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太陽光発電投資者との情報交換

 屋上設置型太陽光発電の関係で、PPA投資を行う企業がオフィスに来てくれました。日系企業にも注力したいということで、先方が上海に出張するタイミングでここ最近の状況について意見交換等を行いました。

 まあ、当たり前の話なのですが、案件規模が大きく、名前のある企業の案件をやりたいとのこと。そりゃそうですね。私もこの話をやり始めたころは企業にとっても受け入れやすく、すいすい進むと思っていたのですが、なかなかどうして、さすがにすいすいというわけにはいきません。


 この機会に投資者に対して質問してみました。どういう企業の話がまとまりやすいかと聞いたところ最初に出た一言が欧米系企業。欧米系企業はPPAの話を持っていくとものすごく前のめりになり、話が早いとのこと。日系企業も事例はあるが全体的にはあまり積極的なイメージは受けず、韓国系企業はもっと進めにくいそうです。韓国企業も意外にもこの方面では保守的なようです。そして中国企業まあまあといったところだそうです。日系企業は日本本社が最終判断するケースが多いのに対し、欧米系企業は中国国内ですべて決定して最後に報告だけするというのが多いらしく、話の進み具合も早いそうです。まあこれは企業文化なのでこういう状況であることを理解したうえで進めていくということになります。私が取り組んだ企業の場合も日本側の判断もあったでしょう。ただし、その企業は日本でもすでにPPAを導入していることから、話はスムーズでした。


 PPAというスキーム、初期投資コストも不要なうえに電力代金も安くなる、そして排出削減にもつながれば工場によっては長年悩んでいた漏水の問題もこの機会に片づけることができる。いいことづくめの話だと思うのですが、検討の結果導入しないという結論を出す企業もおられます。現地としては導入したいのですが、日本本社が反対したという事例もあります。いいことづくめのPPAスキーム、導入しない企業の理由はどこにあるのか見ていきましょう。


(1)契約期間が長い

 契約期間は通常25年でご案内しております。この期間も話し合いにより多少短くすることができますが、だからといって3年5年というわけにはいきません。25年後果たしてどうなっているのだろうか、ということを考えるとなかなか踏み込みづらいということなのでしょう。これは日系企業特有の考え方ではなく、中国系企業も同じように考え二の足を踏むところがあります。なんとなく中国系企業の寿命も長くなさそうなので、中国企業がこのように考える理由もわからなくもないです。しかしながら、25年以内に事業を停止することを決定したとして、工場ごと別の事業者に売却すれば引き継がれた工場はそのまま太陽光発電を利用することができます。これを想定すると機関の問題はそれほど心配には及ばないとも言えます。


(2)数年以内に移転することが決まっている

これはしょうがないですね。我々がご提案しているPPAの場合、工場が移転すれば設置したパネルを新工場に据付替えするのですが、とはいえさすがに数年以内に移転することが分かっていて導入するというのはあまり現実的とは言えないでしょう。


(3)手が回らない

 中には断り文句として使っているケースもあるかと思います。しかし、そういうのを別とすると、すでに節電や排出削減策にいろいろ手を付けていて、そこであらたに太陽光発電の話が加わると体制的に追いつかないというケースがありました。これはこれで納得できるものでした。


(4)SPCとの契約はあまりしたくない

 これは最近初めて出くわした事例です。PPAスキームにおいては、投資者が直接太陽光発電投資を行うのではなく、発電事業を目的とする特別目的会社SPCを設立し、このSPCと工場とが契約して進めるケースが一般的です。一部においては投資者自身がSPCを設立せずに投資しているケースもあるようです。私が言われたのは会社としての歴史がないSPCよりも長年存続している投資者自身と契約するほうがいいというものでした。


 私の観点ではありますが、複数の事業を行っている次投資者がいるとして、その投資者の事業の中には儲かっている事業もあれば儲かってない事業もあるかと思います。工場向け太陽光発電は工場が存在している限り儲けがある事業でありますので、これが儲かっていない事業に回されるかもしれないというリスクを考えると、投資者と直接契約するよりもSPCと契約したほうがいいように思います。


 

(5)太陽光発電に対する拒否感

 最後にもう一つ。youtubeあたりで検索すると「おすすめしない」、「後悔」、「絶対買うな」というような言葉がたくさん見られます。この考えで凝り固まってしまっていると、メリットすら聞こうとしないのでなかなか話を前に進められません。あらためて考えてみますと、太陽光発電を自己資金で設置する場合、これは一つの投資ということになりますが、投資という観点からよくないという考え方をしているのでないかと思います。しかしながら、PPAモデルであればそもそも自己資金を必要としないので、損のしようがないとも言えます。とある会社ではそもそも投資資金が発生するわけでもないので、導入時に本社への相談すらしなかったというようなところもありました。


 実際に工場の方にご説明する際には前回書いたようなお話し、今回書いたようなお話、さらにプラスアルファのお話を行っております。工場の屋上に太陽光発電を設置するというのは中国では思っている以上に進んでおりますので、今の段階では見合わせている企業でも、そう遠くないうちに多くの企業が導入するはないかと思います。




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