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【研修記録】UXデザイン研修 Day10 最終発表会

おはようございます。

Xデザイン学校のUXデザイン研修ベーシックコースの研修受講記録です。

第10回(最終回)の研修を受講しましたので、振り返ります。

※正確に言うと、私用のため最終回の研修を欠席してしまいました。。とても残念でしたが、後から録画動画を見ることで、この振り返りができました。

1.提案したサービス

本研修では、1年かけて飲料メーカーの新規サービスを考案する課題に取り組んできた。

私のグループでは、『OCHANOMA』というサービスを提案した。

ざっくり言うと、高級中国茶を博物館や美術館などの雰囲気の良い場所で販売し、お茶本来の美味しさを楽しんでもらいながら、余白のある時間を提供するサービスである。

発表資料で用いた、サービス概要とCVCAを添付する。

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最近の消費の傾向として、自分自身のこだわりやお気に入りを見つけ、それに対してはお金をかける流れがある。そして、それを楽しむ時間を自分だけのゆったりとした時間として楽しんでいるのだと気づいた。

例えば、コーヒーは安いペットボトルや缶から、スタバのコーヒー、カフェのブレンドコーヒーを好む人が増えたし、自宅で豆を弾くところからこだわってコーヒーを飲む人も多い。コーヒースタンドもかなり増えている。

ビールも大手飲料メーカーの缶ビールから、様々なメーカーが独自のクラフトビールを製造し、販売している。他国の瓶ビールを購入するような人も増えている。

このような背景から、「お茶」も現在は安いペットボトル飲料を飲むのが主流であるが、将来的には様々な産地の高級茶葉から、自分だけのお気に入りの茶葉を見つけて、それを楽しむようになるだろうと予測した。

これをベースに、ビジョン・パーパス・ミッション、ビジネスモデル、データの活用、ペルソナなど、サービスを形にしていった。

最後の1ヶ月は発表準備に追われ、かなりきつい1ヶ月だった。それでもなんとかチームメンバーでうまく役割分担をしながら発表資料を作り上げていった。

私個人としては、普段の業務でパワポやXDを使った雑な画面仕様のポンチ絵、レビューを受けるために必要なことだけを書き出したプレゼン資料くらいしか作成してこなかったため、ほとんど力になれず、本当にチームメンバーに助けられた。メンバーのみんな、本当にありがとうございました。

デザイナーがチームに数人いて、アプリ画面のプロトタイプ、飲料販売の媒体となる自動販売機の3Dモデル、コンセプト動画の作成など、全てやってもらった。素直に「すげー」って言い続けた1ヶ月だった。。

絵も下手だし、プレゼンのセンスもないことは、結構生きていく上で不利になると感じたので、どこかでプレゼンスキルくらいは上げられるように、なにかしらで勉強しようと決意した1ヶ月でもあった。

そんなこんなで、なんとか発表資料は完成し、当日欠席だったので、チームメンバーに発表を行ってもらった。

2.講評の振り返り

最終発表会には、外部の方にも参加いただき、講評をもらう時間があった。発表して終わりではなく、講評1つ1つについて、しっかり振り返ろうと思う。

ゆっくり丁寧に、1杯ずつお茶を入れて楽しむというサービスは、今までのペットボトルの文化とは真逆の方向に走っている。ただ、データの活用として得られた味の嗜好データをマス向けのペットボトル新製品に展開しようという流れは、元に戻ってしまっている。もう少しリアルとデジタルを絡めながら今までとは違う文化を作っていくと言う流れがあるともっと良いと思った。

これについてはユーザーインタビューをする中で、こだわりの中でも息抜きの日と、本気の日があることに気づいた。

どんなにコーヒーにこだわっている人でも、常に自分で豆から引いたコーヒーだけを飲んでいるわけではない。缶コーヒーだって飲むし、ペットボトルのコーヒーだって飲むはずだ。

このように、ユーザーを本気の中国茶から息抜きの中国茶まで、生活を中国茶でどっぷり埋めてしまおうと考えていた。

マス向け中国茶も、上質な中国茶にこだわっている人の味の嗜好をもとに開発することで、より多くの人が好きであろう味に近づけることができるだろうというデータ活用の戦略があった。

ゆっくりとした時間を楽しむための飲み物という考えは良い。ただ、提案先の企業がなぜそのビジネスをやらなければならないのかが伝わってこなかった。なぜ中国茶なのかももっと明確になっていると良かった。

