Instagramをデザインした人物 イアン・スパルター
おはようございます。
いつもは興味のあるジャンルの本を探して、それをひたすら読みあさってnoteにアウトプットするという流れがあるのですが、本日はNetflixで見たあるデザイナーのドキュメンタリーからの気づきをアウトプットしようと思います。
きっかけは、仕事で関わらせてもらっている人間中心設計専門家の方にGUIデザインを設計する上で見ると何かしら気づきがあるかもしれないとお勧めされたことです。
金曜日におすすめされて、土曜には見ました。笑
Netflixで公開されている、アメリカのドキュメンタリー番組「アート・オブ・デザイン」を試聴しました。
この番組では、毎回小1時間程度、1人のデザイナーが特集されています。その一人に、現在世界中の数億人単位のユーザーを持つInstagramをデザインしたイアン・スパルターがいて、これを薦められたので見てみました。
気づきをここに書いていこうと思います。
1.アイコンから全てのビューまでデザインを統一する
まず一つ目にこだわりを感じたことが、アイコンにアプリのイメージを当てはめる作業、これに3ヶ月かけたというお話です。
当初のInstagramのアイコンは少し立体感のあるカメラのデザインでした。しかし、フラットデザインが浸透してきた中で、そのステージへ進めていなかったInstagramのデザインを一任されたのが、イアン・スパルターです。
彼は新しいアイコンのデザインに3ヶ月もの月日をかけたそうです。Instagramの関係者は3ヶ月考えた成果がこのアイコン1つかよ。となり、世界中のユーザーのこのデザイン変更に当初はとても批判的な反応を示したそうです。
しかし、シンプル化されたアイコンに合わせて、アプリ内のGUIデザインも使用する色を減らしてシンプル化し、より、ユーザーが投稿した写真の存在感を出すデザインが段々と受け入れられ、みるみるうちにユーザー数を伸ばしていったのです。
今Instagramを開いてみても、基本的な配色としては白黒のみで圧倒的に写真が目立ちます。そして、未読のストーリーを囲む円や、メッセージが来ている時のマイページボタンの未読マーク(●)のカラフルな色はアプリのアイコンの色に統一されています。
このカラフルな色はユーザーが投稿する多様な写真を表しているのでしょうか?これを目立たせることが最重要視された、統一感のあるシンプルなデザインは相当な試行錯誤から生まれてきたものなのだと、その苦労を少し感じた瞬間でした。
2.大量のプロトタイプをとにかく作ってユーザーの体験を考え抜く
2つ目はこちらです。ほとんど完成版に近いプロトタイプを大量に作り、その画面を見たり、実際にiPhoneで触りながら、とにかくユーザーの体験や感情を試行錯誤している描写が多くありました。
「机上の空論」という言葉がありますが、Instagramのデザイナーは机上の空論を全くせず、とにかく実物を作ってみて、自分で触ってみて試行錯誤していました。
番組も中でも、プロトタイプはできるだけ完成版に近い形のものをつくると語られていました。
ソフトウェア開発のプロセスの中で、プロトタイプを作って実際に自分で触ってみてその使い勝手を確かめるようなことは全くしてきていませんでした。
最近、人間中心設計を学び、Adobe XDでプロトタイプを作ってユーザビリティ評価をしたりしていますが、評価観点の部分しか作り込まず、完成版とは程遠いもので確認しています。
また、テスト版をリリースしてユーザーのフィードバックをもとに画面構成を改善する議論もされていました。これについても、医療機器製品のソフトウェアを開発している私の業界ではほとんど不可能な取り組みです。
Webアプリならではの取り組みなのかもしれません。そういえば、このnoteも最近β版を使う、みたいな選択ができるようになっていますが、これも正式リリース前にテスト版のユーザビリティをテストしているんだろうなと思います。
マインドが圧倒的に違うのが、画面の細かい構成のところまで、徹底的にユーザー体験をみんなで議論しながら突き詰めているところです。あそこまで細かく考えたことはありませんし、要求仕様→外部仕様→画面仕様と考えていく中で、画面仕様は外部仕様を実現するためのインターフェースでしかなく、その中でユーザービリティにどこまでこだわるかというのは会社や所属する組織の色が出るところなんだろうなと思います。
少なくとも私の会社では、画面仕様やユーザビリティの部分でそこまで使いやすさに対してとことん考え抜くというようなことは見られません。
自分がその視点とマインドを持ち、チームや社内に浸透させて、画面とユーザー体験に対して時間をかけて取り組んでいく風土づくりをしなければいけないなと感じました。
デザイナーって、私が思っていた以上に画面を操作した時のユーザーの体験や感情のストーリーを追求して、時間をかなりかけて考え抜いているんだなと実感しました。
興味のある方は是非見てみてください。
それでは。
https://www.netflix.com/jp/title/80057883
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