お金持ちは、給料日にATMに行かない。

お金が貯まる特効薬はありません。
お金を貯める唯一の方法は、お金の勉強をすることです。


お金を貯めるためには、無駄遣いをしないためには、技術が必要です。
感情論や精神論でどうにかしようとすると、まず失敗します。
「今月こそ無駄な物は買わない」と心に決めた人は、必ず不要なものを買うことになります。


お金の勉強を始めて最初に知るのは、「お金がすぐに増えることはない」という事実からです。
お金は時間を味方につけた人に集まるのです。


給料日から1週間は、贅沢しない。


毎月25日や、年金の支給日には、ATMに行列ができます。
この列に並ぶ人は、お金が貯まらない人です。
銀行からおろしたお金は、間違いなく使われるからです。


スーパーやアパレル店やAmazonは、給料日と年金支給日に合わせて販促を行います。
人間はお金を持つと、使わずにはいられません。
「セールで安くなってる!」「ポイント10倍だって!」
25日にATMに並ぶ人たちは、売り手の戦略の成功を支えているのです。



売り手は「ものを売るプロ」です。
買い手は「ものを買うアマチュア」です。
プロとアマが戦えば、どちらが勝つかは明白です。


大谷選手と一般人が1打席の勝負をすれば、だれもが大谷選手が勝つとわかります。
そもそも、勝負にすらなりません。
それなのに、商品の売買になると、私たちは大谷選手に勝てると勘違いしてしまうのです。


売り手は命懸けで商品を売ろうとします。
日夜頭を働かせ、どうすれば売れるかを考え続けています。


「どうすればお客様は満足できるか?」
「ディスプレイは本当にこれでいいのか?」
「思わず手に取ってしまうような並べ方はないか?」
「もっと購買意欲を掻き立てる広告は出せないか?」


カール・マルクスという思想家がいます。
マルクスは、ものが商品として売れるためには「命懸けの跳躍」が必要だと看破しました。
noteでは、無料の記事ならスキがたくさんつくのに、有料にした途端だれにも読まれなくなります。



たった1円でも、値段をつけることで買う側には「コスト」が生まれるのです。


有料記事がつまらなければ、「お金と時間を返して」と言われます。
無料記事がつまらないと言われても、「趣味で書いてるだけだから」と言い返せます。



これが命懸けの跳躍です。
お金を払ってもらうことは、崖から飛び降りることです。
崖から飛び降りる覚悟を持つのが、プロです。


お客様は、消費者は、崖から飛び降りることはありません。
間違った買い物をした時は、レシートを見せて「お金と時間を返して」と言えばいいからです。


売り手は、商品が売れなければ、文字通り死ぬしかありません。
商売で生計を立てるというのは、そういうことです。
自分がものを売れなければ、家族を養えないという覚悟があるのです。



アマチュアとは、自分の失敗や過ちの責任を他の人に押し付けられる立場にある人です。
プロとは、すべての責任を「自分が引き受けます」と震え慄きながら手を挙げる人です。


命懸けの人間に、そうでない人間が勝てるはずがないのです。
商売のプロに、無勉強な素人が太刀打ちできるわけがありません。


だから、お金の勉強が必要なのです。


お金を貯めるためには、25日にATMにいくことをやめます。
給料日や年金の支給日から1週間は、お金を使いません。
食事や生活必需品だけに限定して、他の贅沢をやめるのです。


前の1ヶ月分のお給料で、次の1ヶ月をやりくりするのは大変です。
3週間をやりくりするのは、それほど難しくありません。
自分で1週間を減らしてしまえばいいのです。
そうすれば、1週間分のお金が余ります。


4週間分のお金がある状態で、残りの3週間を迎えます。
心にゆとりが生まれます。


人間は余裕があると「せっかく作った貯金を失いたくない」と思います。
得よりも損失に敏感な生き物だからです。
今あるものを失うことを考えると、お金を使いたいと思わなくなるのです。
お金を使う欲求がなければ、必然的に無駄遣いはなくなります。


ブランド品が欲しくなくなる考え方


ブランド物や贅沢品をやめる方法があります。
「これを買って、10年後の自分は今の自分に感謝するだろうか?」と考えることです。


10万円のバッグを買うと、今の自分は嬉しいです。
未来の自分は「どうしてあの時の自分は、こんなものを買ったのだろう」と後悔しています。
その10万円で、家族と旅行に行ったり、大切な人にプレゼントして、喜んでもらえたからです。


10年後の自分が最も喜ぶ買い物は、体験や勉強のためにお金を使うことです。
何かひとつのことを学習するには、10年単位で考えなければなりません。
10年という時間は、今日という1日を積み重ねた先にしかありません。



今日、マイナスを踏んでしまうと、明日からは負債取り返す苦労が待っています。
10万円を稼ぐために、何時間の残業が必要でしょうか。
何かを積み重ねるために使えた時間を、バッグの分の借金を返すために使っていることに気がつかなければなりません。



時間も、同じです。
SNSの平均使用時間は、約150分です。
ショート動画を150本見ている計算です。


150本のショート動画を見た後の自分には、残るものは何もありません。



「その150分を使って英語や会計の勉強をしていれば」



収入も上がっただろうし、人間関係も豊かになったかもしれない。
自分の可能性を開拓するチャンスを掴めたかもしれない。



何よりも大きなマイナスは、自分の人生を「どうでもいい他人のために使ってしまった」という自己否定感です。
自分に対してネガティブな感情を抱くと、人間は判断力が低下します。
そうやって、今度はショート動画を200本見る人生を送ることになります。



10年後の自分を想像するとは、未来の自分が今の自分をどこかで見ていて、ため息をついている場面を思い浮かべることなのです。
「今ここで、SNSを開くのと、フランス語の参考書を開くのとでは、どちらが未来の自分を喜ばせるだろうか」と問いかけることです。


ブランド品は、しょせんはだれかが作ったものです。
ブランド品をもっているだけの人には、何の価値もありません。
バッグが10万円であることは、手に提げている人間が10万円であることを意味しません。


「価格」と「価値」は、別物です
「価格」は値段で、10万円です。
「価値」は、お金とは別の次元の物差しです。


宝くじを当てた1億円で、フェラーリを乗り回している人。
バッグを買う代わりに、全国各地の飲食店を巡り歩く人。
1冊5000円する本を買って、偉大なる先人と対話する人。
お月謝を払ってピアノの先生に習い、「平均律クラヴィーア曲集」を弾けるようになった人。
毎週末2000円の入場料で、本物のアートに触れることを習慣にしている人。




「価値」とは、だれと話をしたいかを決めるための物差しのことです。


今の自分がどんな人間なら、10年後の自分が話したいと思ってくれるか、感謝してくれるか。
そこに思いを巡らせれば、ブランドものよりも本当にお金を使うべき対象がわかるのです。







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