ばかりは朝食を食べたいと思いました。

それは帰る前に遡ります。
松風という焼肉で息子と高級肉を食べるという母の夢を叶え、江口蓬莱館という海鮮などが有名な場所でアサリと美味しそうな生卵を購入。

もうお分かりですね?
そう、朝食は卵かけご飯とあさりの味噌汁。
滅多に朝から空腹にならないのですが、その日の腹の満たされた朝は、まだ思い出せます。

アサリは、身がしっかり入っていて生臭くもなく白味噌との相性も良かった。
卵は、普通の卵より黄金がかっていたという表現でいいのだろうか、醤油は少量で良い濃厚さでした。

母は、この長期休みの中で珍しく一緒に長く過ごせたことが嬉しかったのか、こんなことを言っていたんですね。

「今回の旅で一番美味しかったものは?」

それはもちろん。

「松風の石焼ビビンバと肉」

一気に母は顰めっ面で苦笑するのです。
そこは、「母の手料理」と言ってほしかったのです。母の作る料理は、世の中に出てから色んなものを食べるけれども最後に欲するのは母の料理なんだと口が滑っても言えないが、「そうだねー」と苦笑いしながら最後の味噌汁をすするのでした。

誰かと食事をするのは楽しい。
誰かの作ったものは、愛がある。

母に、感謝を。

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