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ソウルの魅力:チムチルバン編

過去、1年間に18回海外に行ったことがありました。
その半分は1泊2日のソウルでした。
何回かに分けて、本文で一切写真を使わずソウルの魅力を語ります。

韓国という国は、物心ついたころから自分にとってとても想像しやすい国でした。愛知県豊橋市にある実家の隣に、在日の同級生が住んでいたからです。小学生のころの私のひそかな楽しみは、土曜日学校から戻ってきたら、その子の家に行くことでした。そこは玄関を入ると土間になっていてそこが台所でした。

オモニ(お母さん)がお昼をごちそうしてくれるんですが、大きな銀色のボールにご飯やらナムルが入っていて、それを海苔にまいて口に入れてくれるんです。手渡してくれるのではなく、なぜか口にダイレクトに入れてくれます。

同級生の女の子と、つばめのヒナのように土間に並び、海苔巻きを口に入れてもらうのです。それがたまらなくおいしかった。そして、その子の家にあった平たいスプーンが欲しくて、隙を見て盗もうと思ったくらいでした。こんなふうに毎日の生活の中で当たり前に接していたため、いつか行ってみたいなあと思ってました。

そんな韓国を初めて訪れたのは、高校の時、留学先のアメリカから帰国した際、トランジットで1泊ソウルに滞在した時でした。

明洞にタクシーで向かい、焼き肉を食べました。後から知ったのですが、韓国って、一人でご飯を食べる習慣があまりなく、18歳のうぶな日本人が一人で焼き肉を焼いている姿は、きっと浮いてただろうなと思います。

翌日、明洞の街をぶらぶらして、夕方の飛行機で日本に戻ったので、正直あまり印象がありません。ただ、帰りの空港へのタクシーで、大きくぼられたことを今でも根に持っています。

その後、しばらくソウルを訪れることはありませんでした。次に訪れたのは、社会人になり、5年目くらいの社員旅行の時でしたが、その時もそんなに印象はなく、しばらくソウルは旅先として魅力ある場所としては自分には映っていませんでした。

自分の中でソウルが居心地や良くて美味しい町になったのは、在日の友人に現地を案内してもらってからです。それまで、観光客向けの牛肉のカルビの店や、韓定食の店ばかりだったのですが、友人が案内してくれたのは、現地の若者が当たり前に行く店。「タッカルビ」や「チムタク」や「ブデチゲ」など、「ザ・カルビ」ではないのです。カルビで比べちゃうと、今でも日本の焼き肉に勝てる食べ物はないと思っています。だから、日本には当時あまりなかった現地の食べ物は相対的なおいしさではなく、絶対的なおいしさだったわけです。

食べ物に魅せられると同時に、「チムチルバン」という日本でいう健康センターのような場所にハマり、入り浸るようになりました。

Tシャツと短パンで、様々なタイプのサウナを楽しめるようになっています。特に好きなのは、玉砂利が敷いてあり、そこに横になってじわじわと汗をかく部屋です。

木製の枕が常備されているので、それをまずはゲットし、足元がアチチとならないように、タオルを敷きます。程よく温まった周りの玉砂利をなるべく自分の方に引き寄せ、おなかの上に積み上げます。その時大事なのは、内臓脂肪がまるで溶けていくようなイメージをすることです。さらに、瞼を閉じ、そこにも玉砂利を置きます。目の疲れが吹っ飛ぶ気がします。

15分くらいすると、手や足にそれこそ玉砂利のように汗がたまり、それを、「シャ!」っと一気に払うのが好きでたまりませんでした。定規を持っていて、一粒残さず、シャッとやりたい願望に誰もがかられる魅惑の場所です。しかし残念なことに、おかわりをするだけの体力はありません。

冷凍庫のようなマイナス温度の部屋と、高温のドライサウナを行き来して、毛穴が開いたり閉じたりするのを感じます。特におすすめなのが、汗でびしょびしょになったTシャツのまま入ることです。するとその汗が一気に冷やされ、凍えそうになるのですがそのまま高温サウナに入るとそれが一気に乾きます。この瞬間がたまらないのです。

休憩スペースになっている各フロアに売店があり、そこで「17茶」と韓国メーカーのアイス(薄いスポンジの間にバニラアイスが挟まってるやつ)を買ってのんびりするのが最高に気持ちいい。ちなみに、負けず嫌いの韓国が日本の16茶に対抗し17茶をつくったそうです。(by韓国人の友達)

それにしても、韓国の人はゆで卵が好きで好きでたまらないらしく、おばちゃんは100%近い確率で、フロアでゆで卵を食べています。

羨ましそうに見ていると、ゆで卵をもらえることもあります。
「コマスムニダー(ありがとうございます)」とお礼を言うと100%
「ハングンマルチャラシネヨ(韓国語上手ね)」と決まり文句。
「アニエヨ。チョムパッケモッテヨ(いえいえ、少ししか話せません)」
的な会話を楽しみます。

最後に地下の大浴場で、お湯につかり、体を終わって完了ですが、ここでは本当に平和なソウルを感じられます。親子や友達同士で垢すりをしているのです。

真冬のソウルは氷点下なので、チムチルバンを出た瞬間の寒さをしっかりと体が記憶しており、その感覚含めこの場所がお気に入りです。

だから、どっちかというと冬のソウルの方が好きですね。

最後に入り浸っていたチムチルバンはここです。

つづく。


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