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キリンビール珠海工場が太陽光PPAモデル導入

先日珠海に行ってきたのですが、それもこれも大型案件がスタートするという節目であったからであります。その大型案件とは、キリンビール珠海工場への太陽光発電の導入です。中文メディアでは既に先月の時点で以下のように紹介されていますが、まさにこれのことです。

導入方法ですが、工場の屋上部分を活用して太陽光パネルを設置するというものです。スキームとしてはPPA(電力購入契約)モデルによる太陽光発電システム。投資者である聯盛新能源集団がSPC子会社を設立し、そこがPPA事業者となって、同工場の敷地内に太陽光発電設備を設置、そこで発生する電力をキリンビール珠海工場が購入して使用するというものであります。太陽光発電設備の設置費用はPPA事業者が負担し、需要家であるキリンビール珠海工場は電気料金を含むサービス料金をPPA事業者へ支払うというものであり、工場側から見た場合、コスト負担なく太陽光発電を導入することができ、しかも太陽光発電部分の電気代は通常の電気代よりも割安で調達できるというものであります。私はこのプロジェクトのアレンジャーとして当初から動き、そしてついに起工式という日を迎えることができたのであります。

今回PPA事業者となるSPCの大もとである聯盛新能源集団という会社は中国企業とフランス企業の合弁会社で、フランス側はエンジー(Engie S.A.)という会社です。Wikipediaによると、同社は「フランスに基盤を置く電気事業者・ガス事業者で、世界約70カ国に拠点を持ち、電力・ガスの供給で世界2位の売上高を持つ」とあるように、世界レベルの相当力を持った会社であります。


キリングループは2020年2月に「キリングループ環境ビジョン2050」を策定し、2040年までに使用電力を再生可能エネルギー100%とすることを目指していますが、今回の太陽光発電導入もこの動きの一環といえます。こういう動きに携わることができて誇らしく思います。また、珠海工場は日本の工場と比べても規模の大きな工場であり、グループとしても非常に重視しているとのことです。

このPPAというスキーム(中国ではEMCまたは合同能源管理という)は日本でも最近すこしずつ聞こえるようになってきましたが、中国ではかなり一般的になってきているスキームです。あらためてPPAスキームをざっと説明しますと、

以上はコストや資金面に関してで、企業運営上もっとも直接的なポイントであるといえます。

また、以上とは別に太陽光発電導入に伴う副次的な効果として、

ここではいいことしか書いていませんが、もちろん導入にあたって考慮すべき点は色々ありまして、工場としてはそれらを全て勘案したうえで導入すべきか否かを決めることになります。いい話ばかりするのは聞いている側も気持ちいいとは思いますが、全てを理解していただいたうえで導入を決めていただきたいと思っておりますので、私としてはできるだけ多くのポイントについて説明するように努めております。

私がいままで動いてきた感触としては、すでに導入されている工場も多いですが、どうしようかなあという段階のところが一番多いのではないかと思います。少なからずの工場の方々に説明してきておりますので、そのあたりも踏まえてご興味をお持ちいただける工場に対してご説明できればと思っております。




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