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⑥『カレー屋になったけどごまどうふ屋』

2015年、当時22歳で
「ごまどうふ屋」になりました。
そこに至った経緯を備忘録として綴ります。
 これから継ぐひと、もう継いだひと、継ぐことに迷ったり悩んだり、「継ぐ」ことに関わる
いろんなひとに読んでもらえたら幸いです。


結婚してカレー屋に

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 いきなりですが、結婚しました。
 そしてカレー屋になりました。
 安心してください、ごまどうふ屋もやっています。時系列でいうと、

2019/10 今一緒にお店に立つ、妻と出会う
2019/11 お店を持ちたいと相談
2020/02 カレー屋になる宣言
2020/03 カレー屋初出店
2020/05 入籍
2020/07 カレー屋オープン

 2019年10月の終わり頃〜2020年7月9日の間に、出会いから入籍へ、お店を持ちたいと思ったことからオープンまで、目まぐるしい毎日を送っていました。


キッカケは滞在時間

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 なぜ、ごまどうふ屋がカレー屋になったのか、と聞かれることも多くあります。しかし、いきなりカレー屋になりたかったわけではなく、「お店を持ちたい」という想いから始まりました。

 石本商店はもともと、「じいちゃんのごま豆腐を売っている、ばあちゃんの金物屋」です。
 じいちゃんは、ごま豆腐をぼくに引き継ぎ、いよいよばあちゃんも、お店に立つのがシンドイと、ため息まじりに言うようになりました。

 ごま豆腐が売れるようになった頃、メディアの影響か、1日に2〜3組ほど、遠方からの来客がありました。しかしお店は、住宅街の金物屋。せっかくきてもらったのに、ごま豆腐を買ったら、それでオシマイ。
 売り切れていようものなら、残念そうに、来た道を帰っていきます。

 なんだかもったいないな。
 せっかく来てくれたのに、滞在時間でいうなら約2分。周りにぶらぶらできるお店があるわけでもなく、見渡す限りの家、家、家。

 もしも、ばあちゃんがお店を閉めるなら、ぼくがこのお店を活かしたい。そうして、せっかく来てくれたお客さんだし、珈琲の一杯でも御馳走したい。それがお店を持ちたいキッカケでした。


お茶しましょう

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 いつだったか、「ぼくとお茶しましょう!」なんてTwitterで投稿すると、たった1人だけ手を挙げてくれました。
 カフェで待ち合わせをしたのが2019年10月23日。出会ってビックリ、アナウンサー。

 歳も同じで仲良くなって、2週間後には交際開始。そのまた2週間後に「お店を持ちたい!」なんて、相談してました。
 そしたらビックリ、仕事を辞めると言うもんだから、こちらも本気で挑まなきゃいけません。

 2人の共通点は「カレーなら毎日食べたいくらい、好きなこと」。
 どうせお店をやるなら、自分たちが好きで、楽しく続けられるものがいい。


どんなお店にしましょうか

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 好きだから、毎日でも食べ飽きない。そんな理由でカレー屋に決めました。

 飽きないためにも、週替わりのカレーを作ろう。お皿やグラスは可愛いものを。御手洗いには大きな鏡。観葉植物いくつか欲しい。外観はそのまま残そう。大きなテーブルをドカンと置きたい。2020/7/9オープンだ!
 たくさんたくさん妄想を膨らませました。


これまた出店

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 さて、ごまどうふ屋さんとして、あちらこちらで出店販売を続けることは、この頃も変わりません。
 どこで聞きつけたのか、新潟県庁での販売で「カレーも販売しませんか?」なんて、声をかけていただきました。
 ぼくたちまだお客さんに出せるカレー作れませんから…なんて言うはずもなく、二つ返事で「喜んで!」。

 そこからは、出店日に間に合わせるよう、カレーの試作。容器はどうしよう、スプーンとおしぼりも用意しなくちゃ。ポップなんかも用意して、記念すべき初出店だと、告知に告知。

 なんとか初出店を終え、ドキドキしながら用意していた60食のカレーが、あっという間に売り切れました。これはいけるぞと、この日から出店の嵐。なぜなら出店は慣れっこです。

 3月.4月.5月.6月。奇跡的に持っていたキッチンカーをフル活用。あちらこちらでカレーとごま豆腐の販売です。全世界に猛威を奮った新型ウイルスの影響もあり、テイクアウト需要に火がつきます。

 オープンの7月9日までにやったことといえば、①とにかく多種多様のカレーを作り、カレー経験値を高めること。②7月いっぱいは予約制にして、席の予約チケットを売り切ること。③改装工事の費用を1円でも多く稼ぐこと。④出店をひとつでも多く重ね、未来のお客さんを作ること。でした。


ついにオープン

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 2020年7月9日、だれが予想できたか、ごまどうふ屋とアナウンサーが結婚し、カレー屋になりました。
 『カレーとごまどうふの店 石本商店』、これがぼくたちのお店の名前です。

 たくさんのお祝いをいただき、オープン当初は植物園。出店販売から知るお客さんも「よくやった!」と一緒に喜んでくれました。

 お客さんとの触れ合い、これがお店を持つことのなによりの価値なんだと感じます。
 たくさんたくさん、たくさんの方がお祝いに訪れてくれました。


そして今

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 これを書く現在、2021年2月21日。ぼくは今日で28歳になりました。
 ごまどうふ屋になったのが22歳のときです。もう6年経ちました。

 なんだか、どうしようもなく売れなくて、たくさんたくさん悩んだり、たくさんたくさん落ち込んで。できることならやってみよう、全てはじいちゃんのごま豆腐を知ってもらうためでした。
 キッチンカーを作ったり、カレー屋になったりと、なんだかよくわからないことを、たくさんやってみたけれど、結局立ち帰るのは「じいちゃんのごま豆腐まじで美味いから食べて欲しい」。その気持ちひとつです。

 カレー屋さんになったことで、若い方々にもごま豆腐を知ってもらえるようになりました。 カレー屋さんを通して、初めてごま豆腐を食べたって人も、1人や2人じゃないはずです。

 カレーの食後に、ごま豆腐のデザートを。
 それがどこにも真似できない石本商店のアイデンティティ。

 最近では「プリンください」なんて言われます。プリンじゃなくてごま豆腐。
 でも、この一言が嬉しかったりするんです。ごま豆腐を知らない人がソレを買う。
 つまり、時代に合わずに、廃れてゆくはずのものを、ちゃんと今の時代に、繋ぐことができている。

なーんて、調子に乗ったらまた売れない日々に戻りそうで、あの頃の気持ちを、いつでも思い出せるよう、未来の自分のためにこんな雑記を書いてみます。


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〜完〜

ここまで読んでくださり、
心から感謝しています。
石本商店 大島史也

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『カレーとごまどうふの店 石本商店』

住所 新潟市江南区袋津2-3-11
営業日 木金土日(11:00〜売り切れまで)
お休み 月火水
🅿︎ 4台 ☎︎ 無 テイクアウト🆗
Instagramはコチラ

いつもありがとうございます!! 宇宙一のごまどうふ屋になります!!