なぜ提案先の企業が中国茶ビジネスをやらなければならないのか。これについては私たちの中でも確固たる答えがない部分で、やっぱ言われたかーという感想だった。

これについては、他チームの発表を聞いて気づいたことがある。

私は、その企業ややる意味=パーパスは、その企業が目指している方向と一致しており、その企業のアセットが活きるものであるべきだ。そしてそれは参入障壁が高いものでなければならない。と理解していたが、もう少し広く考えて良かったのかもしれない。

現時点ではそのビジネスをやる上で、その企業のアセットを生かして、高い参入障壁を気付けるわけではないが、そのビジネスを業界で一番最初に実施することで、高い参入障壁を築ける。と言えれば良かったのだと思う。

これは自分でも大切な気づきだったと思う。

インタビューで得られたインサイトで良いデータを得られていた。ただ、この結果から展開した本質的欲求に生かしきれていなかったように思えた。「健康」「美容」「自分だけの時間」とか、ユーザーのモチベーションにつながりそうなことが取れている。そこがサービスデザイン的な観点で甘いように感じた。
例えば、そこから提案先の企業のパーパスと繋げられると、もっと良かったと感じた。

ユーザーのモチベーションは「中国茶へのこだわり」のつもりだった。

おそらくこれは、インタビュー時点で中国茶に絞らなかったため、上記の中国茶の部分がいろいろなこだわりに置き換わっていただけだと考えている。

ビジネス展開で、リアルな店舗が前提になっているが、社会的な状況を踏まえると、リアル店舗よりも在宅で飲める方が良かったのかなと感じた。

これについてはおっしゃる通りである。

ただ、1歩目を在宅から始めるというのは少しハードルが高いように感じる。発表資料には入れられていなかったが、博物館や美術館での美味しい中国茶を飲んだ体験をきっかけに、自宅で中国茶を淹れられる道具を販売する。ということも考えてはいたし、これが現実的な流れになるのではと考えている。

「OCHANOMA」というタイトルの通り、「空間」に最初に触れている割に、その後に「空間」ついてあまり言及がなかった。インタビューでも、そこにあまり深く聞いていない。最後のムービーで「空間」に少し触れられていたくらいだった。このチームの良さは「空間」に気づいたところだと感じていたので、そこをもう少し追って、「空間」と「中国茶」の組み合わせをしっかり伝えられたらもっと良かった。

指摘された方のおっしゃている通り、空間に対するこだわりは博物館や美術館という、中国茶を売る場所でしか表現できていなかった。

売る場所も重要なのではないかという話になったのがユーザーインタビュー後だったこともあり、上手くまとめられなかった。

実際のUXデザインプロセスではこのような新しい仮説ができるたびに、ユーザーインタビューや需要性評価を実施してサービスの質を高めていくことができるのだろうと考えている。(ビジネスでは納期というものがあるので、それが許す限りではあるが。)

中国や台湾によく行くが、彼らはペットボトルをほとんど飲まない。必ずマイポットを持って、そこにはお茶っぱが入っている。町中にお湯を入れるスポットがあっって、そこで入れている。そして彼らは白湯が体に良いものだと思っている。
今の世の中は白湯を飲む文化が広がっているので、マイボトルにお湯を入れる、飲み終わったら次の自動販売機でまたお湯を入れるような文化に変えていくのも良かったかもしれない。人によってはそこにあらかじめ茶葉が入っていて。その自動販売機を企業として様々なポイントに設置すれば、お湯と一緒に茶葉を買うなど、ユーザーの囲い込みができるのではないかと思う。
そうすると、中国茶だけではなくて、様々なお茶に展開できて、ビジネスとしてもスケールできたと思う。そういう意味ではこのサービスでは良いスタートラインになる気がした。

茶葉を売らずにお湯を売る。お湯のついでに茶葉を売る。この発想はできなかった。全てがおっしゃる通りだと感じた。。

ユーザーの囲い込みによって優位性を持てるようになること、お湯を軸とすることで中国茶以外の飲料にも展開できること。

ビジネスを考える上では、このようなスケールアップの視点が必要不可欠であり、自分には圧倒的に足りていない部分だと再認識した。

講評の振り返りは以上である。1年間ほぼ全てチーム内で磨き上げてきたサービスだったが、たった10分間の発表に対する外部の方の意見でさらに気づきがあったこと、まだまだ足りていない部分が見えたことはプラスに捉えたい。

3.最終発表を「企業」に対して行った意味

UX(ユーザーエクスペリエンス)、HCD(人間中心設計)と言いながら、この課題の最終発表先は「ユーザー」ではなく、「企業」だった。

ここにも何かしらの意味があるのではと考えていた。

私がこの研修を受ける前のHCDに対する理解はざっくり、ユーザーが喜ぶ体験をできるように、ユーザーが喜ぶサービスを考える。だった。

私が初めてnoteを書いた自己紹介の記事でも、UX=ユーザビリティのような書き方をしていた。笑

今読み返すと面白い。書いておいて良かったと思う。

この前提もあって、HCDに関する講演のたびに質問が上がる、「企業でHCDを実践する工数を認めてもらうためには、企業にHCDを導入していくためにはどうしたらよいか?」に対しても、私は質問者と同じ考えがあった。

企業が第一に求めるのは、「収益」である。

HCDを実践すると、ユーザビリティが上がったり、ユーザーの潜在的なニーズが満たされるからユーザーのためのものづくりができる。ただ、それが「収益」につながるかどうかはわからない。

会社というのは期限があるから、「収益」に繋がるかどうかわからない「HCD」の優先度は下がる。

これは当たり前のことだと思っていたし、「HCD」を企業に導入していくにはどうしたら良いかの答えもなかった。

それが、この研修を受けて少し見えてきた気がする。(まだスッキリと霧が晴れたわけではない。)

企業は「収益」が必要で、「HCD」がそれに繋がるならば快く受け入れてくれると思う。ただ、多くの場合、モノを購入するときに影響するのは使い勝手のところではないと自分でも思う。

例えば、空気清浄機を購入するときは、花粉やPM2.5をどれくらい除去してくれるか、加湿機能があるかなどのスペックと価格を見て、少しだけデザインを見るくらいだ。PanasonicとSHARPで迷って、メーカーの信頼性的な面で結局Panasonicを購入した。

宅配ピザを注文するときは、自分の好きなマルゲリータが美味しいドミノピザを利用している。ドミノピザの注文アプリはめちゃくちゃ使いにくい。それでもドミノピザを私は利用する。美味しいからだ。

冷蔵庫は、大きさと価格をまず見て、その後に肉や野菜の鮮度を保つスペックがどれだけついているかを見た。結局どのメーカーも大差はなかったが、野菜室が真ん中についているTOSHIBAにした。この野菜室を真ん中に配置したのがHCDから生まれたのだとしたら、それは私に対しては成功だったと思う。ただ、それでもスペックや価格で決めきれなかった時の比較対象になっている。

自分がモノを買う時にどんな判断基準があったかを振り返ればわかることだが、やはりスペックや価格が先に来る。ここが「収益」が欲しい企業と、「使いやすさだけ」を主張する開発者とのギャップなのだと思う。

今回の研修では、「ビジョン・パーパス・ミッション」をまず掲げること。ここから始まった。ユーザーどうこうより、まず私たちが何をやりたいのか、どんな世界にしていきたいのかの強い思いを決めること。会社で言ったら、その会社がどんな世界を作りたくて、それの中でどんな存在になりたいのかを定義すること。

ここを突き詰めて、明確な言葉で定義すること。その定義した世界でユーザーがどんな体験をしたいのか、その体験のシナリオがどんな流れだとよりスムーズになって、ユーザーの本質的な欲求を満たすことができるのかをHCDの手法を用いて分析していく。分析の中でも、ビジネス的にどんなCVCAが描けて、将来的にどんな事業拡大の道があるのかも考えていく。

ユーザーと企業を同時に考慮しながら、サービスを作り上げていくことがUXデザインなのだと理解できた。

この最初の定義の部分を今まですっぽかしていたことが、会社でHCDを受け入れてもらえない一番の原因であることは気付けた。まずこれは、この研修を受けての一番最初の気づきであり、最も根幹も部分であったのだと思う。

noteの1記事で研修全体を振り返ろうとすると、えげつない分量になりそうなので、この記事では最終回の振り返りをメインにして終わりにする。

このまま続けて、Xデザイン学校の研修全体を振り返るnoteを書いていこうと思う。

それでは。




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